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【解説】ベトナムでのEC販売・マーケティングの基礎知識

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ベトナムの経済・人口動向

ベトナムでは高い経済成長率と豊富な労働力が存在することから、日本企業の進出が盛んに行われている。以前は安価な労働力が豊富に存在する国として、製造拠点として見る人が多かった。しかし、近年は急速な経済発展に伴い、取得水準が成長しており、中間層・富裕層が拡大している。

将来的に、ベトナムは東南アジアの中でも有望な消費市場として成長していくと期待される。日本企業にとっても大きな進出の機会が生まれるだろう。今後、重要になるのがベトナム消費者をターゲットとしたマーケティングである。特に近年はオンラインショップ、ECの利用拡大から、webマーケティング、デジタルマーケティングが重要となっている。

ベトナムの経済成長率

ベトナムは1億人規模の人口を有しており、経済成長は2010年以降、6~7%の高い成長率を維持している。国際通貨基金(IMF)によれば2020年のコロナ禍でも、ベトナムの実質GDP成長率は2.9%のプラス成長を維持しており、2021年は6.5%、2022年は7.2%の経済成長率を維持する見通しが立てられている。

2020年における中国・東南アジアの経済成長率を比較しても、ベトナムは2.9%であり、東南アジアの中でも最も高い成長率を記録した。

ベトナムの人口

ベトナムは若い労働力が豊富であり、人口は2019年時点で約9,500万人に及んでいる。2020年台前半には1億人に達する見込みであり、2040年頃に日本の人口を上回ると予測されている。平均年齢は31歳と若く、人口の45%は30歳以下である。日本人の平均年齢は45歳であり、比較すると10歳以上平均年齢が若いことが分かる。

また、15歳以上の識字率は94.5%であり、経済協力開発機構(OECD)が実施する国際学力調査「PISA」で8位となった。ベトナムはアメリカ、イギリス、中国、香港より上位に位置している。経済発展が続いているものの、労働力は以前として安価であり、都市部での月平均賃金はおよそ2万4,000円程度である。

ベトナムのデジタルマーケティングの基礎知識

ベトナムでは既に国民の7割がインターネットを利用しており、携帯電話の保有率は95%超となっている。特に、携帯電話に占めるスマートフォンの割合は85%以上となっており、ベトナムで主要なSNSアプリであるFacebook、Zaloを起点としたマーケティングが軸となるだろう。

ベトナムでのインターネット使用者数

世界銀行の統計によれば、2019年時点でベトナムのインターネット利用者は人口比で68.7%に及んでおり、ベトナム国内に約6,526万人のインターネット利用者が存在している。また、ブロードバンド利用者は約1,380万人存在するとされている。そのうちFiber To The Home(FTTH)での接続が1,280万程度だ。主要な事業者としては、VNPT、Viettel Telecom、FPT Telecomが挙げられる。

携帯電話・スマートフォン利用の動向

米シンクタンクのピュー研究所によれば、ベトナムのスマートフォン所有率は53%で世界25位と報告されている。主要な携帯電話の事業者としては、VNPT-Vinaphone、MobiFone、Viettel Mobile、G-Tel、Vietnamobileの5社が挙げられる。

ベトナムでは2009年、から3G、2016年から4Gサービスが開始されており、2017年には4Gネットワークの人口カバー率は95%以上に達した。

また、5Gについては主要事業者の中でもViettel(ベトテル)が2019年に政府から試験免許を受けており、ハノイ市やホーチミン市での実証実験を行っている。Viettel(ベトテル)は日本語訳にすると、ベトナム軍隊通信グループであり、ベトナム軍隊系の通信事業者だ。グループ内に通信会社、金融機関を持ち、ベトナム経済での影響は非常に大きい。

スマートフォン保有率の推移

ベトナム国内で携帯電話の保有率は2019年時点で95%以上に達している。特に携帯電話に占めるスマートフォンの割合は84%に及んでおり、特にこの傾向は都市部においては顕著である。一方で、近年は農村部においてもスマートフォン利用が広がっている。

携帯電話の加入数を見ると、2019年時点で既に、1億3,623人となっており、普及率は既にベトナム国民一人当たり一台以上の携帯電話に加入している計算になる。

ベトナムのスマートフォンのOSシェア(android / ios)

ベトナムのスマートフォンOSシェアは57%がAndroidが占めており、次いでiOSが37%、残りがその他6%の順となっている。これは端末の価格帯が影響しているものと考えられ、比較的安価であるAndroidの普及が進んでいると考えられる。

また、“日本好き”コミュニティサイト『FUN! JAPAN』の調査によれば、次に買うスマートフォンを尋ねたところ、ベトナムでは約47%がandroid、約40%がiPhoneと回答している。ベトナムでもiPhone人気は高い。

ベトナムで最も利用されているSNS

ベトナムで最も利用率が高いSNSはFacebookとZaloである。

最も利用率が高いFacebok

ベトナムで最も利用率が高いSNSアプリはFacebookとなっている。次いで、YouTube、メッセンジャーという調査結果がある。ベトナムではFacebookの利用が非常に盛んであり、メッセージのやり取りでMessengerがよく使用される。ビジネスでのやり取りでもMessengerはよく使用されており、個人のみならず、企業の情報発信ツールとして、利便性が高く、ビジネスを展開する上でのプラットフォームとして非常に利用価値が高い。人材採用のツールとしてもよく使用されている。

