ベトナムの富豪ファム・ニャット・ブオン氏率いるGSM社は、電動車配車サービス「Xanh SM」の成功を足がかりに、新たに食品デリバリーサービス「Xanh SM Ngon」を立ち上げた。広告展開を抑えつつも、品質とサステナビリティを軸にした差別化戦略で、日常の消費スタイルを静かに変革している。
「Xanh SM Ngon」は、ハノイでのローンチ直後から「電動×テクノロジー×品質」の明確な戦略を提示。2,000以上の提携レストランは衛生基準を厳格に満たしており、調理・梱包工程も統一されている。また、すべての配達員が電動車両を使用し、CO₂排出削減に貢献。配達は一回一件限定(非同梱)で、料理の温度や風味を維持する仕様となっている。
従来型の「赤字覚悟の割引合戦」ではなく、同社は明瞭かつ持続可能な価格体系を導入。注文ごとに20,000~90,000VNDの割引が受けられ、時間帯別・料理別・ユーザー層別の割引クーポンを提供。電子決済では最大30,000VNDのキャッシュバックも可能で、配送料も一部補助されている。これらすべての情報はアプリ上で透明に表示され、ユーザーの信頼を獲得している。

GSMの戦略は単なるフードデリバリー参入にとどまらず、Xanh SM CarやBikeなど既存サービスと連動した「電動サービスの統合エコシステム」の一部である。Mordor Intelligenceの調査によれば、同社は現在ベトナムにおける四輪配車サービスのトップシェアを有し、すでにASEAN諸国4カ国に進出している。
デリバリー市場ではGrabFoodとShopeeFoodが主導権を握るなか、「Xanh SM Ngon」は“環境配慮・迅速・透明性”をキーワードに急速に存在感を強めており、ベトナム人の食・移動・生活習慣に新たな選択肢をもたらしている。派手さはないが、環境と技術、そして体験価値を融合した同社の取り組みは、次世代の消費モデルの布石となる可能性を秘めている。
ベトナム経済・ビジネス関連の有料レポートはこちらからもご覧いただけます。
