はじめに
ベトナムは、共産党が主導する社会主義の国である。共産党には4名のトップがおり、それぞれ党書記長・国家主席・首相・国会議長という4つの役職を担っている。この4名が務める4つの役職は、「四柱」や「政治4役」と呼ばれている。
2023年1月、反腐敗運動の影響で、当時の国家主席であったグエン・スアン・フック氏が、部下の汚職を理由に引責辞任した。現在のベトナム社会主義共和国が成立した1976年以降、任期中に国家主席が辞任することは初めてであり、ベトナム国内外で大きな話題となった。国家主席の後任には、ヴォー・ヴァン・トゥオン氏が就任した。
フック氏の辞任から約1年後である2024年3月、後任の国家主席であるトゥオン氏も任期途中で辞任す事態となった。フック氏による初の任期途中の辞任から僅か1年後、再び途中辞任という異例の事態は、ベトナム国内外で大きな話題となっている。
さらに2024年5月2日には、国会がブオン・ディン・フエ氏を国会議長の役職から解任する決議を可決した。わずか半年足らずで、ベトナムの四柱のうちの2名が変更されることとなった。
国会議長は、「四柱」と呼ばれるベトナム共産党最高指導者(書記長、国家主席、首相、国会議長)の一角をなす要職で、党の序列4位に当たる。2ヶ月前には、当時、国家主席だったボー・バン・トゥオン氏が、フエ氏と同じく党の規則違反を理由に辞任しており、「四柱」が相次いで辞任する異例の事態となった。フエ氏が解任された現在(2024年5月)の四柱は以下の通りである。
- グエン・フー・チョン(共産党書記長)
- トー・ラム(国家主席)
- ファム・ミン・チン(首相)
- チャン・タイン・マン(国会議長)
本レポートでは、現在(2024年5月時点)のベトナムの政治情勢と、ビジネスへの影響を網羅的に解説・考察していく。
非常に多くの臨時国会を開催している第15期国会
第15期国会は、非常に多くの臨時国会を開催している。2022年から現在にかけて、ベトナムの政治・経済・社会に密接に関連する重要な問題に関する7回の臨時国会を開催している。
- 第1回臨時国会(2022年1月4日〜11日):
COVID-19対策プログラムと経済・社会の回復・発展プログラムを早急に支援するために、経済、社会、財政、予算に関連するいくつかの重要な問題を検討。 - 第2回臨時国会(2023年1月5日):ファム・ビン・ミン氏とレ・ミン・チュアン氏に対する国会代表の任期を終了し、フアム・ビン・ミン氏とヴー・ドゥック・ダム氏の副首相を解任し、トラン・ホン・ハー氏とトラン・ルー・クァン氏を副首相に任命することを承認。
- 第3回臨時国会(2023年1月18日):
グエン・スアン・フック氏の国家主席職を解任
- 第4回臨時国会(2023年3月2日):
ヴォー・ヴァン・トゥオン氏を2021年から2026年の国家主席に選出することに同意
- 第5回臨時国会(2024年1月15日〜18日):
土地法(改正)、金融機関法(改正)、国家目標プログラムを実施するための特別な機構と政策に関する決議を可決し、財政、予算に関する問題を検討 - 第6回臨時国会(2024年3月21日):
ヴォー・ヴァン・トゥオン氏の国家主席職を解任 - 第7回臨時国会(2024年5月2日):
序列4位のブオン・ディン・フエ国会議長解任の決議を採択
これらの、臨時国会を通じて、第15期国会はベトナムの政治機構に多くの変化をもたらした。これらの変化は汚職に対する処罰が関連しており、透明性のある環境を構築し、国の持続可能な発展の前提を作った。
短期的には、政治的混乱により、外国人投資家からの信頼感を損なう可能性がある。しかし、長期的な視点では、反腐敗運動はベトナムの政治体制を健全にし、ポジティブな影響を与える。具体的には、政府機関内での透明性と責任の所在が強化され、意思決定、公共資源の管理、利活用がより透明化される。その結果、ベトナムの投資環境は健全かつ公正なものとなり、ベトナムへの投資に対する安心感が高まることが期待される。
ベトナム政治の現状
本章ではベトナム政治の現状について解説する。
トゥオン氏とフエ氏の辞任の経緯
ここではトゥオン氏とフエ氏辞任の経緯を整理する。
ベトナム共産党中央執行委員会は、ヴォー・ヴァン・トゥオン国家主席の政治局員・共産党中央執行委員・国家主席・国防安全保障評議会議長としての職位の解任を2024年3月20日に決定した。
