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【解説】ベトナム太陽光発電投資のよくある失敗例と解決策

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今回の記事ではベトナム太陽光発電投資において、日本企業が陥りがちなパターンと解決策について解説していきたい。ベトナムの太陽光発電市場はポテンシャルが高い市場ではあるものの、法規制、技術、ベトナム企業の商習慣の違い等といった観点から、日本企業が参入するうえで直面しがちなパターンが散見される。今回の記事ではその失敗例と解決策を徹底的に解説していきたい。

ベトナム市場の動き

ベトナムの電力・再生可能エネルギー市場の動向

ベトナムでは急速な経済発展を背景に電力需要が成長しており、国内の電源開発が急務となっている。ベトナム政府はこれまで大型火力発電の開発を進めてきたが、世界的な環境保護、再生可能エネルギーの推進により新規開発も難しいうえ、開発中の案件も大幅に遅延している状況だ。
こうした状況を踏まえ、ベトナム政府は太陽光、風力、バイオマス発電を含む、再生可能エネルギーの開発を積極的に進める方針を掲げている。2021年2月にベトナム商工省は第8次国家電力マスタープランの草案を公表し、2045年までに国内の電源容量の約45%を再生可能エネルギーにする計画を立てている。
また、これまでベトナムの再生可能エネルギーの発展に大きく貢献してきたのは太陽光発電である。

ベトナムの太陽光発電の動向

ベトナムで太陽光の電源開発が進んだのは2019年である。ベトナム政府が2019年6月末までに運転開始することを期限に電力の買取価格9.35/kWh(FIT制度)を定めた。その後、ベトナム政府は太陽光発電のFIT制度を地上置き、屋根置き、水上置きの3つのタイプに分類し、2020年12月末の運転開始を期限にFIT制度を改定した。
改定後のFIT制度においては、屋根置き太陽光発電が他のタイプと比較して、高い買取価格(8.38/kWh)が制定されたため、屋根置き太陽光発電への投資が特に進んだ。ベトナム電力公社(EVN)の公表情報によれば、2020年初めには運転開始済みの屋根置き太陽光発電は1GWにも満たなかったが、2020年11月末には2.8GW、12月末には9.2GWと年末にかけて急速に開発が進んできた。
2021年1月以降はFIT制度が適用されておらず、現在、ベトナム政府の内部にて一部入札制度への移行、FIT価格の引き下げ等が議論されている状況である。そのため、現在のベトナムの太陽光発電のマーケットにおいては、新規開発はひと段落した状況であり、セカンダリー市場での案件の売買が活発化している。
ONE-VALUEのこれまでの知見や経験、ノウハウを活かし、日本企業がベトナム太陽光発電の新規開発や案件売買(M&A)を進めるうえでの失敗パターンと解決策を整理した。これらは日本企業がベトナム太陽光発電分野でビジネス展開を進めるうえで直面しがちなパターンであり、いかに対処するかが重要なポイントになると考えている。

ベトナム太陽光発電のありがちな失敗パターン

ありがちなパターン①:FIT制度の期限がタイトである

ベトナムではFIT制度がこれまで制定されてきたものの、適用期限までのスケジュールがタイトになりがちである。2020年12月末が期限となったFIT2が公式に政府の文書で公表されたのは2020年4月初めのことであった。このケースでは政府がFIT制度を公表して運転開始までの期間は9か月程度しかない。
一方で、4月に正式に公表される以前から現地報道や政府の部分的な公表情報により、FIT制度の概要や草案についてはある程度情報収集が可能であった。そのため、ベトナムの電力や再生可能エネルギー、太陽光発電を管轄する政府機関、より具体的には商工省やベトナム電力公社や現地国営メディアの情報を常に収集することが重要になる。また、これらの機関や企業とネットワークを持ち、事前に情報をキャッチアップすることが事前の策としては重要になるだろう。

ありがちなパターン②:送電網への過負荷による出力抑制

ベトナムでは送電網インフラが十分に開発されていない現状である。一方で、太陽光発電の開発に有利である日射量の条件が良好なエリアに開発が集中する傾向がある。具体的に言えば、南中部沿岸地域にあるビントアン省やニントァン省では日射量が非常に良好であることから、太陽光発電の開発が過度に集中してしまった。このエリアでは出力抑制が実際に起きている状況である。これに加えて、FIT期限を直前に1ヶ月程度で数GWが新規導入されるため、短期間で大容量の発電所が運転開始をするというベトナムの特徴もあげられる。
新規開発を行う上では開発地エリアで将来的に出力抑制が起きないかを十分に検討する必要があるだろう。既存の案件を検討する上では、想定発電量と発電量実績が一致しているかをチェックする必要がある。また、ベトナム電力公社が発行する過去のインボイスも入念にチェックし、出力抑制が発生していないか確認が重要となる。

【解説】ベトナム太陽光発電投資のよくある失敗例と解決策

ありがちなパターン③:案件の検討スピードが速い

2021年に入ってからは屋根置き太陽光発電のプロジェクトの売買が盛んに行われている。買い手のプレーヤーとしては現地企業のほか、中国やタイ等の投資家やファンドが主要なプレーヤーとなっている。彼らの案件の買収までにスピードは非常に早い。秘密保持契約から株式購入契約まで僅か1ヶ月程度で進められることは通常である。

ありがちなパターン④:ベトナム企業があまりにも詳細な情報を求める

売り手であるベトナム企業は買い手である日本企業に対して、検討の初期段階から検討方針やオファープライスを詳細に求めることがよくある。日本企業にとってみれば、プロジェクトの詳細な情報が開示されない段階で、詳細に求められても回答できないというのはもっともな言い分ではある。しかし、ベトナム企業は買い手の見極めを目的として、企業の買収に対する本気度を慎重に測ることが多い。ベトナム市場でビジネスを行う上では、ある程度ベトナム企業の商習慣に合わせ柔軟な対応は求められるだろう。

ベトナム企業・市場への深い理解が重要

この記事では、ベトナム太陽光発電の最新の動向とありがちなパターンを解説してきた。いずれにせよ重要なポイントとなるのが、ベトナム市場の動きに対する情報収集と企業の動きに関する深い理解であると考えている。

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