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環境・再生可能エネルギー

ベトナムで初めて森林カーボンクレジットを正式販売

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ベトナムは森林カーボンクレジットのポテンシャルが高い

2021年10月、イギリスで開催されたCOP26で、ベトナム政府は2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル達成)を表明した。環境保護と二酸化炭素排出に関する国際的な公約達成に向けて、ベトナム政府はカーボンプライシングの整備を迅速かつ積極的に進めている。

中でも、ベトナムがもつ森林カーボンクレジットへの注目が高まっている。ベトナムは国土の75%が山地であり、森林面積が大きい国である。豊かな森林資源を有するベトナムは、森林関連の経済的なポテンシャルのみならず、今後のカーボンプライシングにおける排出権取引においても、高いポテンシャルが期待されている。

ベトナム政府が発表した「2021年~2030年(2050年までのビジョン)ベトナム林業開発戦略」によると、ベトナム政府は2030年までに天然森林の面積を維持しながら、森林被覆率を現在の42%から43%に拡大すること、2030年までに森林面積を平均34万ヘクタール/年のペースで拡大することを目指している。ベトナムの森林面積が拡大することで、森林カーボンクレジットの潜在力は、今後さらに高まることが予想されている。

ベトナムは初めて森林カーボンクレジットを正式販売

ベトナムは、初めて1,030万トンの森林カーボンクレジットを正式に販売し、約5,150万ドルの収益を上げた。ベトナム農業農村開発省と国際復興開発銀行が締結した「北中部地方での温室効果ガス排出削減購入契約(ERPA)」第一段階に基づき、最初の支払いとして、ベトナム森林保全開発基金は4,120万ドルを受領した。そのうえで、北中部6つの省(クアンビン省、タインホア省、ハティン省、ゲアン省、トゥアティエン=フエ省、クアンチ省)の森林所有者に支払うため、全額を各省に速やかに支出した。

ベトナムは森林の潜在力が高い国の一つであり、森林面積は約1,470万ヘクタール、森林被覆率は42%以上である。今回の支払い対象となった北中部地域(クアンビン省、タインホア省、ハティン省、ゲアン省、トゥアティエン=フエ省、クアンチ省)は、森林面積310万ヘクタール以上、森林被覆率は57.4%であり、国内の森林面積の21.2%を占めている。

ベトナムのカーボンクレジット市場の展望

カーボンクレジットの売買スキームは、大きく国連・政府主導と民間主導に二分される。今回は、国連主導(国際復興開発銀行は、国連の専門機関である世界銀行グループのひとつ)のスキームで実施され、ベトナムで初めて森林カーボンクレジットを正式販売するに至った。

このカーボンクレジット販売は、ベトナムが気候変動への対策を重視していることを示している。そのため、企業がサステナビリティに焦点を当てたビジネスモデルを構築し、環境に配慮した取り組みを導入する機会が増えることが見込まれる。それにより、ベトナムで森林保護・開発に関連する様々なビジネス機会が、今後さらに拡大することが期待されている。

ベトナムは森林資源が豊富な国である 
出所:現地メディア Báo Tuổi Trẻ

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