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ベトナム製薬会社10社の企業分析:M&Aによるベトナム進出に好機


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レポートの概要
  • ベトナム医薬品・製薬業界における主要10社について詳しく分析。この記事では売上高が高い主要10社を分析対象とした。
  • ベトナムは人件費が安価な製造拠点と見られていたが、近年は有望な消費市場として見られている。外資規制も依然として存在する一方で、日本企業にはM&Aを通じたベトナム進出が検討される。

はじめに

ベトナムは外国の製薬会社にとっては有望な生産拠点とされているが、将来的には消費市場としての成長性が高い。長期的な人口増加・経済発展、中間層の拡大、ライフスタイルの変化などの要因による疾病構造の変化が主な成長要因である。

本記事では、ベトナムの医薬品・製薬業界における主要な10社を紹介していき、各社の特徴と業績を分析してきたい。

ベトナム医薬品市場の市場規模

ベトナムの医薬品市場は2020年に約166.1兆ドン(約8,000億円)に達し、2019年の154.5兆ドン(約7,476億円)に比べて7.5%成長すると推定されている。さらに、このベトナム医薬品市場は2024年までに222.7兆ドン(1兆775億円)、2029年には889兆ドン(約4兆3,000億円)に達すると現地報道では報じられている。

ベトナム医薬品・製薬市場は外資規制を含め、種々の規制があるものの、自由化の過程にある。ベトナム政府は外国企業所有の49%の制限を解除し、ベトナム投資を検討する外国投資家にとって見れば、ベトナム製薬会社への投資を行う機会を開いていると考えられる。

①ハウザン製薬(DHG)

  • 会社名:DHG PHARMACEUTICAL JOINT – STOCK COMPANY
  • 設立:1974年
  • 住所:Can Tho(カントー市)
  • HP:www.dhgpharma.com.vn

ハウザン製薬はベトナムで最大規模の売上高を誇る製薬会社である。ハウザン製薬は1974年に「2/9製薬」の名称で国営企業として設立された。2004年に正式に株式化され、2021年現在では、日本の大正製薬がハウザン製薬の大株主となっている。ベトナム政府の国家資本投資経営総公社 (SCIC) は 発行済み株式数の43.3%を所有している。

ハウザン製薬の主な製品は、抗菌薬、鎮痛剤、糖尿病薬、健康食品などである。Haginat(抗菌薬)、Klamentin(抗菌薬)、Hapacol(解熱剤)など、ベトナムの人々の間でもよく知られている有名なブランドがハウザン製薬の収益の70%以上を占めている。

ハウザン製薬の業績についてであるが、直近の売上高は横ばいで推移している。 ただし、主要製品ラインの利益率は依然として良好に維持されており、今後も大正製薬グループの支援により、利益は拡大すると考えられる。

②ピメファコ製薬 (PME)

ピメファコ製薬(旧称Phu Yen Pharmaceutical and Medical Supplies国営会社)は、1989年7月に設立された。 2006年、政府はピメファコ製薬の株式を売却し、民間化した後、社名をPymepharco Joint Stock Companyに変更した。現在、オランダの製薬会社であるStada Service Holding B.V.が大株主であり、ピメファコ製薬の発行済み株式の89.53%を保有している。

ピメファコ製薬の主な事業は、抗菌薬と解熱剤を主な製品とする医薬品、薬草の製造である。また、ピメファコ製薬は親会社のStada Service Holding B.V.の育毛剤、抗菌薬のOEM生産事業も行っている。

ピメファコ製薬の経営状況としては、2019年と2020年に、PMEが抗菌薬の生産を専門とするHoang Van Thu工場の建設に資金を投資していたため、同社の利益は年率約3%増加するにとどまった。この工場は2020年末から生産を開始したため、今後ピメファコ製薬の抗菌薬の売上高及び会社の全体の業績に貢献し、収益は増加すると予測される。

③トラファコ製薬 (TRA)

トラファコ製薬は1972年11月、鉄道医療会社に所属する医薬品製造チームとして設立された。このチームはベトナム戦争で国内の鉄道病院に医療サービスを提供するための血清、輸液、蒸留水を中心に製造していた。