デジタルマーケティング、EC展開においても同様で、ベトナムではFacebookと通じたCtoCでの物品販売、ライブコマースが盛んに行われている。

ベトナム発SNS「Zalo(ザロ)」

Zaloとはベトナムで最も浸透しているチャットアプリの1つである。ベトナムではFacebook以外に、現地発のSNS「Zalo(ザロ)」が広く浸透している。Zaloは日本で例えるならば、LINEのようなチャットアプリで、友達とチャットをしたり、タイムラインに投稿できたりするアプリである。Zaloの発表データによれば、ベトナム国内でのzaloの普及率は80%以上であり、ユーザー数は既に8,000万人の上るとされている。Zaloは音声通話、チャット、ライブ配信、ニュースフィードに留まらず、様々な機能を備えたスーパーアプリとして注目されている。音声メッセージの送信やショッピング、乗車券・交通券予約、宿泊予約、銀行、各種料金(水道料金、電気料金、インターネット)支払い機能も無料で利用することができ、ベトナム人にとってなくてはならないサービスとなりつつある。

ベトナムのオンライン広告の市場規模

ベトナム国内のオンライン広告市場規模は年々拡大しており、2019年には約4.5億ドルに達するとされている。オンライン広告のシェアを見ると、FacebookとGoogleが大きなシェアを占めていることが分かる。

特に近年はベトナムのスマホ広告市場が急成長している。デジタルエンターテインメント業界に特化しソリューションとプラットフォームを提供するアッポタ(Appota)が実施した調査によれば、ベトナムのスマートフォン向け広告市場の規模は2020年末に2億1100万ドルとなり、2021年には2億2700万ドル、2022年には2億3600万ドルに拡大すると予測されている。

ベトナムのスマホ広告市場の市場規模は東南アジア地域で6位。スマホ広告向けの支出額は、デジタル広告向けの支出額において全体の6割超を占めている。新型コロナウイルスの発生を受けて、インターネットの利用が増加している現象はベトナムに限った話ではないが、以前にも増して企業はデジタル公告とプロモーションを重視する傾向が強くなっている。

ベトナムのEC市場の基礎知識

ベトナム電子商取引協会(VECOM)によれば、ベトナムにおけるEC市場の売上高(B2C)は2019年に既に100億ドルの規模に達していると報告されている。また、2019年時点でもオンラインショッピングに参加する国民は4480万人と年々増加している。

ベトナムにおけるEC利用者の動向

ベトナムでも近年になり、ECが都市部の若年層を中心に普及している。ここではEC利用者の概況について整理したい。

EC利用者の性別・結婚状況・職業

ベトナム現地報道によれば、ベトナム国内のEC利用者は約3,540万人が存在するとされており、2021年には660万人が増加し、4,000万人を超えると予測されている。

市場測定会社ニールセンベトナムによれば、ベトナム国内のオンラインショッピングの利用者を性別に分けると、約6割が女性、残り4割が男性である。若い人口層の利用率が高く、20代後半の消費者の割合が全体の55%を占めている。オンラインショッピングの利用者の半分以上は20代後半である。

また、オンラインショッピングの利用者の多くは独身であり、全体の55%がオフィスワーカーとも報告されている。

EC利用者が多い地域

ベトナムのECの利用者の多くは主に都市部に集中している。2019年時点でハノイ市、ホーチミン市の人口の合計は国全体の人口数の約18%程度であるが、この2つの都市におけるEC利用者数の合計は全体の70%以上を占めている。

オンラインショッピング利用時のデバイス

オンラインショッピングを利用する人のうち、デスクトップ経由が約35%、スマートフォンなどのモバイル経由が59%となっている。

ベトナムで利用されるECサイト・ECプラットフォーム

ベトナムで最も利用されているECサイトはShopee、lazada、Tiki、Sandoが挙げられる。ショッピー(Shopee)がベトナムEC市場シェアの約44%を占めており、次いでラザダ(Lazada)が11%、ティキ(Tiki)が18%となっている。

これらのECプラットフォームを提供する企業は国外のECやインターネットサービスに関する企業からの投資を受けている。例えば、ショッピーはシンガポールのユニコーンであるシー(Sea)社、ラザダは中国のアリババ(Alibaba)社、センドー(Sendo)はSBIホールディングス株式会社(東京都港区)よりそれぞれ出資を受けている。

品目によっては利用されるECサイトが異なっているが、ファッション、美容、食品のカテゴリではShopeeがよく使用されており、デジタル機器では地場の家電・デジタル機器小売り大手のthegioididongが最も使用されている。

ベトナムで最もオンライン購入されている品目(アイテム)

ベトナム商工省、電子商取引デジタル経済局の統計によれば、ベトナムで最もECサイトを通じて購入されてる商品・サービスのカテゴリは、電子機器、美容製品・健康食品、ファッションアクセサリーである。