翌21日午前、国会は人事手続きのため、第15期(2021~2026年)国会の第6回臨時国会を開催した。国会は秘密投票により、トゥオン氏の国家主席(任期:2021~2026年)、国防安全保障評議会議長、第15期国会議員の職の解任に関する決議を採択した。これに伴い、国会が新国家主席を任命するまでの期間、ボー・ティ・アイン・スアン国家副主席が国家主席代行を務める。なお、2023年1月にグエン・スアン・フック前国家主席が解任された際にも、スアン国家副主席が同年3月まで国家主席代行を務めた。
ベトナム国会は5月2日、第15期(2021~2026年期)第7回臨時国会を招集し、ブオン・ディン・フエ国会議長の解任を可決した。4月26日に、ベトナム共産党臨時中央委員会総会で、国会議長、政治局員、中央委員(注)、国防安全保障評議会委員を辞任するというフエ氏の申請に合意がされていた。臨時国会の終了後、第15期国会常任委員会は、次の国会議長が決まるまでの間、チャン・タイン・マン国会副議長が国会議長の職務を代行し、国会常務委員会と国会の活動を管理することを発表した。フエ氏は4月に中国を公式訪問し、習近平国家主席と会談するなど、精力的に外交活動をしていた矢先の辞任となった。
今回のトゥオン氏とフエ氏の辞任による現行の政策等に対する影響は、現時点では想定されていない。しかし、海外投資家に不安感が広がることが考えられる。特に、高齢であるチョン書記長の健康状況を不安視する声がある中、2026年の共産党大会で行われるチョン書記長の後任選定において、政治的競争が激しくなることが考えられる。
下記の表は、ベトナム共産党の書記長及び政治局の構成員16名の一覧である。政治局は共産党の中央執行委員会200名の投票により、同委員会から選出される、ベトナム共産党の最高指導機関であり、政治の中枢である。任期は5年間で、2026年に次回の選定が行われる予定である。
No. | 氏名 | 役職 | 生年 | 着任時期 | 現在の 状況 | 辞任理由 |
1 | Nguyen Phu Trong | General secretary of the Communist Party | 1944 | 1997 | 現職 | |
2 | To Lam | 13th President | 1957 | 2024 | 現職 | |
3 | Pham Minh Chinh | Prime Minister | 1958 | 2016 | 現職 | |
4 | Tran Thanh Man | Chairman of the National Assembly | 1962 | 2024 | 現職 | |
5 | Nguyen Van Nen | Secretary of the HCMC Party Committee | 1957 | 2021 | 現職 | |
6 | Phan Dinh Trac | Head of the Central Internal Affairs Department | 1958 | 2021 | 現職 | |
7 | Tran Cam Tu | Chairman of the Central Inspection Committee | 1961 | 2021 | 現職 | |
8 | Phan Van Giang | Minister of National Defence | 1960 | 2021 | 現職 | |
9 | Nguyen Hoa Binh | Chief Justice of the Supreme People’s Court | 1958 | 2021 | 現職 | |
Nguyen Xuan Thang | Chairman of the Central Theoretical Council | 1957 | 2021 | 現職 | ||
10 | Luong Cuong | Chairman of the General Department of Politics of the Vietnam People’s Army | 1957 | 2021 | 現職 | |
11 | Dinh Tien Dung | Secretary of the Hanoi Party Committee | 1961 | 2021 | 現職 | |
12 | Le Minh Hung | Member of the Party Central Committee | 1970 | 2021 | 現職 | |
