ベトナム市場調査レポート販売:ベトナムのコールドチェーン(冷凍・冷蔵)倉庫の最新動向と将来展望
ベトナムのコールドチェーン市場の最新動向が網羅的に把握できる調査レポートです。
レポートはオンライン販売サイトで即ご購入可能です。
– ページ数(企業紹介ページを除く)27ページ
– 発行年月日:2023年6月14日
– 発行:ONE-VALUE株式会社
– ファイル形式:PDF形式
– 購入方法:ECサイトでのご購入。または請求書支払いも可能です。
レポートのポイント
▶ベトナム政府機関、国際機関の統計資料・データを活用
ベトナムのコールドチェーン市場について、ベトナム商工省、ホーチミン交通運輸大学、ベトナム法規定、現地企業の公開情報など、信頼できる現地の情報源の資料やデータを活用しています。また、ONE-VALUE独自の企業ネットワークへの聞き取り調査に基づく業界動向データやインサイトも記載。
▶日本企業にとって関心の高い情報を精査して記載
→進出や投資を検討する日本企業にとって特に重要な、市場規模、市場の成長要因、税率の優遇措置を含む関連法規定、主な現地プレーヤーのリストといった情報をONE-VALUEが精査。
▶各事業者セクターを網羅的に記載(地場コールドチェーン企業、顧客サイドの食品メーカー及び物流企業、消費者サイド企業)
→コールドチェーンに関わる事業者セクターの動向を網羅。日本からのデスクトップ調査では取得困難な、ベトナム現地企業や有識者へヒアリングしないと取得できない現地情報も含んでおり、コールドチェーン事業展開に関する意思決定に必要な内容を記載。
以下から無料分のレポートです。
はじめに
近年のベトナムでは、人口増加、所得水準の向上に伴う食生活の多様化及び EC 市場の拡大等により、温度管理を伴うコールドチェーン(冷蔵・冷凍輸送)物流サービスへの需要が高まっている。
一方で、コストが低い代わりに温度管理が不十分な低品質サービスが散見され、健康被害や輸送途中での食料廃棄が問題となっている。さらに、コールドチェーンの品質に対する荷主や消費者からの信頼が得られず、健全なコールドチェーン物流市場が定着しにくいという悪循環に陥っている。
ベトナムは他のアジアの国々よりコールドチェーンの需要が高いが、前述した信頼問題の他に、コールドチェーンの前提となるインフラや法規定等の事業環境の整備が遅れているという問題もある。これにより、日本企業の参入は遅れていると言える。
このレポートでは、ベトナム市場における低温物流の現状、課題、打開策について詳しく分析していきたい。
コールドチェーンの定義
コールド(cold)とは低温を意味する。冷蔵・冷凍といった所定の温度・状態を維持しつつ、生産から輸送、倉庫保管といった流通過程をチェーン(鎖)のように繋ぐシステムをコールドチェーンと呼称する。日本ではしばしば、「低温物流体系」や「低温ロジスティクス」と呼称される場合もある。
本レポートで扱う「コールドチェーン」は、20℃以下の「定温」、「冷蔵」、「冷凍」を指す。
一般社団法人日本冷蔵倉庫によれば、保管温度帯別の品目は以下の通りである。
- 超低温(−40℃以下):マグロなど
- 冷凍(−18℃以下):魚介・畜肉、冷凍食品、アイスクリーム、パン生地等
- 冷蔵(−18℃〜+10℃以下):乳製品、練り製品、野菜・畜肉、鮮魚介等
- 定温(+5℃~+18℃以下):マヨネーズ、チョコレート菓子、米穀類等
ベトナムのコールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )の現状
ベトナムのコールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )は、技術開発の恩恵を受けて近年になって顕著に発展している。ベトナムでは1990年代半ば頃に最初の商業用冷蔵倉庫が建設された。業界の歴史で言えば、僅か20年程度しかない。
ベトナム調査会者Fiin Groupの調査によれば、2019年におけるベトナムの低温物流市場の市場規模は1億6900万米ドルと推定されている。 また、グローバル市場調査会社Ken Researchのレポートによれば、ベトナムのコールドチェーン市場の市場規模は2021年に18億米ドルに達し、2019年と比較して10倍以上に拡大すると予測されている。
ベトナム現地報道によると、国内市場を主にターゲットする企業のうち8.2%のみがコールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )を適用している。この数値は輸出業者の66.7%をはるかに下回っている。ベトナム市場では流通する商品に対する明確な高い基準が存在していないため、各業者は追加コストが発生することを避けるために、常温で食品を保存し、コールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )を使用しない傾向がある。ベトナムの生鮮食品市場ではそもそも損失が程度許容されており、短期間で農場から販売店に運ばれている。
