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ベトナム冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)の需要急拡大:日本企業にも好機


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本レポートのサマリー
  • 経済発展に伴い、ベトナムでは冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)の需要が急拡大し。現状では電気代の工場優遇価格が適用されておらず、投資コストの参入障壁から需要が供給を大幅に上回っている状況である。
  • ベトナムの生鮮食品市場ではそもそも損失が程度許容されており、短期間で農場から販売店に運ばれている。将来的により良い品質で輸送・保管するためには、コールドチェーンへの投資は単なるコストではなく投資であるという認識の広まりは必要だ。

はじめに

ベトナムでは近年になり、冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)への需要が急速に高まっている。コールドチェーンとは、日本語に訳すと「低温物流体系」と訳され、低温管理が必要な製品を冷蔵もしくは冷凍した状態で最終消費地まで配送する方式を指す。

ベトナムでは、急速な経済成長により、中間層が拡大し、消費市場が拡大し続けている。これにより、様々な商品を鮮度・品質の高い状態で届けることができる冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)への需要が拡大している。コールドチェーンの対象となる品目は、医薬品や化学薬品、冷凍食品、生鮮食品、水産物といったように多岐にわたる。製薬メーカーやコンビニエンスストア、スーパーマーケットなど日常生活に欠かせないサービスで利用されている。

このレポートでは、ベトナム市場における冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)の現状、課題、打開策について詳しく分析していきたい。

ベトナム冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)の現状

ベトナムの冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)は、技術開発の恩恵を受けて近年になって顕著に発展している。ベトナムでは1990年代半ば頃に最初の商業用冷蔵倉庫が建設された。業界の歴史で言えば、僅か20年程度しかない。

ベトナム調査会者Fiin Groupの調査によれば、2019年におけるベトナムの冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)市場の市場規模は1億6900万米ドルと推定されている。 また、グローバル市場調査会社Ken Researchのレポートによれば、ベトナムのコールドチェーン市場の市場規模は2021年に18億米ドルに達し、2019年と比較して10倍以上に拡大すると予測されている。

ベトナム現地報道によると、国内市場を主にターゲットする企業のうち8.2%のみが冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)を適用している。この数値は輸出業者の66.7%をはるかに下回っている。ベトナム市場では流通する商品に対する明確な高い基準が存在していないため、各業者は追加コストが発生することを避けるために、常温で食品を保存し、冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)を使用しない傾向がある。ベトナムの生鮮食品市場ではそもそも損失が程度許容されており、短期間で農場から販売店に運ばれている。

ベトナム現地経済紙によると、現在、多くのベトナム企業は冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)を投資ではなく、単なるコストと見なしているのが現状である。

冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)を将来的により良い品質で輸送・保管するためには、コストではなく投資であると認識を変える必要がある。

ベトナム冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)の主要な企業

冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)を提供する企業は需要が高い南部地域に集中している。ベトナム南部は平均気温が27度で年間を通して高温であり、北部とは大きく気候が異なるため、冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)のニーズも高い。全体の企業数のうち、76%がベトナム企業、残りの24% が外資系企業となっている。

主要な企業としてはTransimex、Gemadept、Saigon Newportなどのロジスティクス業界の大手企業があげられる。そのほか、ベトナム国内で大規模なコールドチェーンを開発している企業は、水産関係の大手企業も含まれている。

Mekong Logistics(GemadeptとMinh Phu Seafood Companyの合弁会社)は、メコンデルタ地域で最大規模の冷凍倉庫を所有している。 Hung Vuong Pangaは60,000パレットの冷蔵倉庫を所有しており、これは東南アジアでの最大の冷凍倉庫である。外国企業で代表的な企業としてはSCS Vietnamが挙げられる。SCS Vietnamはベトナム全国に広がる倉庫システムで温度制御ネットワークを運用しており、様々な技術、高度な統合倉庫および出荷技術を使用して、約275,000パレットの冷凍倉庫の総面積を管理している。

低温度帯対応の倉庫はベトナム市場全体の需要の約30〜35%しか対応されていないと言われている。現状では、輸入出のための倉庫が多く、国内市場向けの冷蔵・冷凍庫が少ない状況である。

ベトナム全国に48の大型の低温度帯対応の倉庫があり、総容量は約70万パレットに及んでいる。内訳を見ると、南部には526,364パレットの容量で、36か所の低温度帯の倉庫が立地している。一方で、中部には倉庫が1か所(21,000パレット)しかない。北部には合計54,780パレットで、11か所の冷蔵・冷凍倉庫がある

現在、冷凍倉庫の供給は需要に比べてまだ不足しており、保管料が高い。一部の倉庫では商品を預けるまで1年前から予約しなければならない場合もある。

ベトナム冷蔵冷凍輸送の課題と打開策

ベトナムでは冷凍倉庫の建設費は、常温倉庫の建設費よりも2〜3倍高くなる。同様に、冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)に投資する場合、企業は多くのイニシャル投資コストが必要となる。コストの問題は輸送事業者が冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)に事業に参入する大きな壁となっている。また、経済成長とともにベトナム国民の収入が増加しており、食品への需要も増加している。これにより、冷凍食品の保管・運送の流通量も継続的な増加が見込まれる。それに対して、冷凍倉庫の建設期間が通常の倉庫より長くなってしまうため、冷蔵対応倉庫の供給が大幅に不足している現状だ。

冷蔵冷凍輸送(コールドチェーン)への参入、冷凍車両の購入、大型冷凍倉庫の建設へ投資するプレーヤーは増加が見込まれる。2020年、Hung Vuong Warehouse (約60,000パレット)、 AJ Total Long Hau (32,000パレット)、AJ Total Hung Yen (25,000パレット)などの建設中の大型冷凍倉庫が多数ある。また、国内消費向けの商品を保管するため、メーカーによる自社の冷凍倉庫の開発も進んでいる。

冷凍輸送企業の代表的な企業であるABA Cooltransの代表者は、今後5年間で冷凍輸送車両の数を5倍に増やすと述べている。需要の拡大とともに、競争関係の激化も見込まれる。

結論:投資コストが課題だが需要は今後も拡大

ベトナム国内にある現時点での冷蔵倉庫は60万パレットとし、今後、年平均約20%で成長する場合、2023年には増加分が240万パレットと需要を超えるラインとなり見込みだ。冷蔵倉庫への追加の投資額は約2500億円に上る。この規模の投資額は容易な金額とは考えにくい。現状では電気代の工場優遇価格が適用されていない。一方で、新型コロナウイルスの影響もあり、大手企業を中心に人員削減と自動化を進めており、当面、冷蔵倉庫建設への投資は進んでいくものと考えられる。

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