トラファコ製薬の主な事業分野には、薬草の購入、植え付け、または医薬品の生産・加工が含まれる。トラファコ製薬の主な製品は「Boganic」肝臓強壮剤と「Hoat Huyet Duong Nao」脳の強壮剤である。 市場調査会社のACNielsenは、トラファコ製薬はベトナムの製薬業界で最もブランドの健全性が高いと評価しており、トラファコ製薬の「Boganic」と「Hoat Huyet Duong Nao」製品は、同じクラスで研究された医薬品の中で、ベトナム人にとって最も有名なブランド製品だったという。

トラファコ製薬の業績については、近年新しい流通システムの構築するための費用が大きな割合を占めている。 過去2年間で新たな8つの流通支店を開設したことにより、人件費と販売費が増加したが、未だ効果的な収益は得られていない。 これらの流通支店を維持するための費用により、トラファコ製薬は2017年と比べ、2020年の税引後利益は2割近く減少した。

また、トラファコ製薬は原料がほとんど国内で調達できているため、利益率は製薬業界で最も高い (40%以上)。

④ドメスコ製薬 (DMC)

  • 会社名:DOMESCO Medical Import Export Joint Stock Corp
  • 設立:1972年
  • 住所:Dong Thap(ドンタップ省)
  • HP:https://domesco.com/

ドメスコ製薬は1980年4月、ドンタップ省内の医療機器の供給と修理を対応するため、「ドンタップ医療機器修理会社」として設立された。 2004年、ドメスコ製薬は民間化され、社名をDomesco Medical Import-Export Joint StockCompanyに変更した。 現在、ドメスコ製薬の大株主は、アメリカのAbbott LaboratoriesHoldco SpA(51.69%)とベトナム政府の国家資本投資経営総公社 SCIC(34.71%)である。

ドメスコ製薬は、Dopadin(心臓病)、Dorosur(糖尿病)などの主要製品を持ち、心血管薬、糖尿病、抗菌薬を中心に生産・販売している。

ドメスコ製薬の業績は近年横ばい傾向にある。収益については、ドメスコ製薬が安定的な企業とされ、もはや成長期は数年前に通過したと評価されている。

⑤イメックスファーム:IMEXPHARM (IMP)

  • 会社名:Imexpharm Pharmaceutical Joint Stock Company
  • 設立:1992年
  • 住所:Dong Thap(ドンタップ省)
  • HP:http://www.imexpharm.com/en/

イメックスファームの前身は、ドンタップ保健所傘下のドンタップ製薬組合であった。1992年11月、ドンタップ製薬組合はドンタップ製薬会社に改名された。その後、2001年、ドンタップ製薬会社は国営会社から民営化され、220億ドンの資本を持つ製薬会社、「イメックスファーム」の名前に変更した。 現在、イメックスファームの大株主はSK Investment Vina III Pte.Ltdファンド(韓国の巨大SKグループ傘下の投資ファンド)である。

Imexpharmの主な製品は病気を治療するための医薬品であり、その中でも下痢薬のLopradiumと抗菌薬のDoxyclinが主要製品となっている。

2020年、コロナの流行により、ベトナム人が病院に行くことを控えたため、イメックスファームの主要な病院販売チャネルに影響を及ぼした。そのため、イメックスファームの2020年の売上高は初めて減少した。 しかし、イメックスファームは依然としてベトナムの製薬業界で大きな成長の可能性を秘めた製薬会社の1つと見なされている。 イメックスファームはまた、2019年にフォーブス (Forbes) が発表したベトナムの「ベスト上場企業」トップ50に入った。

⑥ビンディン製薬‐BIDIPHAR (DBD)

  • 会社名:Binh Dinh Pharmaceutical and Media Equipment Company
  • 設立:1995年
  • 住所:Bind Dinh(ビンディン省)
  • HP:https://www.bidiphar.com

ビンディン製薬は1995年に設立された。医薬品の生産と販売がビンディン製薬の主な収入源であり、売上高の約89.5%を占めている。主要製品は抗菌薬と癌治療薬であり、医薬品事業の売上高に56.1%を占めている。

ビンディン製薬の主要な製品は、Bifumax(抗生物質)、Fluorouracil(癌治療薬)であり、特にFluorouracilはベトナムで製造された最初の癌治療薬である。