ベトナム現地経済紙によると、現在、多くのベトナム企業は コールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )を投資ではなく、単なるコストと見なしているのが現状である。
ベトナムで低温物流を普及させるためには、コストではなく投資であると認識を変える必要がある。
ベトナムのコールドチェーン市場の有望性
本段落ではベトナムのコールドチェーン市場のポテンシャルについて、「市場規模」と「冷凍冷蔵食品のニーズ」という2つの視点から考察する。
ベトナムのコールドチェーン市場の規模
ベトナムのコールドチェーン(冷蔵・冷凍輸送)市場のポテンシャルは高い。日本国内の低温物流最大手であるニチレイロジグループの発表によると、ベトナムのコールドチェーン市場はASEANトップの規模である。
ベトナムの倍近い人口のインドネシアよりも、ベトナムの方が有望だと評価されている。また、フィリピン、マレーシアの市場規模の約2倍である。
ベトナムのコールドチェーン市場は、ASEANの中でも頭一つ抜けてポテンシャルが大きいと言えるだろう。
ベトナムにおける冷凍冷蔵食品のニーズ
上記のグラフは、ASEANの4国における冷凍冷蔵食品の1人当たり市場規模を表したものである。マレーシアでは1人当たり年間30キロの冷凍冷蔵食品を消費しているということを指している。ベトナムでは13キロ、フィリピンでは8キロ、インドネシアでは6キロである。
マレーシアが2番目のベトナムの倍以上消費しているが、これは2013年の情報であるため、各国の消費量は変動していると考えられる。
前述したコールドチェーン市場の規模では、ベトナムはマレーシアの2倍であった。このことを踏まえると、今日のベトナムにおける冷凍冷蔵食品の消費量はさらに増加していると考えられる。
「冷凍冷蔵食品のニーズが増加している」という点も、ベトナムのコールドチェーン市場のポテンシャルの高さを示唆している。
ベトナムコールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )の主要な企業
コールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )を提供する企業は需要が高い南部地域に集中している。ベトナム南部は平均気温が27度で年間を通して高温であり、北部とは大きく気候が異なるため、コールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )のニーズも高い。全体の企業数のうち、76%がベトナム企業、残りの24% が外資系企業となっている。
主要な企業としてはTransimex、Gemadept、Saigon Newportなどのロジスティクス業界の大手企業があげられる。そのほか、ベトナム国内で大規模な低温物流システムを開発している企業は、水産関係の大手企業も含まれている。
Mekong Logistics(GemadeptとMinh Phu Seafood Companyの合弁会社)は、メコンデルタ地域で最大規模の冷凍倉庫を所有している。 Hung Vuong Pangaは60,000パレットの冷蔵倉庫を所有しており、これは東南アジアでの最大の冷凍倉庫である。
外国企業で代表的な企業としてはSCS Vietnamが挙げられる。SCS Vietnamはベトナム全国に広がる倉庫システムで温度制御ネットワークを運用しており、様々な技術、高度な統合倉庫および出荷技術を使用して、約275,000パレットの冷凍倉庫の総面積を管理している。
低温度帯対応の倉庫はベトナム市場全体の需要の約30〜35%しか対応されていないと言われている。現状では、輸入出のための倉庫が多く、国内市場向けの冷蔵・冷凍庫が少ない状況である。
ベトナム全国に48の大型の低温度帯対応の倉庫があり、総容量は約70万パレットに及んでいる。内訳を見ると、南部には526,364パレットの容量で、36か所の低温度帯の倉庫が立地している。一方で、中部には倉庫が1か所(21,000パレット)しかない。北部には合計54,780パレットで、11か所の冷蔵・冷凍倉庫がある
現在、冷凍倉庫の供給は需要に比べてまだ不足しており、保管料が高い。一部の倉庫では商品を預けるまで1年前から予約しなければならない場合もある。
コールドチェーン代表企業① ABA Cooltrans
- 会社名:ABA Business Solutions Corporation (ABA Cooltrans)
