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ベトナムでの健康食品販売:消費者理解が事業成功のカギ

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ベトナムでは経済発展に伴う中間層・富裕層の拡大から、健康食品市場が急成長している。特に、日本製のサプリメントや健康食品の人気は高く、今後もベトナム消費者をターゲットとした健康食品の販売は有望な市場の1つであると認識している。

ベトナム消費者をターゲットとした販売の場合、消費者のニーズや嗜好を把握することが重要になる。この記事では、ベトナム健康食品市場の動向を分析し、消費者の嗜好、事業成功の要因について整理していきたい。

昨今ベトナム健康食品市場の様相

ベトナム中間層・富裕層の成長スピードはトップレベル

東南アジア全体での健康食品市場が成長を続けており、調査会社のL.E.K.コンサルティングによれば、東南アジアの市場規模は2016年時点で174億ドルに達しており、2015~2020年内に年平均成長率9%で成長すると予測されている。一方で、ベトナムの市場規模は2014年に約18億ドルで、東南アジアの中では3番目の規模だったが、2020年までの成長率は一番高い。

ベトナム健康食品市場の拡大の背景には中間層・富裕層の拡大が挙げられる。2030 年にかけてベトナムでは中間層が急拡大し、全世帯の49%が中間層となる見通しが立てられている。ベトナムの超富裕層人口は2019~2023年の5年間で+31%増の見通しで、この増加率は世界で最も高い水準となっている。

ベトナムでは間もなく一人当たりGDPが3000USドルを超えようとしている。一般的に3000ドルを超えると国民による家電製品等の購入が急速に進むとされており、ベトナムでも今後消費者の購買力が急拡大していく見通しだ。

ベトナム健康食品

近代的なドラッグストアチェーンが拡大

ホーチミン市やハノイ市を中心とした都市部では、近代的なドラッグストア、ドラッグストアチェーンの店舗数が増加傾向にある。安全性、品質を重視する消費者が増加しており、信頼の置ける近代的なドラッグストアへの需要が高まっている。

ベトナムの大手ドラッグストアチェーンと言えば、ファーマシティ(Pharmacity)、メディケア(Medicare)、FPTリテール傘下のロンチャウ(Long Chau)の3社があげられる。最大手のファーマシティは2020年になり、新たに225店舗をオープンし、現在までに480店舗以上をオープンしている。ファーマシティは2021年末までに1,000店舗まで店舗数を拡大する計画だ。

ベトナム健康食品

オンラインでの健康食品販売が市場成長を後押し

近年の市場環境の変化として、EC市場の発展が挙げられる。ベトナム商工省・電子商取引デジタル経済局(iDEA)によれば、2015年時点でベトナムにおけるEコマース(B2C)売上高は40億ドル程度であったが、2019年には倍増の100億ドルまで拡大している。

健康食品・美容製品は、EコマースのWebサイト/アプリケーションで最も購入されている商品・サービスのカテゴリの1つである。商工省によれば、EコマースのWebサイト/アプリケーションで最も購入されている商品・サービスのカテゴリで、「健康食品・美容製品」(21%)はトップの「電子機器」(28%)に次いで、2番目に最も購入されているカテゴリという調査結果が公表されている。

ベトナム健康食品

市場の課題:偽物の健康食品がベトナム市場で流通

市場の課題としては、偽物の健康食品が多く流通していることである。ベトナム人消費者も偽物の存在を認識しており、これがECサイトを通じた健康食品の購入普及の阻害要因となってしまっている。伝統的なパパママショップより、近代的なドラッグストアは消費者の間で広く信頼されており、最も消費者が選択する購入チャネルとなっている。

EC販売であれば、ベトナムの中間業者を経由せず、直接消費者に商品を販売することができる。オンラインでの販売の場合、いかにして消費者の信頼を得られるかが重要なポイントになる。

  • 健康食品に対するベトナム消費者の嗜好

健康食品の販売において、ベトナム消費者ならではの特徴や嗜好を理解することが事業成功の大きなポイントになる。ここではベトナム消費者の特徴をいくつか紹介したい。

  • 知り合いからの情報提供・口コミが購入決定に大きく影響

ベトナム市場で既に広く認知されている人気の日本製健康食品も多くが口コミでベトナム人の間に広まったとされている。ベトナム人は特に家族や知り合い等、自分に近い人物からの提供された情報を強く信じる傾向がある。

そのため、オンラインでの広告宣伝はあくまで商品を選定する段階での情報収集のために閲覧されるものであり、いかに口コミでベトナム消費者に認知されていくかが重要になる。

  • プレゼントの習慣が根付いている

ベトナムでは、記念日等に家族や友人、親戚、同僚にプレゼントをする習慣が強い。更に健康食品はよくプレゼント品として選ばれることが多い。プレゼントは見た目も重要であるため、ベトナム人好みの高級感のあるデザインがいいだろう。

  • 地域によって消費者の嗜好が異なる

一般的に北部と南部では購入に対する考え方が違うとされている。北部では日本製品が好まれる傾向が高く、南部ではオーストラリアやカナダ、アメリカの製品が好む傾向が強い。これは歴史的な背景も影響しているだろう。また、南部の人は北部よりも新製品を好み、北部は既に使い慣れている商品を好むことが多いと言われている。

ベトナム健康食品市場での成功要因とは?

中間層の増加とECサイトの利用拡大により、将来的に市場拡大は続いていくだろう。ベトナム消費者の嗜好や考え方に刺さるマーケティング、販売チャネルの策定が事業成功を大きく左右するだろう。

より重要であることは、ベトナム消費者に直接聞いてみることだ。数百人を対象にオンラインでの定量調査を行えば、ベトナム消費者の健康食品に対する考えや消費行動の実態がクリアになる。また、消費者数名に対してデプスインタビューを行い、商品に対する直接的な意見を根掘り葉掘り聞いていくことも重要となる。

調査を通じたベトナム消費者への理解を深めることが、健康食品の販売事業においては遠回りのようで一番の近道になるだろう。

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