サトウキビを活用したバイオマス発電
ベトナムは世界有数のサトウキビ生産国であり、豊富なバイオマス資源を有している。
ベトナム政府は、第8次国家電源開発計画(PDP8)において、再生可能エネルギーの割合を2030年までに15〜20%、2045年までに20〜25%に増加させる目標を掲げており、その目標達成のためにサトウキビを活用したバイオマス発電が寄与すると考えられる。
現在、ベトナムの製糖工場は年間約5〜6ヶ月間稼働し、その副産物である、サトウキビを圧縮した後の搾りかすである「バガス」を燃料として発電に利用している。サトウキビを利用したバイオマス発電は、ベトナムのバイオマス発電量の90%以上を占めている。しかし、バガスの供給は製糖工場の稼働期間に限られる。年間を通じて安定した発電を行うためには、バガス以外のバイオマス資源の活用が課題となっている。
バガス以外のバイオマス資源としては、稲わらやもみ殻、おがくずなどが挙げられる。しかし、これらの資源はバイオマス発電にも利用されているものの、主に肥料や家畜飼料としての利用が優先されており、発電への利用は未だに限定的である。そのため、バイオマス発電のさらなる発展には、バガス以外のバイオマス資源の活用を拡大するための技術開発や政策支援が重要となる。
また、ベトナムの3つの製糖工場の稼働期間外で、バイオマス発電の実証実験が行われた。この実証実験は、ドイツ連邦経済・気候保護省が支援する気候変動対策のプロジェクトの一環として、ドイツ国際協力機構(GIZ)とベトナム商工省が共同で実施した。実証実験の結果、バガス以外のバイオマス資源を活用すれば、製糖工場が稼働していない期間でも、少なくとも150日以上の発電が可能であることが実証された。
バイオマス発電の利点を最大限に活かし、課題を解決するためには、技術開発による発電効率の向上や、バガス以外の資源の活用による安定した発電が求められる。


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