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ベトナムのエネルギー重点施設リストと脱炭素規制の実務

ベトナムのエネルギー重点施設リストと脱炭素規制の実務

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ベトナムの「エネルギー重点使用施設リスト」とは:最新動向と背景 

2024年9月20日、ベトナム首相府は決定1011/QĐ-TTgを交付し、「2023年度エネルギー重点使用施設リスト」を正式に公表した。このリストは、ベトナム国内で膨大なエネルギーを消費する企業や施設を特定し、国家レベルでエネルギー使用効率を管理・監視することを目的としている。 

政令21/2011/NĐ-CPの第6条に基づき、以下の基準を満たす施設が「エネルギー重点使用施設」として指定される。 

  • 産業生産・農業・輸送部門: 年間の総エネルギー消費量が石油換算で1,000トン(1,000 TOE)以上。 
  • 建設物(オフィス、病院、ホテル等): 年間の総エネルギー消費量が500 TOE以上。 

決定によると、2023年度の全国のエネルギー重点使用施設数は3,491施設である。その内訳は以下の通り。 

  • 産業施設:2,864施設 
  • 農業生産施設:18施設 
  • 輸送単位:70単位 
  • 建設物:539施設 
2023年度エネルギー重点使用施設リスト(sample)。
出所:決定1011/QĐ-TTgに基づき、ONE-VALUEが作成 

対象施設は鉄鋼、セメント、繊維、食品加工などの製造業が大きな割合を占めている。これらの施設には、エネルギー管理責任者の任命、省エネ計画の策定、および3年ごとの「エネルギー監査(エネルギー診断)」が義務付けられている。ベトナム政府がこのリストを厳格に運用している背景には、国家目標である2050年までのネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向けた強い意志がある。 

政令29/2026/ND-CPの衝撃:炭素市場始動と重点施設の義務 

ベトナムの脱炭素戦略において、2026年は大きな転換点となる。2026年1月19日、ベトナム政府は国内炭素市場の組織・運営に関する法的枠組みを定めた「政令29/2026/ND-CP」を発行した。これにより、ベトナム国内の炭素クレジット取引所の運用ルールが明確化されたのである。 

この政令の施行により、エネルギー重点使用施設リストに掲載されている企業は、単なる「省エネ」を超えた「排出量管理」のフェーズに強制的に移行することとなる。具体的には、以下の義務が課されることとなった。 

  1. 排出量インベントリ(目録)の作成: 温室効果ガス排出量の正確な測定と報告。 
  1. 排出枠の遵守: 政府から割り当てられた排出枠(クォータ)を超えた場合、市場でクレジットを購入するか、罰金を支払う必要がある。 
ベトナム政府は、国内炭素取引に関する政令第29/2026/ND-CP号を正式に発布した。(イメージ画像) 
出所: https://vneconomy.vn/viet-nam-chinh-thuc-hinh-thanh-san-giao-dich-carbon-trong-nuoc.htm 

特筆すべきは、2028年12月31日までの試行期間中、炭素取引所でのサービス利用料が無料化される点である。この優遇措置により、エネルギー重点施設に指定されているベトナム企業は、現在急ピッチで準備を進めている。特に、欧州の炭素国境調整措置(CBAM)などの国際的な規制に対応する必要がある輸出型製造業にとって、この市場への対応は企業の存続に関わる死活問題となっている。 

日本企業への提言:早期参入と戦略的パートナーシップの構築 

ベトナムの炭素市場が本格稼働する2026年を前に、日本企業は受動的な姿勢から脱却し、戦略的なアクションを起こすべきである。 

第一に、単なる製品の販売にとどまらず、「戦略的排出枠の確保」を支援するため、技術移転、合弁事業(JV)、またはM&Aなどの多様な形態を通じたベトナム企業との協力を検討すべきである。ベトナムの多くの重点施設は、優れた事業基盤を持ちながらも、資金やグリーン技術が不足しており、この分野で豊富な経験を持つ日本企業などの海外パートナーによる支援を強く必要としている。日本のAIを活用したエネルギー管理システム(BEMS/FEMS)や廃熱回収技術などは、ベトナムの生産現場を「グリーン化」する上で極めて高い競争力を持つ。 

第二に、重点施設リストを単なる統計データではなく、「営業ターゲットリスト」として活用することである。現地でのネットワーク構築には時間がかかるが、今の段階から規制当局や専門コンサルタントと連携し、対象企業のニーズを詳細に把握しておくことが、2026年以降の商機を決定付ける。 

まとめ 

政令29/2026/ND-CPに基づく炭素市場の始動は、ベトナム国内企業にとっての課題であると同時に、先進的な技術と資本を持つ日本企業にとっては、かつてない協力の機会を意味している。 

2026年からの市場本格稼働に向け、今こそ具体的な連携を具体化すべき「ゴールデンタイム」である。 

今回の記事で紹介した「エネルギー重点使用施設リスト」の全容データ、または特定企業の詳細調査、ベトナムでのGX戦略立案、M&Aアドバイザリーについては、Vietbiz / ONE-VALUEまでお問い合わせください。貴社のニーズに合わせた個別業界分析をサポートします。 

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