ベトナムにおける植物性ミルク市場は、健康志向と環境配慮の高まりを背景に急成長を遂げている。従来の牛乳は栄養源として長く消費されてきたが、生産過程で大量の温室効果ガスを排出し、土地・水・エネルギーを消費する点が問題視されてきた。対照的に、大豆、アーモンド、オーツ麦、米などから作られる植物性ミルクは環境負荷が低く、CO2排出量を大幅に削減できるとされ、特に若年層を中心に支持を広げている。
アジアは世界最大の消費地域であり、2024年の市場規模は143億ドル、そのうち中国が約99億ドルを占める。日本や韓国、インドも有力市場として存在感を高めている。欧米市場も着実に拡大しており、Statistaによれば2030年には世界市場が410億ドルに達する見込みである。各国で嗜好の違いが見られ、中国では大豆飲料が主流、米国ではアーモンドミルクが最も人気を集めている。
主要な製品群では、大豆ミルクが特にベトナム市場で強い潜在力を持ち、2024年に69億ドル規模に達し2034年には151億ドルに成長が見込まれる。アーモンドミルクやココナッツミルクも北米・欧州や東南アジアで需要が拡大しており、カシューナッツやオーツ麦など新たなカテゴリーも注目されている。
ただし、課題は依然として価格である。植物性食品は動物性に比べて平均2倍近く高価であり、インフレ環境下では購買層が限定される可能性がある。研究開発費や生産規模の小ささがコスト高の要因だが、将来的に市場が拡大すれば価格低下も期待される。
ベトナム国内市場ではVinamilkやVinasoy、NutiFood、TH True Nutといった大手が参入し、手頃な価格と大量生産で市場拡大を主導する。一方、スタートアップは高級志向やオーガニック製品に特化し、健康意識の高い消費者層をターゲットとしている。技術革新やマーケティング戦略も競争力の鍵であり、健康・環境・ライフスタイルを訴求するブランドが優位に立つと見られる。
ベトナムの植物性ミルク市場は、食習慣の変化と持続可能性への関心を追い風に今後も拡大が続くと予測される。
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