これらのアイテムは伝統的なチャネルではなく、モダントレードを通じての購入が好まれるカテゴリに属しているという特徴がある。オンラインショッピングが好まれる理由としては、並ぶ必要がなく、移動する必要もない。更には扱う商品カテゴリーも多い。

一方で、返品ポリシーが明確でない、信頼の置けるECサイトが少なく、粗悪品が送られる、写真とは異なるものが送られるといった課題もあげられている。物流インフラ、金融インフラが十分ではないベトナムであるが、こうした課題が克服されれば、EC市場は更に拡大するだろう。

ベトナムでの日本企業によるマーケティング事例

日本企業によるベトナムでのマーケティング事例として、飲食・飲料、外食、医薬品・化粧品、健康食品のカテゴリごとに事例を紹介していきたい。

事例①(食品・飲料):サッポロビール

ベトナム国内に自社工場を持つサッポロビールはベトナム国民の間ではプレミアムビールとして認知されている。自社公式サイトのほか、サッポロビールのオフィシャルFacebookアカウントではキャンペーンやイベントの紹介等を行っており、ベトナム国内で自社のビールを取り扱っているお店の紹介等も行っている。

参考リンク:https://www.sapporovietnam.com.vn/

事例②(外食):吉野家

吉野家は2020年、ベトナムのホーチミン市に1号店を開店した。2020年12月時点で、主な商品は、牛丼並盛が7万5000ドン、炙り牛焼肉は Pot7万9000ドン、すき焼き鍋で12万9000ドンなど。

吉野家のオフィシャルFacebookアカウントで自社の牛丼を紹介している。公式ホームページではメニューとデリバリーサービスの電話番後が掲載されており、デリバリー注文がすぐにできるようになっている。牛のキャラクターが印象的で非常に見やすいデザインとなっている。

参考リンク:https://yoshinoya.vn/delivery/

事例③(医薬品・化粧品):ロート製薬

ロート製薬の目薬はベトナムで最も人気がある目薬のポジションを占めており、既にベトナム進出から20年以上が経過している。Facebookでは自社製品を紹介するアカウントがあり、モデルや有名人を活用しているロート製薬のYouTubeチャンネルも存在している。近年は日焼け止め等のスキンケアアイテムにも注力している。

参考リンク:https://rohto.com.vn/

事例④(健康食品):DHC

DHCはベトナム国民でも広く認知されている健康食品ブランドである。公式ホームページではディスカウントやキャンペーン等が広告されており、YouTubeチャンネルも開設されている。ベトナムでは経済発展に伴い健康への意識が拡大しており、健康食品の需要が高まっている。DHCのパーフェクト野菜は最も人気な健康食品の1つである。

参考リンク:https://dhcvietnam.com.vn/

ベトナムでのマーケティング活動における留意点

ベトナムは共産党一党独裁が続く、社会主義の国であり、情報の取り扱いについては日本と事情が異なる。特に2019年にはサイバーセキュリティ法が新しく施行されたため、法の順守はマーケティング活動の展開の前に確認しておく必要がある。但し、現時点では具体的な運用方法や詳細が明白になっていないため、今後の動向を注視していく必要がある。

留意点①:サーバー設置義務

ベトナムんのユーザー向けにサービスを提供し、一定以上の個人情報を収集し、保有する場合は一定期間、ベトナム国内のサーバーに情報を保存しなければならない。これは外資系企業、ローカル企業、合弁企業とも共通の義務である。この対象となる企業についてはベトナムに拠点等を作る必要があると規定されている。

留意点②:Webサイトに記載してはならない情報

企業及び個人のWebサイトにおいて、暴動の揺動などの公共秩序を乱す情報や誹謗中傷に当たる情報の提供・流通・掲載を禁止する事が明確化された。ベトナムではフェイクニュースを拡散する個人が逮捕されるケースもあり、虚偽や誹謗中傷に該当する情報の記載には留意したい。

留意点②:公安による情報開示の要求

ベトナム国内にある企業はベトナム公安省担当機関から書面による要求があった場合、ユーザー情報を提供しなければならない。これは裁判手続きを介さず、公安省が直接企業に情報提供義務を課す事ができる。

そもそも、サイバーセキュリティ法が施行された背景としてはSNSでベトナム政府を批判するような投稿が放置されていたり、FacebookやGoogleがオンライン広告の規制に従わず、必要な税金を支払っていない事が以前から問題視されていたという背景があった。こうした背景により、ベトナム政府は国全体として規制強化、監視強化に至ったと考えられる。

結論

ここまでベトナムのマーケティング動向について解説してきたが、最も重要なことは自社の製品やサービスを利用するベトナムのユーザーについて深く理解することであろう。デスクトップ調査では、ベトナムの消費者の本当の嗜好や行動は読み取れない。数百人規模をターゲットとした定量調査、ヘビーユーザーや有識者と対象としたデプスインタビューの実施が特に推奨される。 今後、ベトナムの経済発展に伴って、消費市場が拡大することは確実であり、健康食品、化粧品、食品、スポーツ用品、文房具、アパレル、医薬品、農産物は特にポテンシャルが高いセクターだ。

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