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ベトナムM&A最新動向【2022年予測】日本企業の動きを考察

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ベトナムM&A最新動向【2022年予測】日本企業の動きを考察

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はじめに
この記事で伝えたいこと
  • 2021年のベトナムのM&A取引数はコロナの影響で微減も、取引金額は過去最大になった
  • これまでは製造業におけるM&Aが主だったが、近年は小売業・不動産業・金融業におけるM&Aが増加している
  • これまでは外資企業がベトナム企業に出資するOut-Inのケースが多かったが、近年は国内企業同士の買収In-Inや、ベトナム企業による外資企業への出資In-Outが増加

はじめに

12月9日、ベトナムホーチミン市にて「第13回ベトナム企業M&Aフォーラム」が開催された。フォーラムでは2021年1~10月期におけるベトナムのM&A市場に関する総括、統計情報の発表が行われ、M&Aの取引額は新型コロナの影響にも関わらず、2020年と比較して17.9%の増加となることが発表された。

今回は、2021年のベトナムのM&A動向、市場を各種データとともに振り返っていきたい。

2021年のベトナムM&A市場の取引実績

以下ではデータを基に、2021年のベトナムにおけるM&Aの取引実績を振り返っていきたい。

ベトナムのM&A取引数

ベトナムM&A最新動向【2022年予測】日本企業の動きを考察:ベトナムのM&A取引数
(データ)ベトナムのM&A取引数 (出所)現地報道紙 CafeF

2021年1月~10月期のベトナムにおけるM&A件数は19件であった。シンガポールに次いでASEAN内で2位の数であったが、コロナ前の2019年度と比較すると少ない件数となった。

これはベトナムだけでなくシンガポール、インドネシア、タイ各国にも共通して見られる特徴であり、新型コロナの影響がASEAN全体のM&A市場に広がっていることがわかる。

ベトナムのM&A取引額

ベトナムM&A最新動向【2022年予測】日本企業の動きを考察:ベトナムのM&A取引数
(データ)ベトナムのM&A取引額 (出所)現地報道紙 CafeF

一方、M&Aの取引額を見て見ると、新型コロナの影響にも関わらず取引額は過去最大を記録していることがわかる。またベトナムはASEAN内でシンガポールに次いで2番目の取引額となった。

この背景には、ベトナム国内における大型のM&A取引が増加したことが挙げられる。例えば三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の子会社である三井住友コンシューマーファイナンスがベトナムのVPバンクの持分49%を取得した出資取引は、ベトナムにおける大型M&A案件の1つとなった。

ベトナムのM&A市場における変化

続いて、経済発展を続けているベトナムのM&A市場における傾向の変化について見ていきたい。

ベトナム現地企業によるM&A実施案件の増加

2000年台からベトナムは目覚ましい経済発展を遂げており、それに伴いビングループ、マサングループ、ノヴァランド、ビナミルク等の大手企業・コングロマリットもその事業規模を大きく拡大させてきた。

これまでのベトナムにおけるM&Aといえば外資企業によるベトナム企業への出資(Out-In)が主であったが、近年はベトナム企業による他のベトナム企業への出資(In-In)、または外資企業への出資(In-Out)といった案件も増えてきている。

M&Aが行われるセクターの変化

M&A取引が実施される企業のセクターにも大きな変化が見られる。これまでベトナムはグローバル経済の中で「安価な労働力をもつ生産拠点」という立ち位置であったため、主に製造業におけるM&A案件が多かった。

しかし近年は中間層の成長を背景とした消費市場の発展も目覚ましく、主にB to Cの領域を扱う小売業、消費財製造業や、金融業セクターにおけるM&A案件が増加している。

またベトナム各地で都市開発、新規の工業団地設立が進んでいることから、ビングループなどの大型不動産企業が、各地域の地場不動産開発企業を買収するといった案件も増加している。

日本・ベトナム間でのM&A

続いて、日本・ベトナム間のM&Aについて解説していきたい。

日本のM&A市場におけるベトナムの立ち位置

ベトナムM&A最新動向【2022年予測】日本企業の動きを考察:日本が行ったクロスボーダーM&A取引の相手国
(データ)日本が行ったクロスボーダーM&A取引の相手国 (出所)現地報道紙 CafeF

