ベトナムへの投資環境の魅力が高まる
ベトナムは、多くの外国投資家から、新たな生産拠点設立や長期投資の魅力を高く評価されている。特に、現在のベトナムにおいては、ハイテクノロジーとグリーン経済分野での注目度が高い。
2023年10月に行われたベトナム外国投資家グループと首相との会議では、DEEP C工業団地のCEOブルーノ・ジャスパート氏が、ベトナムの地理的優位性や政治の安定性、投資優遇政策が生産拠点の設立に適していることを強調した。また、COP26でのカーボンニュートラル宣言が、新たな協力の機会を生み出しているとも述べている。日本の関連機関の代表者は、IT分野がベトナム経済の成長をリードする領域になると言及し、ベトナムが投資家にとって有利な枠組みを作り出すためには、教育・金融及び法的障壁の緩和など、より大きな変革が必要であると述べた。
ベトナムの投資環境は、先端分野のテクノロジーとグリーン経済を中心に、現在のみならず、中長期的に外国投資家にとって魅力的な市場であり続けると考えられる。政府と投資家の連携を通じて、ベトナムが持続可能な発展のための基盤を築いていくことが期待されている。
2024年ベトナムの工業団地は最大34%増加する
2023年、ベトナムの工業団地は非常に高い稼働率となった。第3四半期時点で、北部では80%、南部では92%に達した。高い稼働率の要因としては、ベトナムへの外国直接投資(FDI)が記録的な高水準となり、製造業への投資需要が急増したことが挙げられる。
しかし、工業団地用地の新規供給量は、北部で6%、南部で1%の増加率にとどまっている。これにより、多くの地域で賃貸可能な工業用地が「枯渇」した状態となり、工業団地の賃料の高騰が続いた。2023年第3四半期時点で、北部における工業団地の賃料は、最上位市場で131ドル/㎥、南部は189ドル/㎥となっている。最上位市場は、北部がハノイ、バクニン、ハイズオン、ハイフォン、フンイエン、南部がホーチミン市、ビンズオン市、ドンナイ市、ロンアン市を指す。
国際通貨基金によると、ベトナムへのFDIは、今年も安定的に増加すると予測されている。そのため、工業用地への需要は、引き続き増加すると考えられる。また、格付け会社フィッチ・レーティングスは、ベトナムの外貨・VND建て長期発行体格付を、BBからBB+に引き上げ、見通しは「ステーブル(安定的)」とし、ベトナムの発展を好意的に評価している。これは、多くの大手多国籍企業がベトナムへの投資判断に積極的な影響を与えると予測されている。
ベトナム政府による積極的な外交姿勢も、商業活動とFDI誘致に好材料である。2023年6月、韓国・尹錫悦大統領がベトナムを訪問した際は、ベトナムと韓国の企業間で100を超える覚書が交わされた。9月にアメリカ・バイデン大統領がベトナムを訪問した際は、ベトナムとアメリカの関係を、「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすることで合意した。新興技術の開発や、半導体の調達など、様々な分野での連携強化が打ち出され、高付加価値産業、特に半導体分野でさらなる発展が期待される。
2024年の展望
ベトナム大手証券会社FPT証券は、ベトナム政府が様々な政策を講じることで、「枯渇」した状況は解消に向かい、新規工業団地の建設が進むとしている。2024年には、工業用地の新規供給量は14万2,000ヘクタールに達し、前年比9%の増加が見込まれている。これにより、賃貸可能な工業団地の土地面積は、前年比で最大 36% 増加すると予測されている。賃料は、最上位市場の工業団地において、北部では4%、南部では7%上昇するとされている。
今年全国の工業用地供給は14万2000ヘクタールに達し、2023年と比較して12,000ヘクタール、つまり9%増加する見込みである。これは2021年から2023年までの平均増加率よりも高い水準である。これにより、2023年の工業地域の賃貸供給が36%増加することになると予測されている。