ベトナムの製造業の新規受注と生産量が回復
ベトナムの8月の製造業PMI(製造業購買担当者指数)は48.7から50.5に1.8ポイント上昇し、6カ月ぶりに50を超えた。ベトナムでは8月に製造業の需要回復の兆候が見られ、新規受注件数と生産量が増加したことが起因している。(S&Pグローバル調べ)

2022年には、ベトナムの製造業はコロナ禍を乗り越え輸出が拡大していた一方で、ウクライナ紛争などの要因によりインフレが発生し、欧米からの需要が低迷した。結果として多くの製造業従事者がレイオフされた。現在、ベトナムの製造業は回復傾向にあるが、過去5カ月の需要低迷が影響しており、企業は雇用の拡大に対して慎重である。実際に、雇用は引き続き6カ月連続で減少している。
一方で、新規受注や生産需要の増加と並行して、企業の購買活動も6カ月ぶりに増加している。しかし、雇用に関しては依然として慎重な姿勢が続いている。また、8月のデータに基づくと、投入・産出価格指数が大幅に上昇している。原油価格の上昇がそのまま製品コスト上昇の大きな要因となっており、それに伴い販売価格も上昇している。
アンドリュー・ハーカー氏(S&Pグローバル:チーフエコノミスト)は、PMIが製造業の回復の兆しを示していると述べた。輸出と購入の増加は確認されるものの、需給の不安定さから製造業の完全な回復はまだだとの見解を示した。
ベトナムは、豊富な労働力を有しており、ASEAN地域の製造拠点として成長してきた。AFTAへの加盟や生産移管など、多くの要素がベトナム製造業の成長要因となっている。しかし、ベトナムの賃金も年々上昇しており、技術革新や環境問題への対応も課題となっている。これに対応するために、ベトナム政府は人材育成や技術革新を支援し、環境規制の強化や再生可能エネルギーへの投資を促進している。 これらの課題を乗り越えることで、ベトナム製造業のさらなる成長が期待される。
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