13 | Nguyen Trong Nghia | Member of the Party Central Committee; Senior Lieutenant General, Deputy Chairman of the General Department of Politics of the Vietnam People’s Army | 1962 | 2021 | 現職 | |
15 | Bui Thi Minh Hoai | Member of the Party Central Committee; Standing Deputy Chairwoman of the Party Central Committee’s Inspection Commission | 1965 | 2021 | 現職 | |
16 | Do Van Chien | Member of the CPVCC, Minister-Chairman of the Committee for Ethnic Minorities Affairs | 1962 | 2021 | 現職 | |
退任・解任された役員 | Tran Tuan Anh | Head of the Central Commission of Economy | 1964 | 2021 | 退任 (2024) | 汚職関与 |
Nguyen Xuan Phuc | 11th President | 1954 | 2011 | 退任 (2023) | 汚職関与 | |
Vo Van Thuong | 12th President | 1970 | 2016 | 退任 (2024) | 汚職関与 | |
Vuong Dinh Hue | Chairman of the National Assembly | 1957 | 2016 | 退任 (2024) | 汚職関与 | |
Truong Thi Mai | Permanent Member of the Secretariat & Head of the Central Organization Commission of the Communist Party | 1958 | 2016 | 退任 (2024) | 不明 | |
Pham Binh Minh | Minister of Foreign Affairs | 1959 | 2016 | 退任 (2022) | 汚職関与 |
トゥオン氏とフエ氏の辞任の理由
2023年3月20日午後、ベトナム共産党中央執行委員会は声明を発表し、ヴォー・ヴァン・トゥオン氏が国家の重要な指導者であることを認めつつも、党員としての禁止事項に違反し、国家幹部および党員として国民の模範となる責任を果たさず、共産党および国家機関、国家主席本人の尊厳を損なったとして、国家主席の解任を決定した。具体的な違反の内容は明らかにされていないが、トゥオン氏自身も違反を認識し、辞意を表明している。
トゥオン氏の違反事項については、フックソン・グループの事件に関連するとの推測が広がっている。公安省はビンフック省、クアンガイ省、ビンロン省において、フックソン・グループに関連する事件の捜査を拡大した。特にクアンガイ省はトゥオン氏がかつて書記を担当していた地域(2011-2014)であり、ビンロン省はトゥオン氏の出身地である。この事件では、既にクアンガイ省の省議長と元省議長が逮捕されている。また、3月21日の第6回臨時国会において、フックソン・グループの不正行為に関連した贈賄容疑にて、ビンフック省元書記のホアン・ティ・トゥイ・ラン氏が共産党から除名され、拘留されている。
フックソン・グループは不動産開発と建設業を手掛けており、北部から南部まで多くのプロジェクトを受注してきた。「中程度(県レベル)」の受注能力を持つ企業とされているが、一部の政府役人による不正行為を通じて、省レベルや国家レベルの建設プロジェクトも実施していた。フックソン・グループは総投資額約2471億に上る21のプロジェクトを受注していたが、ベトナムの捜査機関によると、ビンフック省の2つのプロジェクトにおいて、財務情報の隠蔽や脱税により国家予算に約40億円以上の損害を与えたとされている。
3月初め、捜査当局は9名を逮捕したが、その中にはビンフック省元書記であるホアン・ティ・トゥイ・ラン氏、ビンフック省人民委員会主席であるレ・ズィ・タン氏、クアンナイ省人民委員会主席であるダン・ヴァン・ミン氏、クアンガイ省元人民委員会主席であるカオ・クア氏が含まれていた。被疑者は全員「贈賄罪」で一時拘留されている。
