ベトナム政府の政策転換
ベトナムは、2030年までに再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)による電源割合を30.9%~39.2%に増やす計画である。さらにクリーン電力以外に、水素やグリーンアンモニア等の活用も推進している。
現在の課題は、投資家を誘致し、適切な奨励策を早急に整備することである。クリーンエネルギーを国内向けに適切な価格で提供し、輸出用の追加生産が可能となる仕組み・政策の早急な整備が必要である。
外国企業による電力・再エネ分野への関心
世界有数のエネルギー会社が、ベトナムのエネルギー転換に大きな関心を寄せている。ビントゥアン省(Tỉnh Bình Thuận)でThang Long Wind Complexを開発しているEnterprize Energyグループ(英国)は、対ベトナム投資は3.5GWの洋上風力プロジェクト(総投資額119億ドル)に限らず、水電分解による水素エネルギーの生産・輸出を行う工場を展開する意向を表明している。このプロジェクトの総投資額は50億ドルにおよぶ。
Copenhagen Infrastructure Partners(デンマーク)は、世界最大の再生可能エネルギー企業であり、ベトナムに合弁会社を設立し、2つの代表事務所を開設している。洋上風力プロジェクト(La Gan Offshore Wind Project、3.5GW、総予算105億ドル)を含む、多くの発電プロジェクトを研究開発している。この2社は、多くの外国企業が、ベトナムにおける電力・再生可能エネルギー分野での投資を望んでいる代表例である。
今後の課題
現在ベトナムは、エネルギー転換や、再生可能エネルギー開発を促進するためのマスタープランを策定している。しかし、実行に向けた詳細なガイドラインがないため、多くの再生可能エネルギーに関するプロジェクトは、実行が難しい状況である。また、民間投資家のリスクを軽減し、特に価格交渉や不透明な政策手続きを回避できる有利な投資環境を整備することも求められる。そのため、ベトナム政府は土地計画、海洋計画、電力法、直接電力取引制度(DPPA)、電力に関するガイドラインの策定等を早急に完了させ、規制を整備し、外国からの投資を促進する必要がある。