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2021年のベトナム経済を見通す着眼点 -2020年のベトナム経済の振り返りから-

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2020年は新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスで幕を閉じたという困難な1年であったことは間違いない。周知の事実のように、新型コロナウイルスが世界経済に与えた影響は非常に大きく、2021年もしばらくの間は新型コロナウイルスの影響が続くものと考えられる。

2020年のベトナム経済

ベトナムは、新型コロナウイルスの初期的な封じ込めに成功した国の1つとなった。新型コロナウイルスが世界的に拡大した第1波の時期、ベトナム政府は2020年3月末に、ベトナム全国で「社会隔離措置」と呼ばれるロックダウンに近く、経済・社会活動を厳しく制限する措置を決定した。この時点で、過去1週間の新規感染者数は10人程度に過ぎず、ベトナム政府がロックダウン措置を導入したという決定は極めて迅速な決断だったと言える。これにより、生活必需品を提供する商業施設以外は営業停止となったが、4月中旬頃には市中感染者の発生が収まり、制限措置が段階的に緩和されるとともに、5月初旬以降はほぼ全ての経済・社会活動が再開された。

こうした経緯から、ベトナムは新型コロナウイルスによる経済への影響が他国と比較すれば少ないものとなったが、経済活動の制限による経済へのマイナス影響は様々な指標にも表れている。まずは実質GDP成長率であるが、2019年は7.02%のプラス成長をしていたが、2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は0.36%と辛うじてプラス成長を維持した。その後、第3四半期(7~9月)は2.62%と回復。各国がマイナス成長に落ち込んでいる中、ベトナムは2020年もプラス成長を維持したことは注目に値する。

各産業の概況

産業別に見てみると、宿泊・飲食関連の落ち込みは著しい。第2四半期における宿泊・飲食業はマイナス28.5%を記録しており、第3四半期でも依然として9.78%のマイナス成長であった。ロックダウンの影響を直接的に受けた業界となり、アウトバウンド需要がなくなったことの影響も大きいだろう。これまで外国人観光客は年間1,800万人程度がベトナムを訪れていたが、それが2020年にはほぼゼロになった。

個人消費

一方で、国内の個人消費は堅調に推移している。小売業全体の売上高を月別に見てみると、4月には前年同期比で-26.0%と大きく落ち込んだが、6月には5.3%までプラス成長にまで回復している。しかし、宿泊・飲食、旅行関係は前年同期比でマイナス圏を抜け出せておらず、特に旅行に関しては回復の兆しが見込めない状況が続いている。また、モノの販売は4月のマイナス15.3%の落ち込み以外はプラス成長が続いており、堅調に推移している。自動車の国内販売状況を見てみると、2020年10月には前年同月比でマイナス圏は抜け出しており、前年同期比で15%増の33.3万台に達した。4月の落ち込みで底をついた以降は右肩上がりで増加を続けており、需要が回復している。

貿易

輸出に関しても回復基調にある。4月には前年同月比13.9%減と大きく落ち込んだが、6月にはプラス成長に転じており、9月には16.6%増と2桁の増加まで回復した。特に、ベトナムローカル企業の輸出が好調であり、4月にもマイナスに転じることはなく、その後も成長が続き、9月には40.9%増にまで増加した。一方で、外資系企業の輸出は回復が遅れており、9月にようやくプラス成長に転じた。1~9月の輸出を国・地域別に見てみると、アメリカ向けの輸出が前年同期比で22.9%増加していることは、注目に値する。米中貿易摩擦を背景とした製造拠点の中国からベトナムへの移管は以前からの傾向でもあったが、新型コロナの感染拡大により、サプライチェーンにおける中国一極集中のリスクが顕在化する形となり、中国からベトナムへの移管は2021年以降ますます拡大していくものと考えられる。

外国直接投資(FDI)

