ベトナム経済に対する世界銀行の見解
ベトナム経済は昨年の成長と比較すると停滞している。世界的な不況・貿易の縮小がベトナムの輸出品への需要を低下させ、経済に影響を及ぼしている。同時に、ベトナムの国内需給も停滞傾向にある。
世界銀行は、2023年のベトナムのGDP成長率を4.7%と予測している。これはベトナム政府が目標としていた6.5%よりも低い数字である。一方で、2024年と2025年にはそれぞれ5.5%、6.0%と成長するとも予測している
また、世界銀行は、ベトナムの今年のインフレ率は3.5%と予測しており、エネルギーおよび商品価格が安定することを前提とした場合、2024年と2025年には3.0%へと低下すると予測している。
先進国の経済成長の遅れが、ベトナムの輸出品への需要をさらに低下させるリスクが考えられる。また、他国の金融政策の変動は、ベトナムの為替レートや資金流入に影響を及ぼす可能性があり、継続的なモニタリングが必要である。また、短期的な成長の確保のためには、公共投資の拡大が求められる。
世界銀行は、2023年の公共投資をGDPの5.5%から7.1%に引き上げることで、経済の需給を支えるべきだと提案している。加えて、金融政策は緩和的な姿勢を維持すべきであるが、グローバル市場の動きとの金利格差を縮小する措置を行うことを薦めている。
ベトナムのチン首相は、2023年のGDP成長目標を6%と設定しているが、その達成には、第4四半期で10.6%の経済成長が必要であり、これは第3四半期の5.33%の倍となる。
ベトナムの経済成長率の予測は、前回の予測からは下方修正されたものの、東南アジア諸国と比較すると、それでも高い水準を維持している。