フエ氏は、党員としての規定と党幹部としての模範を示す責任について定めた規定に違反したと報じられており、事実上の更迭とみられている。これはトゥオン氏の違反と同じ理由である。フエ氏の具体的な違反内容は明らかにされていないが、大手インフラ建設企業トゥアン・アン・グループによる贈収賄事件との関係が指摘されている。
4月22日にはフエ氏の補佐、5月4日にはズオン・バン・タイ・バクザン省党委員会書記が、本事件に関連する職権乱用の疑いで逮捕されている。
2014年2月から2023年12月の間に、トゥアン・アン・グループは16の省と都市で直接または合弁で参加し、32件の建設入札で合計23兆ドン以上の契約を獲得した。特に2022年から2023年の2年間で、トゥアン・アン・グループは急速に発展し、合計18兆ドンの多くの入札に成功した。その中には、COVID-19後の経済社会復興発展プログラムに基づく資金による入札も含まれている。捜査機関は、同社が実施能力を持たない多くの案件においても入札を獲得していたことを確認した。
多くのプロジェクトで入札に成功したにもかかわらず、トゥアン・アン・グループの業績はかなり低迷していた。2017年から2019年の間、売上高は2,500億〜3,000億ドンの範囲であったが、税引前利益は数億ドンに過ぎなかった(2017年から2019年の税引前利益は約1~2億ドン)。
調査結果と確認に基づき、公安省の捜査機関は、トゥアン・アン・グループ社および関連するユニットや組織で発生した「入札規定違反による重大な結果の引き起こし、贈賄、収賄」の事件を起訴した。
ベトナムの両方の「元四柱」は、大規模なプロジェクトや国家の主要建設プロジェクトに関連するスキャンダルに巻き込まれている。したがって、現在のベトナムの政治機構の変化により、最も影響を受けるのは不動産と建設の2つの業界である。
ベトナムにおける汚職防止のトレンド
ニューヨーク・タイムズによると、ベトナムでは2020年以降、約40,000人の指導者や公務員が辞任または解任されている。このような状況を受け、2017年から現在まで、グエン・フー・チョン共産党書記長は反腐敗運動を積極的に行っている。この運動の影響で多くの政府高官、元政府高官が処分されている。具体的には以下のような人物が挙げられる。
・副首相2名:ファム・ビン・ミン(2023年)、ブー・ドゥック・ダム、(2023年)
・国家主席2名:グエン・スアン・フック(2023年)、ヴォー・ヴァン・トゥオン(2024年)
・国会議長1名:ブオン・ディン・フエ(2024年)
・元ハノイ市人民委員会議長:チュー・ゴック・アイン(2021年)
・元科学技術省次官:ファム・コン・タック(2021年)
・元保健相:グエン・タイン・ロン(2021年)
・外務省次官:ト・アン・ズン(2022年)
・領事局長:グエン・ティ・フォン(2022年)
ベトナムの反腐敗運動は拡大の一途をたどっており、汚職事件の摘発が徹底的に行われている。ベトナム政府の報告によれば、2023年には2022年と比較して汚職事件の総数が大幅に増加し、231件増加した。2023年に捜査機関が摘発した汚職事件の総数は967件に達し、被告人は2,552人に上った。これらの事件による総損害額は約104.28億円および70,950.9m2の土地に及び、そのうち回収されたのは約74.22億円と28,822.6m2の土地である。
国際NGOが公表している腐敗認識指数(CPI)において、ベトナムは2021年の39ポイントから2022年には42ポイントに改善し、世界ランキングで10位まで上昇した。反腐敗運動を積極的に進め、より透明なビジネス環境を目指している。これにより、ベトナムの魅力が増し、政治機構の変化によって影響を受けている不動産や建設業界を含む様々な経済分野への外国投資(FDI)が促進される可能性がある。
ベトナムに投資する外国投資家への影響
ベトナムの反腐敗運動は、長期的には政治体制を健全にし、ポジティブな影響をもたらすと期待されている。
政府機関内での透明性と責任の明確化が進み、意思決定や公共資源の管理がより透明になることで、健全かつ公正な投資環境が整う。これにより、外国投資家のベトナム投資に対する安心感が高まると考えられる。