上記のグラフは、日本企業が2021年内に行ったクロスボーダーM&A取引の相手国の取引件数を表したものである。ベトナムは取引件数が世界で6番目に多い国としてランクインしている。

またインド、中国とベトナムの取扱件数との大きな差はないため、今後ベトナムがより上位のランクインする可能性も高い。

日本企業がベトナムに投資を行う理由

日本企業がベトナムとのM&A取引を行う大きな理由として、以下のような理由が挙げられる。

すでに日本国内の市場が成熟している

2021年時点での日本の平均年齢は48.4歳であり、今後ますます上がっていくことから、特に若年層に向けた消費市場はすでに成熟しきっていると判断する企業も多い。

一方ベトナムは経済成長により消費者市場が年々拡大しており、購買意欲の高い若年層も多い。そのため、自社の製品・サービスを販売する新たな市場として、ベトナムを志向する企業が増えている。

M&Aが日本の企業にとってもより一般的になった

また2つ目の理由としては、日本企業にとってM&Aが以前ほどハードルの高いものではなくなったという理由が挙げられる。

M&Aを支援するコンサルティングサービスや、売り手企業と買い手企業とをマッチングさせるポータルサイト等の出現にもみられるように、M&Aは企業にとってより身近なものとなってきた。

特に多くの余剰資金を抱えている企業は、利益を追求する株主の期待に応えるためにも、積極的に海外投資を行い、キャピタルゲイン・インカムゲインを得ることを目指している。

ベトナムのM&A市場において今後注目すべきセクター

本レポートの最後に、今後ベトナムのM&A市場において注目すべきセクターについて解説していきたい。これらのセクターはM&Aのみに止まらず、ベトナムビジネスの今後のトレンドとなるだろう。

不動産・建設セクター

前の文章にても触れた通り、現在ベトナムにて大規模な都市開発が各地で行われている。またホーチミン市・ハノイ市・ダナン市といった大都市では人口の増加により住宅不足が深刻となっているため、集合住宅・マンションの建設が進んでいる。そのため、不動産開発や建設のニーズが引き続き高まることが予想される。

物流

新型コロナは経済に影響を及ぼしただけではなく、人々の生活や購買行動に大きな変化を与えた。特にコロナによる外出制限によりTikiやSendo等のオンラインショッピングの利用が増えた。服や雑貨だけでなく、食料品などもオンラインで購入する人が増えた。

しかし、生鮮食品などは冷蔵・冷凍された状態で運ぶことが必要なため、物流インフラとしてコールドチェーンが必要となる。ベトナムではまだコールドチェーンが十分に発達していないため、今後はベトナム国内におけるコールドチェーンへの投資が増加すると予想される。

ベトナムの物流セクターの動向については、以下の記事で詳しく紹介しています。

再生可能エネルギー

ベトナム商工省が2021年9月に公表した第8次国家電力マスタープラン(PDP8)草案では、新たな石炭火力発電所の開発計画に制限を設け、国内の電源構成に占める石炭火力の割合を減らしていく方針が示されており、風力や太陽光を中心とする再生可能エネルギーの発電容量で電力需要を賄う計画を立てられている。

そのため、今後ますます再生可能エネルギーの発電に係わる投資が増加していくと予想される。またベトナム国内にはまだ再生可能エネルギーに精通した技術者も不足しているため、ベトナム政府・企業は海外企業からの技術協力を受けながら開発を進めていくことになるだろう。

ベトナムの再生可能エネルギー・PDP8については、以下の記事で詳しく紹介しています。

最後に

本レポートでは2021年のベトナムM&A市場を振り返るとともに、今後の展望についても解説してきた。特にベトナム国内において大型のM&A案件が増加しており、1件あたりの取引額が増加していること。M&Aが行われるセクターが製造業だけでなく小売業、金融業、不動産業などにも広がっていること等は、今後のベトナムビジネスを占う上でも注視する点である。

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