ベトナム市場調査レポート販売:ベトナムの食文化・食肉加工品(ハム・ソーセージ類)のニーズ・日本製品の販売ポテンシャル
ベトナムにおける食肉加工品の定義・分類、市場規模、消費量、流通チャネルなどを網羅的に把握できる調査レポートを販売しています。
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– ページ数(企業紹介ページを除く)18ページ
– 発行年月日:2023年6月12日
– 発行:ONE-VALUE株式会社
– ファイル形式:PDF形式
– 購入方法:ECサイトでのご購入。または請求書支払いも可能です。
レポートのポイント
▶ベトナム政府機関、国際機関の統計資料・データを活用
ベトナムの食文化・食肉加工品の動向について、保健省(MOH)、農業農村開発省(MARD)及び産業通商省(MIT)、現地国営紙といった現地行政機関のほか、統計資料やデータを活用し、動向を記載。また、ONE-VALUE独自による政府機関、民間企業、業界団体へのヒアリング調査結果も記載。
▶法律上のベトナム政府による食肉加工品の分類、ベトナムの伝統的な食肉加工品の分類
海外由来とベトナム由来の食肉加工品の分類の詳細情報を記載(現地由来の伝統的な食肉加工品・海外由来の食肉加工)。フランスの植民地支配の影響により、食肉加工でもフランスの影響が多く見られる。また、業界における各食肉加工品の定義の記載、ベトナムには多くの伝統的な食肉加工品が存在し、日本とは様相が異なる。加えて、ベトナム独自の食文化情報についても記載。
▶ベトナムにおける食肉加工品の市場規模の最新情報を網羅。
ベトナムの食肉加工品の一般概要、食肉加工品の年間売上及び消費推移データを記載。近年のベトナムの経済成長に伴い、食肉加工品の消費量は増加する見通しである。食肉加工品の消費量について、ベトナムにおける一人当たりの売上・消費量の推移、小売価格単価の推移を記載(2028年までの推移)。ベトナム食肉加工品の売上区分を解説。ベトナム食肉加工品の流通チャネル詳細も網羅している。
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主要プレーヤーリストも販売中
先述したレポートは別に、ベトナムの食肉加工品業界の主要プレーヤーリストも販売しています。単なる会社情報の網羅だけでなく、企業動向、詳細情報、ベトナムで有名な商品などの周辺情報も充実しています。詳細は以下のボタンからご覧ください。
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はじめに
ベトナムでは急速な経済発展に伴う中間層・富裕層の増加、食の欧風が進み、日本企業にとって有望なハム・ソーセージの消費市場となりつつある。
実際、ベトナムではハム・ソーセージ・ベーコンといった食肉加工品の需要が増加し続けている。ベトナムでこれらの食肉加工品が人気を集めている理由は、大きく分けて3つある。
1つ目に、ベトナム全体の人口増が挙げられる。経済発展著しいベトナムでは、毎年安定的に人口が増加している。ベトナムの人口は2020年時点で約9758万人であり、2040年には日本の人口を追い抜くという試算もある。食肉加工品に限らない理由だが、人口増はベトナムの消費市場を紹介する際に欠かせない要素である。
2つ目に、ベトナム国民の衛生意識向上が挙げられる。ベトナム政府が発表する食中毒発生件数は、日本より少ない。しかしベトナムの統計が実態と大きく乖離しているケースは複数あり、食中毒発生件数についても、実態は統計の何十倍何百倍にもなるという指摘も散見される。
また、食品以外でも、子ども用おもちゃの塗料に鉛が含まれており、それを舐めた複数名の子どもが鉛中毒で搬送されるという事件も起こっている。
このような事件の積み重ねもあり、ベトナムでは伝統的な市場でなく現代的なスーパーマーケットやコンビニエンスストアでの買い物を好む消費者が増加している。これに伴って、しっかりと包装された生鮮食品や加工食品の需要が増加している。
3つ目に、ライフスタイルの変化が挙げられる。都市部に住む多忙な若者で、手間を省きつつ健康的な食事をしようとする人が多くなっている。一方で、加工食品は農村部ではまだ食文化として浸透していない。
本レポートでは、ベトナムにおけるハム・ソーセージ・ベーコンといった食肉加工品の概況について解説する。
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ベトナムで消費されるハム、ソーセージ、ベーコン
ベトナムの食肉加工品は、まずベトナム現地由来の伝統的な食肉加工品と海外由来の食肉加工品の2つに分類される。
ベトナム由来の伝統的な食肉加工品(ハム・ソーセージ・ベーコン)
ベトナムの食文化に古くから根付いているローカルな食肉加工品として、4つが挙げられる。
ベトナム風ハム
まず、「ベトナム風ハム」と称されることが多いのは「チャールア」と「ジョートゥ」の2つである。ベトナムで最も親しまれているのはチャールアである。正月料理やバインミーの具材など、幅広いシーンで消費される。
ジョートゥは豚耳で作られるハムであり、正月料理やおつまみとして親しまれる。
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ベトナム風ソーセージ
「ベトナム風ソーセージ」とされているのは、「ネムチュア」と「ネムナム」である。ネムチュアは豚肉などを原料とした発酵食品で、北部の特産品である。しかし全国的に親しまれており、ビールのおつまみとして消費されることが特に多い。そのまま、あるいはチリソースをつけて食べるのが一般的である。