- 設立:2008
- 本社:ホーチミン市
- ホームページ:https://aba.com.vn/
- 会社概要:
ABA Cooltrans(ABA)は、ロジスティクスおよび低温物流サービスの分野でベトナムを代表する企業である。 CEL Vietnamの調査によると、ABAは冷蔵運送の分野で12%の市場シェアを持ち、冷凍倉庫の分野で第3位の大手だと評価されている。
ABA Cooltrans(ABA)は、15,000パレットの冷凍庫と2500m2の冷蔵倉庫を含む17ヶ所の倉庫をベトナム全国に所有している。 また、冷運送の分野としては、ABAは冷凍品の運送専用トラック(0~‐22度)が300台以上、冷蔵車が1000台以上(関連会社の車両も含む)を操業している。
コールドチェーン代表企業② TAN BAO AN(運送)
- 会社名:Tan Bao An Logistics Joint Stock Company (TBA)
- 設立:2010
- 本社:ホーチミン市
- ホームページ:http://www.xelanhtba.com/
- 会社概要:
Tan Bao An(タンバオアン)は、ベトナム南部での冷凍・冷蔵輸送を専門とする企業である。同社の運送車両のすべては、韓国、日本、米国から完全に輸入された冷凍システムを備えて、1.4トンから18トンまでのあらゆる種類のトラックを82台所有している。
輸送中の商品の安全や温度を確保するために、車両には最新のショックアブソーバー、GPS追跡、およびスマート温度測定装置が装備されている。現在、タンバオアンは同社の冷蔵サプライチェーンを完成させるため冷蔵倉庫を建設する方向を固め、海外からの有力なパートナーを探索している。
コールドチェーン代表企業③ FM Logistic(倉庫)
- 会社名:FM SUPPLY CHAIN VIETNAM COMPANY LIMITED (FM Logistic)
- 設立:2017
- 本社:ホーチミン市
- ホームページ:https://www.fmgloballogistics.com/
- 会社概要:
FM Supply Chain Vietnam(FM)は、フランスからのFM Logisticグループの子会社である。 FM Vietnam は2017年にベトナムのコールドチェーン市場に参入し、2019年からビンズオン省で6,500 m2の面積を持つ最初の冷蔵倉庫を操業開始した。
2021年時点で、同社が所有するベトナムの倉庫のキャパシティは約10,000パレットである。加えて、同社はベトナム市場のポテンシャルを高く評価しており、2019年4月にバクニン省に総額3000万米ドルの冷蔵センターを建設することを決定した。
このバクニン倉庫は2022年までに建設が完了する予定で、この倉庫の操業開始によりFM Vietnamの冷凍・冷蔵庫の総キャパシティは約52,000 m2、70,000パレット増加すると予測されている。
また、FM Vietnamは今後ベトナムにある日用消費財(FMCG)の会社を中心にサービスを提供する方針を発表した。
ベトナムコールドチェーンの課題と打開策
課題
ベトナムでは冷凍倉庫の建設費は、常温倉庫の建設費よりも2〜3倍高くなる。同様に、コールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )に投資する場合、企業は多くの初期費用が必要となる。コストの問題は輸送事業者がコールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )に事業に参入する大きな壁となっている。
また、経済成長とともにベトナム国民の収入が増加しており、食品への需要も増加している。これにより、冷凍食品の保管・運送の流通量も継続的な増加が見込まれる。それに対して、冷凍倉庫の建設期間が通常の倉庫より長くなってしまうため、冷蔵対応倉庫の供給が大幅に不足している現状だ。
鉄道の冷蔵輸送は困難である。鉄道輸送、特に鉄道のコールド輸送は非常に安価であり、トラックよりもはるかに大量に輸送することができる。しかし、ベトナムの鉄道輸送は未発展である。ベトナムの現在の鉄道は主にフランス統治時代に建設された線路であり、ベトナム政府はこれまで鉄道の開発に焦点を合わせていなかった。
コールドチェーン市場は断片化されており、地域の中小地場業者が多数存在している。 各地域で約2〜5台の冷蔵トラックを所有している中小企業は、その地域と周辺の市場を独占しているケースがある。しかし、これらの企業では、運送の温度確保などサービスの品質に問題が発生することが珍しくなく、利用する業者はリスクを多く背負っている。