次に、外国直接投資(FDI)の動向であるが、2020年1~9月の外国直接投資の新規認可において、件数ベースで29.4%減の1974件、金額ベースでは5.6%増の104億ドルという結果であった。但し、2020年内には大型案件であるシンガポールによるLNG火力発電所の投資案件が含まれているため、この案件を除いた場合は41.7%の減少となる。渡航制限が続く中では投資に関する企業の意思決定にも大きな影響があるものと考えられる。一方で、ベトナム国内でのコロナ封じ込めや国内経済のプラス成長を背景に、ベトナムでの代替生産やベトナム現地サプライヤーへの変更といった動きも見られるようである。

以下の図表は2020年において投資額が大きいFDI主要7案件を整理したものである(2020年10月末時点)。これを見ると、エネルギー関連の案件が目立っており、ベトナムで増加し続けるエネルギー需要に対する投資は2020年も積極的に企業が投資の意思決定を行ってきたことが伺える。

内需をターゲットとした日系企業のベトナム進出

また、2020年は内需をターゲットとした日本企業のベトナム進出も相次いだ。例えば、株式会社マツモトキヨシホールディングスは10月にベトナム1号店をホーチミン市にオープンさせた。健康食品や化粧品、衛生用品、日用品、食品などを取り扱っており、同社は現在関連会社にタイや台湾をはじめとするアジアを中心とした海外市場への進出、展開を加速させている。また、「無印良品」を展開する良品計画は11月に1号店をホーチミン市にオープンしている。東南アジアでは最大規模の店舗で、文房具や化粧品、衣料品、食品、家具など幅広い製品ラインナップを展開しているほか、ハノイ市への出店も計画している。更に、同社は12月には生産管理拠点をベトナムに設立しており、ASEAN域内におけるソーシング・生産品質管理を強化していく方針だ。

また飲食関連では、12月に吉野家ホールディングスは、海外吉野家の25番目のエリアとしてベトナムホーチミン市1区に1号店を出店した。同社はベトナムの企業であるV Lotus Holdings Join stock Companyとフランチャイズ契約を締結し、ベトナムにおける吉野家フランチャイズ加盟を授権していた。同社は3年以内に5店舗以上の出店を計画している。

2021年のベトナム経済の見通し

2021年を迎えた現在でもなお、外国人のベトナム入国制限は続いており、これが外資系企業の投資のボトルネックとなっている。また、観光産業の復活には外国人観光客が戻ってくることが前提条件となるが、これも具体的にいつになるかは見通すことが難しい。ベトナム政府は外国人観光客の入国制限の解除には慎重な姿勢を見せており、2020年10月末から長期滞在を対象に外国からの観光客の受入れを再開したタイとは対照的である。尤も、タイは観光収入が対GDP比で12.5%を占めていて、これはASEAN域内ではカンボジアの18.0%に次ぐ高さであり、観光産業の位置づけはベトナムとは事情が異なっている。

とりわけ重要となるのが、外資系企業が投資を進めるにあたっては、意思決定を行う経営層、管理層、実行部隊となる専門家・技術者の出張や滞在が不可欠となる。しかし、入国は認められているものの、事前の承認手続きや入国後14日間の隔離が必要となる等、入国のハードルは依然として高い。短期出張者に対しては、隔離なしで入国を認める方針を検討しているものの、具体的な運用には至っていない。

また、2020年1月にはベトナム共産党の党大会が開かれる。ベトナムでは5年に1回開催される共産党全国代表者大会(党大会)で、その後 5 年間の党規約改正や党人事が決定される。前回の党大会は2016 年 1 月であったため、次の開催は2021年1月の党大会ということになる。今後5年間のベトナム政府の方針を見る上でも、2021年党大会にも注目が集まる。

2021年も引き続き、新型コロナの影響を受ける年になると考えられるが、他国と比較すれば、国内経済が微増ながらも堅調に成長しているベトナムは日系企業にとっても有望な市場となることは間違いないだろう。製造拠点における中国からの移管先として、または内需をターゲットとした消費市場として、ベトナム経済は2021年も動向が注目される。

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