ネムナムも同じく北部の特産品であり、作り方は概ねネムチュアと同じである。ネムチュアがいわゆるソーセージ状なのに対し、ネムナムは丸い球状である。
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ベトナム風乾燥肉
ベトナムでは乾燥肉が広く浸透している。鶏肉は「ホーガー」、牛肉は「ホーボー」、豚肉は「ルオック」と呼ばれる。肉を大きめに切り調味料と茹でた後、さらに小さくしてから乾燥させる。普通のおかず、バインミーの具材、おかゆの具材など幅広い場面で食される。
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その他のベトナムのハム・ソーセージ
ベトナムには上記3つ以外にも伝統的な食肉加工品がある。特に有名なのは「チャーシュー」である。これは日本で知られるチャーシューと同じく中国にルーツがあり、味付けが日本とは異なる。また、エビの粉末を使用して赤く着色されたものが、ベトナムでは多く見られる。
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海外由来の食肉加工品
ベトナムでは海外由来の食肉加工品も浸透している。ベトナムにおける海外由来の食肉加工品文化は、フランスの支配から強い影響を受けたと考えられている。
ソーセージ
ベトナムでソーセージは、パンやおこわの付け合わせとして食べられることが多く、朝食や間食として浸透している。生で食べることも可能だが、加熱してから食べるベトナム人が多い。北部では、焼きソーセージが屋台で販売されることも多い。
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ハム(ジャンボン)
「ジャンボン」はハムを指すフランス語であるが、ベトナムでもハムは「ジャンボン」と呼ばれる。先述の通り、フランス統治の名残である。
バインミー等に使用されるが、ヨーロッパ由来の料理に使用されることが多い。
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ベーコン
ベトナムでベーコンは、パンと一緒に食べられたり、サラダに入れられることが多い。特に洋食レストラン、高級ホテルでの消費が多い。
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パテ
「パテ」もフランス由来の食品である。肉や魚を細かく刻み、ペースト状に練り上げたものである。ベトナムではバインミーの具材として、パンの内側に塗られることが特に多い。また、ステーキの付け合わせとして食べられることも多い。
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缶詰肉
缶に保存された食肉加工品である。日本では「スパム」に代表される。ベトナムでも、保存食として流通・消費されている。
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ベトナムにおけるハム・ソーセージ・ベーコン市場の課題
ベトナムでハム・ソーセージ・ベーコンに代表される食肉加工品の需要が増加していること、そして消費される食肉加工品の種類を紹介してきた。
ベトナムにおける食肉加工品は成長分野であるが、一方で課題も散見される。
コールドチェーン
コールドチェーンとは、一般的に生鮮食品や冷凍食品など温度管理が必要な製品を、規定温度を保ったまま輸送するシステムのことである。日本語では、「低温物流や「冷蔵・冷凍輸送」と呼ばれることもある。
コールドチェーンはソーセージやハムなどの流通に必要であるが、ベトナムではあまり整備が進んでいない。例えばベトナム国内向けの食品販売業者のうち、コールドチェーンを利用しているのは全体の約8%のみである。
これは、ベトナム国内の品質基準が厳しくないことに起因する。実際に、国際基準を満たす必要のある輸出業者は約70%がコールドチェーンを利用している。
コールドチェーンが未整備であることは、ベトナムにおけるソーセージ・ハム・ベーコン等食肉加工品の普及を物理的に妨げることとなる。原因は国内品質基準の低さだけでなく、倉庫業の外資規制、投資意識の低さ、供給不足、食品損失に対する価値観など多岐に渡る。
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農村部での普及
ハム・ソーセージ・ベーコンといった海外由来の食肉加工品は、ベトナムの農村部にはあまり根付いていない。農村部の人々は殆ど生鮮食品を購入しており、加工食品全般の消費が少ない。
ベトナムの伝統的な消費スタイルとして、毎日市場に行き生鮮食品を購入し1日で使い切る、というものがある。農村部では、スタイルが依然根強い。
一方で都市部では現代的なスーパーマーケットやコンビニエンスストアが増加しており、そこで食肉加工品も販売されている。
この課題の解決には、農村部に住む人々の価値観を転換する必要がある。
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ベトナムへのハム・ソーセージ・ベーコンの輸出
本章ではベトナムにおけるハム・ソーセージ・ベーコンといった食肉加工品の貿易概況と、日本からの輸出について紹介する。
貿易の概況
ベトナムはソーセージ類を主にイタリア、オーストラリア、フランス等から輸入している。一方ハム類はブラジル、アメリカ、マレーシアからの輸入が多い。
ベトナムのハム・ソーセージの輸入額・輸入量は増加傾向にある。輸入量はハム・ソーセージ共に増減を繰り返しつつも全体的に増加している。