ベトナムで最大の冷蔵輸送会社であるABA Cooltransでも、冷蔵輸送市場のわずか12%のみを占めている。したがって、ベトナムのコールドチェーン市場のシェアを取得したい大企業は、ローカルの中小企業と競争しなければならないため、市場参入をする前に、入念な調査や戦略を策定する必要がある。
打開策
水産の加工会社や食品小売業者などは、独自の倉庫、車両群を開発するか、各地域で中小規模の輸送企業を統合することが多い。例えば2000の食品小売店舗(Bach Hoa Xanhブランド)を操業しているベトナム大手のThe Gioi Di Dongは、野菜、果物、乳製品、アイスクリーム、加工食品など保温が必要な製品を運送するため、200か所の冷凍・冷蔵庫、50台の冷凍車で自社が主導する独自の低温物流システムを開発する。
また Hung VuongやMinh Phuなどの大手の水産加工企業も、Gemadept、Sai Gon New Portなどの大手ロジスティクス企業と協力して独自の大規模な冷凍・冷蔵倉庫を構築している。
コールドチェーン( 冷蔵冷凍輸送 )への参入、冷凍車両の購入、大型冷凍倉庫の建設へ投資するプレーヤーは増加が見込まれる。2020年、Hung Vuong Warehouse (約60,000パレット)、 AJ Total Long Hau (32,000パレット)、AJ Total Hung Yen (25,000パレット)などの建設中の大型冷凍倉庫が多数ある。また、国内消費向けの商品を保管するため、メーカーによる自社冷凍倉庫の開発も進んでいる。
冷凍輸送企業の代表的な企業であるABA Cooltransの代表者は、今後5年間で冷凍輸送車両の数を5倍に増やすと述べている。需要の拡大とともに、競争関係の激化も見込まれる。
また、ベトナムのコールドチェーン市場のポテンシャルを認識しているのはベトナム国内企業だけではなく、外資系の企業の動きも出てきている。前述したフランスのFM Logisticsに加えて、特に台湾からのロジスティクス企業は台湾コールドサプライチェーン協会を通じて、ベトナムに参入する意向を表している。
成功したプロジェクトの事例
本章ではベトナムで成功した、コールドチェーンプロジェクトの事例を紹介する。
Hung Vuong水産株式会社(水産加工)
大手水産加工会社はHung Vuongが1兆3000億ドン(約61億1000万円)を投じ、ホーチミン市に6万パレットの冷蔵倉庫を新設している。この冷蔵倉庫は約4ヘクタールの土地に建てられ、60,000パレットで、60,000〜70,000トンの商品を保存できる。
これまでのところ、この冷蔵倉庫はベトナムと東南アジアで最大の冷蔵倉庫であり、世界では2番目のキャパシティを持つ施設である。(世界最大はスペインにある65,800パレットの冷蔵倉庫)。
HVGによると、ベトナムの冷蔵倉庫の平均賃料を約20,000 VND /トン/日とすると、同社はわずか4年でこの倉庫に投資した資金を回収できると考えられる。
Minh Phu株式会社
2016年ベトナム大手水産加工Minh Phu社は、ハウザン省のSongHau工業団地に50,000パレットの冷蔵倉庫の操業を開始した。この50,000パレットの冷蔵倉庫は、Minh PhuとGemadept Group(ベトナムの大手ロジスティクス会社)が共同投資し、プロジェクトの総投資金額は3,000億ドン(1億5000万円)だった。
倉庫の面積は約50,000m²で、Hung Vuong社60,000パレットの冷蔵倉庫の次に、ベトナムで2番目のキャパシティを誇る冷蔵倉庫である。この倉庫は、水産の冷凍保存の国際基準を満たし、省エネルギー、再生可能エネルギーなど最適なソリューションで設計されている。
Bach Hoa Xanh (The Gioi Di Dong グループ)
Bach Hoa Xanhは、独自のコールドチェーン開発戦略を構築する食品小売チェーンである。2021年の時点で、Bach Hoa Xanhは、300台以上の冷蔵・冷凍庫を含む低温物流システムを自己開発していた。ホーチミン市の中央冷蔵倉庫に加えてBach Hoa Xanhはまた、生鮮食品のオンライン販売を実行するため、各地域にも多くの冷蔵倉庫を開設した。
Bach Hoa Xanhの特別な点は、店舗を展開している地域で、その地域の中小冷蔵輸送事業者をM&Aする戦略を実施していることが見られる。
コールドチェーンの発展で恩恵を受ける業界
食品
ベトナム商工省の統計によると、野菜や果物の生産から消費者までのロジスティクスコストは29.5%であり、米の場合は30%を占めている。ロジスティクスコストを削減するために、ほとんどの主要な食品小売企業は独自のコールドチェーンを開発している。
しかし、冷蔵輸送システムの発展は、中小食品企業が販売コストを大幅に削減でき、それによってベトナムの食品価格を下げるのに貢献する可能性が高い。
