世界的に資本の流れが分断される中、ベトナムはアジア太平洋地域における有望なM&A投資先として存在感を高めている。サヴィルズ(Savills)の最新レポートによると、日本、オーストラリア、シンガポールといった中核市場ではクロスボーダーM&Aが活発である一方、中国では投資マインドの低下により取引規模が大きく減少している。その中でベトナムは、安定したマクロ経済、堅調な外国直接投資、進展する法制度改革を背景に、投資家からの評価を高めている。
サヴィルズ・ベトナムによれば、新土地法や住宅法、不動産事業法の改正への適応が進み、過去2年間でM&A活動は回復基調にある。ただし、稼働中資産の供給は依然として限定的であり、取引の中心は住宅や大規模都市開発などの開発案件に集中している。投資資金は都市中心部から、インフラ整備が進む周辺エリアへとシフトしている。
また、合弁や少数株取得といった慎重な投資形態が増加しており、特に日本の投資家に好まれている。これは、初期投資リスクを抑えつつ、市場理解と信頼構築を図る戦略である。
JLLは、法制度改革、企業再編需要、安定した金融政策をM&A拡大の三大要因と指摘する。国際投資家を惹き付けるため、ベトナム企業には法的透明性の確保、国際基準に基づく資産評価、柔軟な取引構造、財務・ガバナンス体制の高度化が求められている。
