2025年8月、ベトナム北部クアンニン省人民委員会は、カムファ市クアオン坊で建設予定の「LNG火力発電所」について、用地取得の遅れを解消するため関係機関と協議を行った。本事業は、ベトナム石油電力総公社(PV Power)、ベトナム機械組立株式会社(Colavi)、東京ガス、丸紅の共同出資による総出力1,500MWの大型プロジェクトであり、投資総額は約22億USD(約3,500億円)に達する。プロジェクトは2021年に承認され、ベトナム政府の電力計画(PDP8)に位置づけられる重点事業である。当初は2026年に1号機稼働を計画したが、住民補償や土地権利確認に時間を要し、現時点で確保できたのは必要面積41.12haのうち4.9haにとどまっている。
ベトナム北部初の輸入LNGを燃料とする火力発電所である本計画は、脱炭素化と電力需要急増に対応する戦略的意義を持つ。発電機750MW×2基に加え、7万1,500DWT級LNG船対応の受入バース、10万m³の貯蔵タンク2基、気化設備、3.5kmのLNG導管、さらにクアンニン500kV変電所に接続する30kmの送電線を整備する。年間LNG需要は約110万トンと見込まれ、稼働後は年間約90億kWhをベトナム国家電力系統に供給し、25年間で約5兆7,700億VND(約23億USD/約3,600億円)を地方財政に貢献する見込みである。
クアンニン省副主席レ・バン・アン氏は、ベトナムのエネルギー安全保障と北部地域経済発展に不可欠な国家重点プロジェクトであると強調し、補償の透明化と住民対話を通じて9月中に用地問題を解決し、速やかに着工へ進める方針を示した。今後はベトナム電力市場における系統接続や価格制度の整備も課題であり、2027年第3四半期の商業運転開始に向けて進展が注目される。
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