また、ベトナムで卸売業者(商社)、特に食品はあまり発達しておらず、ほとんどの食品メーカーは商品の配送・輸送を自ら行わなければならない事実がある。商売ネットワークとロジスティクスを展開する能力を持つ卸売会社は、ベトナムでのコールドチェーンの発展に大いに役立つと思われる。
農水産物
Minh Phu、Vinh Hoan、Sao Taなどの農水産業の大手は、独自のコールドチェーンを開発する能力を十分に持つが、資金力を持たない中小企業のほとんどは、ロジスティクス企業に依頼するしかない。
ベトナム商工省の統計によると、ベトナムの農産物の販売原価において、ロジスティクスコストが約20〜25%を占めており、東南アジアの他の国の平均である10〜15%の水準と比較してかなり高いとわかった。
このような状況下で、2019年ベトナム農業・農村開発省は、農水産物のロジスティクコストを下げるためにコールドチェーン開発を奨励する政策を作成するよう中央政府に提案した。
2019年の民間企業により実施されたベトナムのロジスティクス調査によると、ホーチミン市からハノイ市までの農水産物のロジスティクコストは、ホーチミン市からアメリカまでのロジスティクスコストより高いと発表された。これはベトナムのメディアで「ショック」という言葉と共に掲載された。
医薬品
ベトナムにおける製薬の原材料の9割は中国やインドなど海外から輸入されており、医薬品の9割は国内で消費されている。したがって、製薬業に対して国内のコールドチェーンは非常に重要な役割を持つと考えられる。
ベトナムの製薬会社は食品会社とは異なり運送量が少ないため、製品の運送を外部の輸送会社に依頼することが多い。医薬品の運送には高い品質基準が求められるため、多くの製薬会社は優れたサービスを備えた大規模な輸送企業を選択している。
ただし、これらの大規模な輸送事業者はトラッキング、スマート温度測定などを備えており、それらのサービスがない他の一般なベトナムの冷蔵輸送業者と大きな設備格差がある。そのため、サービスコストが非常に高くなることがよくある。
したがって、ベトナムにおける低温物流サービスの品質と輸送能力の一般的な基準を引き上げることで、輸送コストが下がると予測できる。これは製薬業だけではなくベトナム企業の全体にとって非常に有益である。
結論:投資コストが課題だが需要は今後も拡大
現在、ベトナム政府は、ベトナムのコールドチェーン開発のためのインセンティブ政策を作成することに注力している。また、経済発展によりベトナム国内消費の需要が増加して、モノの流通するスピードも増加している。
そのため、ベトナムでは外資系や国内の大手ロジスティクスへの参加がますます多くなっていることから、ベトナムのコールドチェーンは今後急成長すると予測する。 それにより、農産物、生鮮食品、飲食、医薬品、そしてベトナムの全消費者が恩恵を受けるだろう。
また、日系企業の持つ技術やノウハウ、品質水準はベトナムのコールドチェーン市場が求めているものであり、参入が期待される。もちろん、コールドチェーンがさらに発展することは、日本の食品・製薬会社にとっても大きなチャンスである。
また、ベトナムの経済成長の仕方は、よく日本の高度経済成長期に似ていると言われる。コールドチェーンについても同様に、ベトナムは日本と似た発展をすると考えられる。
1970年代の日本では、トラックによる輸送が増加し、生鮮食品・冷凍食品を扱うスーパーマーケットが増加していった。現在のベトナムはこの段階にある。スーパー、コンビニといったモダントレードの市場が拡大し、トラックによる輸送も増加している。
1990年代以降の日本では、冷蔵・冷凍輸送の小口化が進んだ。並行して、通販や法人向けの小口サービスも増加していった。これはまさに、現在のベトナムが目指している状態である。今後は・冷凍食品の底堅い需要と中食需要の拡大、コンビニエンスストアやチェーンストアの定温度帯商品の拡充が見込まれるのではないだろうか。
日本では低温物流に関連が密接である冷蔵倉庫は、水産品の水揚げが行われる漁港を中心に拡大し、その後、流通の近代化(モダントレードの発展)により畜産品や農産品も保管対象に加わった。ベトナムの冷蔵倉庫は今後大規模化していくと考えられる。
ベトナムではEC(オンラインショッピング)の利用者がコロナ禍をきっかけに急増しているが、このような小口ニーズにはまだ対応できていない。 このように、ベトナムにおけるコールドチェーン(冷蔵・冷凍輸送)市場は、日本と同じように発展していくと考えられる。したがって、技術と経験を有した日本の食品・物流企業がベトナムに参入することは非常に有望である。
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