一方で輸入額については、ハム輸入額が2019年に前年の2倍以上増加しており、コロナ禍であった2020年も同じ水準を保っている。ソーセージ輸入額は、ハムほどではないが全体的に増加傾向にある。したがって、ベトナムではやや高級なハムの需要が増加していると考えらる。
日本企業も複数ベトナム市場に参入しているが、浸透しているとは言いづらい。しかし日本製品を信頼するベトナム人消費者は多く、ベトナムでは「日本ブランド」が確立されているため、今後富裕層が拡大するベトナムは日本企業にとって有力な市場である。
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日本からの輸出
日本からベトナムへの食肉加工品輸出は基本的に可能である。福島第一原子力発電所の事故に伴う輸入規制は既に撤廃されている。
また、輸入する企業がベトナム企業か外資企業かで、根拠法令が異なる。外資企業は、ベトナム計画投資省が定める要件を満たさなければならない。
ベトナムの通関手続きはオンラインで行われる。申告書、インボイス、船荷証券等の書類が通関申告の登録に必要となり、登録完了後に必要な検査内容が3段階の中から定められる。一方で、税関職員の裁量によって法令と異なる手続きがされるケースもある。
通関手続きに必要な食品安全検査は大きく3種類に分けられる。簡易検査、通常検査および厳重検査である。原則通常検査が適応されるが、以下の条件を満たす場合は、簡易検査か厳重検査がそれぞれ適用される。
簡易検査は、➀12か月以内に行われた通常検査に3連続で合格した商品、②6つの品質管理基準あるいはそれと同等な基準を適用している事業所で生産された商品などに適用される。
厳重な検査は、➀前回検査時に一定レベルに達していなかったロット及び商品、②保健省・農業農村開発省・商工省などの関係機関あるいは生産業者からの警告がある商品などが対象となる。
また、このような「検査」とは別に「検疫」も実施される。加えて、輸入した食肉加工品の販売には「販売許可手続き」が必要となる。
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ベトナムの食肉加工品に関連する法規制
ベトナムにおいて、食肉加工品に係る法規制は大きく7種類に分類される。
食品規格
ベトナムにおいて、食肉加工品の規格を定める国家技術基準は存在しないが、任意に適用する基準であるベトナム基準については科学技術省が定めている。食肉加工品については、7種類のベトナム基準が適用される。
残留農薬および動物用医薬品
ベトナムでは使用される農薬について、ポジティブリスト制を導入している。農薬および食品ごとに「最大残留許容値」を定めている。反対に、リストに記載のない農薬および動物用医薬品の残留は一切認められていない。
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重金属および汚染物質
ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズについて、食品ごとに許容値が定められている。缶詰の食肉加工品の場合、缶の仕様によって許容値が変化する。
食品添加物
ベトナムで使用可能な食品添加物と対象食品ごとの許容値は、保健省によって定められている。ポジティブリスト制のため、リストに記載が無い食品添加物の使用・販売・輸出入は法律上認められていない。
このポジティブリストを中心に、食品添加物には他にも規制が存在する。
ここまで食肉加工品に係る法規制を4つ紹介したが、他には「食品包装」、「製品ラベル表示」およびその他の法規制が存在する。
まとめ
本レポートではベトナムの食肉加工品について網羅的に紹介した。ベトナムでは人口増、衛生意識の向上、ライフスタイルの変化という3つの理由から、食肉加工品の需要が増加している。
ベトナムで流通している食肉加工品は、まずベトナム由来の伝統的なものと、海外由来のものの2つに大別される。ベトナム由来の伝統的なものはさらに4つに分けられるが、ベトナムで最も親しまれているのは「ベトナム風ハム」のチャールアである。海外由来の食肉加工品は、フランスの影響を受けているものが多い。
一方で、ベトナムの食肉加工品市場には課題もある。特に大きな2つの課題は、ベトナム国内でコールドチェーンが発達していないことと、農村部での浸透が進んでいないことである。
ベトナムにおける食肉加工品の貿易状況については、輸入量も輸入額も概ね増加傾向にあると言える。特にハムの輸入額は、2019年に前年比2倍以上増加し、コロナ禍であった2020年も同じ水準を保つという特徴的な変化があった。輸入量は倍増していないことから、ベトナムでは高級ハムの需要が増加していると推察できる。
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日本からの輸出も基本的には可能である。福島第一原子力発電所での事故の後には輸入規制も見られたが、現在では撤廃されている。
ベトナムにおいて、食肉加工品に係る法規制は大きく7つある。「食品規格」、「残留農薬および動物医薬品」、「重金属および汚染物質」、「食品添加物」、「食品包装」、「ラベル表紙」および「その他」の規制が存在する。 ベトナムでは古くから食肉加工品が浸透しているが、近年も市場規模が拡大し続けている
。高品質、特に安全な食品の需要が高まっているので、日本企業のポテンシャルは高い。実際、ベトナムでは他分野メーカーの進出によって既に日本ブランドが確立されている。今後市場がさらに拡大した後には、よりニッチな食肉加工品の需要増が予想される。したがって、現在はベトナムの食肉加工品市場への参入を検討する好機である。
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