バイデン大統領のベトナム訪問中に様々な業界での取引が行われた
アメリカのジョー・バイデン大統領が9月10日~11 日にベトナムを訪問し、両国関係は「包括的な戦略的パートナーシップ」に格上げされ、両国の企業間で様々な契約が締結された。
航空業においては、Vietnam AirlinesがThe Boeing CompanyからBoeing 737 MAXを少なくとも50機、約100億ドル相当で購入するための基本合意書(MOU)に調印した。また、Vietjet Airはアメリカの大手金融機関Carlyleから、5億5000万ドルの資金調達をした。その金額の一部を、今後購入予定であるBoeing 737 MAX型航空機200機の購入に充てる予定である。
金融分野においても進展が見られ、DFC(米国際開発金融公社)がTPBankとVPBankにそれぞれ1億ドルと3億ドルの融資をすることとなった。また、Beacon Fundは5000万ドルの融資を受け、女性経営者が運営する中小企業を支援する。
米国国際開発庁(USAID)は、ベトナムにおける技術向上とデジタル成長の促進を目的に、1,275万ドルの初期投資を行う計画である。これにより、ベトナムの大学教育システムの現代化および国際化が進められる。さらに、USAIDはメコンデルタ地域での気候変動対策プロジェクトに1,141万ドルを投じ、地域の気候変動問題への対策を講じる。
半導体分野では、Amkor Technologyが2023年10月に新しい16億ドルの工場をバクニン省に建設する予定である。また、Synopsysは高性能半導体の設計と育成を進める予定である。Marvell Technologyも、ホーチミン市に半導体設計センターを設立する計画を発表した。
IT分野では、MicrosoftとTruthing Socialが、ベトナムと新興市場に適したAIベースのソリューションを開発するための協力に合意した。NVIDIAは、クラウド、自動車、およびヘルスケア分野でAIを展開するために、FPT、Viettel、VinGroupと連携している。MetaもベトナムでのDXを推進する「ベトナムイノベーションチャレンジ」を発表し、中小企業におけるDXを促進するプログラムを推進する方針である。
観光と交通分野では、3Mがベトナム交通輸省(MOT)と協力し、交通安全を向上させるための取り組みを実施する。Nobu Hospitalityは、ベトナムのViet Capital Real Estate(VCRE)と提携し、ベトナムにホテル、住宅地、レストラン分野で進出する予定である。
SSA Marineは、ベトナムのGemadeptとベトナム南部の港湾プロジェクトで67億ドルの投資を行う協力意向を発表した。Australisはカインホア省と協力し、持続可能な水産養殖活動を1億ドル以上で拡大する予定である。
ベトナムの企業もアメリカ市場への投資を進めている。VinFastは40億ドルの投資を行い、ノースカロライナ州にて電気自動車(EV)製造工場を建設している。また、FPTグループは年末までに1億ドルを投資し、アメリカで約1,000人の従業員を採用する計画である。
各業界において、大規模な投資や協力が計画されており、これらはベトナム経済の多面的な発展に寄与することとなる。特に、半導体とIT分野における新たな取り組みや投資は、ベトナムのテクノロジー産業の成長を促進し、DXを加速することとなる。これらの協力関係が具体化し実行されることで、ベトナムはアジアにおける重要なテクノロジーのハブとしてのポジションを強化できる。バイデン大統領の訪問は、アメリカとベトナムの新たな関係の幕開けを象徴しており、両国間の関係がこれからも深まっていくことが期待される。