ホーチミン市ビンチャン区タンキエンで、総投資額2,400億VNDをかけたベトナム初の「キャンパス型医療複合施設」が整備されている。ここでは病院、大学、研究センターを一体化させた「医療と自然の融合」が理念であり、患者の治療だけでなく自然環境を活用した回復促進を目指している。
すでにフェーズ1として、ファムゴックタック医科大学第2キャンパスが開設され、教育と実習の拠点が稼働を開始した。今後は敷地を73haへ拡張し、救急センター第2拠点、1,000床規模の整形外科病院、血液銀行、高度検診センター、大学附属病院などが建設される予定である。これらに加え、宿泊施設、公園、スポーツエリアを併設し、患者と家族、学生、医療従事者すべてが心身のバランスを取り戻せる環境を実現する。
国際的にも「自然が医療を支える」動きは注目されている。カナダではBC Parks Foundationが主導するPaRxプログラムにより、医師が患者に「自然に触れる処方箋」を推奨しており、毎月3万件以上の処方が実施されている。ストレスホルモンの低減や精神疾患の改善に効果があると報告されている。またフィンランドの研究では、公園散策の習慣を持つ人々は高血圧や呼吸器疾患の薬の使用率が大幅に低いことが示されている。
ベトナムでも、こうした世界的トレンドを取り入れることで、病院は単なる治療施設から「治癒と再生の空間」へと変わりつつある。ホーチミン市は、このモデルを通じて中心部病院の混雑緩和を図ると同時に、米国や日本、韓国、シンガポールの先進的な医療都市と肩を並べることを目標としている。今回の「緑の医療キャンパス」は、持続可能な都市開発と健康増進を融合させた先駆的事例として注目される。
ベトナム経済・ビジネス関連の有料レポートはこちらからもご覧いただけます。
