2025年6月17日、ベトナム国会は「企業法改正案」を可決し、国家機関に所属する公務員や、公的機関(教育・医療・研究など)に勤務する職員の企業関与を原則として禁止する内容を盛り込んだ。これは、職権乱用や利害関係の衝突を防ぎ、行政の公正性を担保する制度的対応である。ただし、例外的に科学技術、革新、デジタル転換など国家戦略上の分野においては、特別な法的枠組みに基づき関与が認められる。
今回の法改正は、民間セクターの健全な発展を促しつつ、国家職員による私的利益の追求を抑止する狙いがある。財務省の説明によれば、企業設立・出資・経営への関与が抑制されることで、行政と市場の線引きがより明確になり、企業経営の透明性が高まると期待されている。
さらに同日、国会は付加価値税(VAT)の2%引き下げ措置に関する議決も採択した。これにより、現在10%の税率が適用されている一部商品・サービスについて、2026年末まで8%へ引き下げられる。今回の減税措置では、新たに運輸、物流、ITサービスなどが対象に追加される一方、金融、証券、保険、教育、医療、不動産などの分野は対象外とされた。これらはすでに非課税もしくは高成長を維持しているため、減税の必要性は低いと判断された。
財務省によれば、税率引き下げによる国家財政への影響は大きく、2025年後半と2026年通年で最大167兆ドンの歳入減が見込まれる。だが、個人消費の喚起や企業のコスト負担軽減による経済活性化効果を重視し、政府は現行案の維持を提案した。
また、改正企業法では未上場企業による社債私募についても新たな条件が設けられた。具体的には、自己資本比率などの財務健全性を示す指標を発行要件とすることで、社債市場の透明性を高め、企業倒産リスクと投資家保護を両立させる構えである。
これら一連の改正は、ベトナム政府の「持続的かつ健全な市場経済の形成」という方向性を明確に反映したものであり、今後の民間主導型成長と制度的信頼性の両立を図るものとして注目される。
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