一方で、短期的には政治的混乱が外国投資家の信頼を損なうリスクが存在する。しかし、2023年のフック氏辞任時にはベトナムへの外国投資は減少せず、むしろ増加傾向を示した。これは、フック氏の辞任が事前に予測されていたことも一因とされる。2024年3月のトゥオン国家主席辞任時も、国家主席のポジション自体が儀礼的な意味合いをもつため、経済への影響は限定的であった。さらに、2024年5月のブオン・ディン・フエ国会議長の辞任も、大きな混乱とはならなかった。
しかし、汚職撲滅が進行する中で、役人が大規模な取引の承認を躊躇することで、遅延が生じる可能性がある。特にエネルギー分野や交通インフラ計画など、経済に大きな影響を与えるプロジェクトの承認が遅れるケースが散見される。例えば、エネルギー分野ではPDP8の実施計画や直接電力買取制度(DPPA制度)に停滞がみられた。交通分野では、ホーチミン市-モックバイ高速道路、ホーチミン市環状道路4号線、トゥティエム4橋、カンジオ橋などの重要プロジェクトの投資方針の承認が遅れており、2023年5月時点で「2021年から2030年における発展計画」の111件のプロジェクトのうち、92件(83%)が未だに承認されていない。
これに対し、ベトナム政府は取引承認の遅延リスクを認識し、対策を講じている。2024年4月の定例政府会議で採択された決議に基づき、2024年5月7日付の文書番号65/NQ-CPにおいて、「職務遂行において失敗や責任を恐れる役人を異動させ、共通の利益のために考え、行動し、責任を負う幹部を奨励し、保護する」との方針を示した。
また、多くの政府高官や役人が逮捕・処分されることで、一時的に人材不足が生じ、意思決定プロセスが中断される可能性がある。これにより、プロジェクトや政策の進行が遅れるリスクが存在する。
新国家主席と新国会議長に関する考察
2024年5月20日、ベトナムで新たな国会議長にチャン・タイン・マン前副議長(61)が就任した。国会議長は、国を一党支配する共産党の権力序列第4位に位置し、最高指導層の一人にあたる。マン氏は全会一致で議長に選任され、宣誓式では国と国民、憲法に忠誠を尽くし、「与えられた全ての任務を果たすよう努力する」と述べた。
マン氏は経済学の博士号を持ち、南部メコンデルタの最大都市であるカントー省人民委員会事務局長などを経て、2021年から副議長を務めていた。議長としての任期は、前任のフエ議長の残りを引き継ぎ、2026年までとなる。
また、新たな国家主席にはトー・ラム公安相(66)が就任した。ラム氏は1957年北部フンイエン省生まれで、公安分野でキャリアを築き、2016年から2期連続で政治局員および公安相を務めていた。公安相として、グエン・フー・チョン書記長の意向をくみ取り、汚職捜査の中心的役割を担ってきたとされる。
氏名:チャン・タン・マン(Tran Thanh Man)
生年月日: 1962 年 8 月 12 日
役職: 国会副議長
担当分野:経営管理、経済(博士)、政治理論
氏名:トー・ラム(To Lam)
生年月日: 1957 年 10 月 7 日
役職: 公安大臣
担当分野:国家安全保障
今回の国家主席と国会議長の欠員補充選挙により、ベトナムの四柱体制は安定化した。現在から2026年初頭に予定されている第14回全国党大会まで、ベトナム共産党は現行の政治体制を維持する方向となると予測される。しかし、グエン・フー・チョン総書記は高齢であることから、特に2025年末から2026年初頭にかけて、人事の変動が特に顕著になる可能性がある。
直接的な影響を受ける業界
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まとめ
反腐敗運動により、多くの幹部が追放された。2021年から2026年の任期中においては、国家主席と国会議長が相次いで交代した。短期的には国内政治体制や経済に多くの影響を与えており、政治的な不安定さが増している。不動産、建設、エネルギー分野等では、大規模なプロジェクトや政策の承認を遅らせ、経済にマイナスの影響を与えることも考えられる。
しかし、長期的にみると、政治や意思決定の透明性が向上し、海外からの投資環境が改善することが期待できる。ベトナムの投資環境が公正で透明性の高いものとなり、外国投資家にとって魅力的な市場となることが見込まれる。政治的な不安定さを乗り越え、健全な経済成長を実現するためには、引き続き透明性と責任の強化が求められる。ベトナムの政治動向を念頭に、ビジネス・投資環境の現状を適切に理解し、今後の方向性を検討していくことが必要である。