2025年6月17日、ベトナム・ハノイ市内で約2,961の個人・小規模事業者が営業停止や休業に至ったことについて、地域を管轄するベトナム税務当局(第I地域税務支局)は、原因が「電子インボイス制度の導入(政令70/2025/NĐ-CP)」であるとの一部報道を否定した。
現在、ハノイおよびホアビン両市で管理されている個人事業者は約31万件。そのうち、電子インボイスを義務づけられている売上1億VND超の事業者は4,979件で、全体のわずか1.6%にすぎない。今回の閉業事例のうち、電子インボイス対象者は263件(8.8%)であり、制度変更が直接の要因とは言い難いと指摘された。

ハンガン通り、ハンダオ通りなどの商業通りやニンヒエップ市場、ドンスアン市場などで、一部店舗の休業・縮小営業が見られたが、多くは正常に営業を継続しており、大規模な混乱には至っていない。税務当局は、今回の事業停止の背景には「偽装品取り扱いへの不安」や、「電子化に伴う課税基準の見直し懸念」があると分析している。
また、ベトナム税務当局は、今回の電子インボイス制度は新たな税率導入ではなく、既存の仕組みの延長であると説明。初期段階では柔軟に対応する姿勢であり、故意の違反を除き、当面は罰則の適用を見送っている。
さらに、定額税(thuế khoán)については、売上の50%以上に変動が生じた場合、納税者自身が税率調整を申請できる制度があると強調。これにより、制度移行による不利益を最小化できると説明している。
税制変更が小規模事業者に与える心理的影響は大きいが、現時点で閉業との直接的因果関係は乏しく、制度周知とデジタル化支援の強化が今後の課題とされている。
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