ビンディン製薬の売上高と利益は、近年横ばい、または減少傾向にある。 さらに、新型コロナの流行により外国人専門家の移動が制限されたため、ビンディン製薬の新しい生産ラインの投入や生産開始が大幅に遅れ、工場の生産力に悪影響を及ぼした。ビンディン製薬の工場及び生産ラインの効率が非常に低い状況にある。ピル型および液体の薬の生産工場は、平均して設計された生産能力の8〜20%でしか稼働していない。

また、ビンディン製薬の原材料供給の80%が海外輸入に依存しており、コロナの流行による輸送および輸入コストの増加も、ビンディン製薬の利益を減少させる要因となっている。

⑦メコファー製薬製薬 (MKP)

  • 会社名:Mekophar Chemical Pharmaceutical Joint-Stock Company
  • 設立:1975年
  • 住所:ホーチミン市
  • HP:https://www.mekophar.com/

メコファー製薬は1975年に「中央製薬24」(ベトナム薬品総公社に所属)という名称で設立された。 メコファー製薬は300種類を超える製品を製造するライセンスを取得している。 2016年、日本の大手製薬ニプロ株式会社は、第三者割当増資を引き受け、メコファー製薬の株式を取得している。

メコファー製薬の主力製品は抗菌薬であり、AmoxicillinとEthbutolのブランド名を持っている。

近年、販売管理費が急増しているものの、売上高は伸びておらず、わずか3年で4倍近くの減益となっている。

⑧OPC製薬 (OPC)

  • 会社名:OPC PHARMACEUTICAL JOINT STOCK COMPANY
  • 設立:1977年
  • 住所:ホーチミン市
  • HP:https://opcpharma.com/

OPC製薬は1977年に「中央製薬 26」(ベトナム薬品総公社に所属)という名前で設立された。2002年、ベトナム首相はPC製薬の民間化を決定し、200億ドンの資本金を持つ「中央製薬 26」が「OPC製薬」という名前に変更された。

OPC製薬の主力製品は、風油、咳止め薬、霊芝である。 特に、「Cao Sao Vang」という風油は、ベトナム国内外で人気のある製品として知られる。風油とは瓶に詰められた油で、主に炎症や痛みを鎮めたり、気分をすっきりさせたりする目的で使用される。

業績については、近年、OPC製薬の風油製品が他の製薬会社との激しい競争に直面しているため、売上高は横ばい傾向にある。

⑨クーロン製薬 (DCL)

  • 会社名:Cuu Long Pharmaceutical JSC (DCL)
  • 設立:1976年
  • 住所:Vinh Long(ヴィンロン省)
  • HP:http://dcl.com.vn/

クーロン製薬は1976年に「クーロン製薬会社」という名前で設立された。2004年、ベトナム政府はーロン製薬の株式を売却し、正式に民間化された。そして「クーロン製薬会社」という名前から、「クーロン製薬(PHARIMEXCO)」に変更された。

クーロン製薬の主力事業は解熱剤の生産である。クーロン製薬のPANALGANとPARASETAMOLという解熱剤はベトナム人によく知られている。

クーロン製薬は近年、新製品の研究開発に多額の投資をしていたために、会社の売上高と利益が減少する傾向にある。 2016年、クーロン製薬は癌治療用の新薬の開発を目的としてBenovas 「Medical Equipment Joint Stock Company」という子会社を設立した。現在、ベトナム保健省から2つの癌治療用の医薬品の生産の免許を取得している。

⑩ベンチェ製薬 (DBT)

  • 会社名: Ben Tre Pharmaceutical Joint Stock Company
  • 設立:1983年
  • 住所:Ben Tre(ベンチェ省)
  • HP:https://bepharco.com
  •  

1983年、ベンチェ省製薬会社とベンチェ製薬組合が合併した結果、「製薬および医療用品会社(Bepharco)」が設立された。その後、2004年に民間化され、「ベンチェ製薬株式会社」の名前に変更された。ベンチェ製薬の主力製品はBepamin(鎮痛剤)とココナッツオイルである。

ベンチェ製薬の特徴は、医薬品の生産に力を入れておらず、国内外の医薬品を中心に流通・販売をしているため、利益率が低い。 医薬品や自社生産の製品の売上高は、事業全体の売上高構造の約12%に過ぎない。

さいごに

ベトナム医薬品市場は今後も高い成長が見込まれる。外資規制が以前として存在するなか、外資規制を回避するためにも、日本企業においては現地企業のM&Aを通じた進出が検討される。

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