ベトナムで高齢化が進み医薬品市場が拡大している

ベトナムの医薬品市場の現況

ベトナムの医療品市場は、人々の健康意識の高まりやEC市場の拡大を背景に急速に成長している。ベトナム計画投資省（MPI）によれば、ベトナムの医薬品市場は、2015年の3.4億米ドルから2022年には約7億米ドルに成長した。2030年までには市場総額が13億米ドル以上に達するという予測もある。（BMI Research調べ）また、ベトナムはファーマージング市場に位置づけられ、今後3年間で最も医薬品への支出が増加する国の一つとして見込まれている。（IQVIA Institute調べ）

＊ファーマージング(Pharmerging)とは、医薬品市場での地位は高くないが、急速な成長を遂げている医薬品新興国の意。

特に、ベトナムではOTC医薬品（処方箋なしで販売される薬品）が非常に注目されている。6.2万の薬局がOTCチャネルに参加しており、このチャネルは医薬品市場の30％を占めている。

また、ヘルステック分野への投資も増加しており、2023年上半期に、前年同期比の118％増の5350万ドルが投資された（Tracxn Technologies調べ）。

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ベトナムで高齢化が進み医薬品市場が拡大している

ベトナムの医薬品産業は、ベトナムの高齢化と医薬品への支出の増加により、長期的な成長を続けている。Rong Viet Securities（ロンベト証券）は、2020年から2023年にかけて、ベトナムの医薬品産業が年間約10％の成長率での急成長しているとの見通しを示している。

COVID-19流行時には、呼吸器および免疫製品への支出が増加し、成長率が加速した。2023年にはパンデミックが終息したため、成長ペースが緩やかとなり、市場規模は85億ドルに達し、前年比6％の増加となった。

具体的には、病院での売上高（ETCチャネル）が34億ドルに達し、前年比18％増加し、市場規模の40％を占めた。政府の支援政策による恩恵を受け、医療法（修正法15/2023/QH15）、登録薬の期限延長に関する決議（80/2023/QH15）、公共センターでの医薬品入札の障壁解消により、成長率が急激に上昇した。

一方で、OTCチャネルの売上高は51億ドルとなり、前年比1％減少で、市場シェアは前年比4％減少し、市場規模の60％となった。パンデミック後、OTCチャネルの成長率はマイナスに転じ、人々が病院を再び利用することで、小売チャネルでの医薬品需要が減少した。

アメリカ大手医療グループIQVIAの調査によると、2023年から2027年にかけて、世界の医薬品支出は年間3％から6％の成長率で増加し、2027年には19兆ドルに達すると予想されている。2020年から2022年のCOVID-19流行期間を経て、全体的な成長率は安定し、2024年以降は安定した軌道に戻ることが見込まれる。

ベトナム統計局によると、ベトナムにおける2022年の60歳以上の人口は1300万人で、総人口の13.17％に相当する。これは、2050年には2922万人、総人口の25.35％に増加することが予測されている。