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【解説】ベトナムの縫製・製靴業界│小ロットのOEMは可能?

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ベトナムにおける縫製品・履物の輸出 

本レポートでは、ベトナムにおける縫製品・履物産業について、輸出入という軸から解説する。 
2000年前後から、世界中の多くのメーカーが中国に生産拠点を移した。中国の安い人件費と、大量生産を可能にする豊富な労働人口が、メーカーを惹きつけたのだ。その結果、中国は「世界の工場」と呼ばれるほどの製造大国となった。しかし昨今では、中国から新たな国へ生産拠点を移す流れが盛んになっている。この流れは「チャイナプラスワン」と呼ばれ、具体的にはカンボジア、ミャンマー、そしてベトナムなどが新たな生産拠点に選ばれている。チャイナプラスワンの原因は、中国における人件費高騰と、米中間の摩擦やその他社会的要因によるリスクを企業が懸念した結果である。 

ベトナム人の特徴の一つに手先が器用な人が多いことがあげられる。https://vietnamnews.vn/economy/282729/eu-court-rules-on-anti-dumping-law.html

縫製品の輸出 

繊維・衣料産業はベトナムの主要な輸出品目の一つで、2001年から現在に至るまで年平均成長率で15%近くを記録し、ベトナム輸出品目で最も成長が著しい品目の1つとなっている。 

2019年、ベトナムの縫製品輸出は、ベトナムの全輸出品目の中で12.4%を占めた。これは電話機・同部品とコンピューター電子製品・同部品に次いで3番目に大きなシェアである。 

輸出高の推移 

2019年、縫製品の輸出額は前年比で7.8%増加の328億ドルに達した(2018年の輸出額は、304億ドル)。2019年、縫製品の輸出額は総輸出額の約12.4%を占めている。 

2020年には、約298億ドルにまで減少した。これはもちろん、世界的なコロナ禍の影響を強く受けた結果である。ただその中でも、ベトナムは感染者数の抑え込みに成功しており、国全体のGDPでは世界でも珍しいプラス成長を遂げている。ベトナム製縫製品の輸出減少は、ベトナムの問題というより、世界中で衣料品の需要が低下したという外部的要因が大きい。ただこれはコロナ禍による一時的な需要減少であり、時間とともに回復するものである。世界人口は増加しており、アパレルの国際市場は成長が見込まれている。 

輸出相手国 

輸出相手国を見ると、アメリカがトップを占めており、全体構成比は36.3%に及んでいる。次点で日本(12.1%)、韓国(10.2%)、中国(4.9%)、カナダ(2.5%)が続いている。 

他国との比較 

 ベトナム縫製協会(VITAS)によれば、ベトナムの縫製・繊維製品輸出額は中国とインドに次いで世界3位となった。前述したチャイナプラスワンの流れがあっても、中国は未だ縫製・繊維製品輸出において世界トップである。しかし中国の縫製品輸出高の伸び率は鈍化しているので、将来ベトナムが追い越す可能性は十分にある。 

新型コロナウィルス対策として、操業規制や移動制限があったため、工場での生産滞が滞っていた。https://vietnamnews.vn/economy/405286/vitas-recommends-removing-tariffs-on-polyester-fibre.html

履物の輸出 

 この10年間、履物の輸出はベトナム経済において重要な役割を果たしてきた。ベトナムの輸出品目の内、履物は6.9%を占める。これは縫製品に続いて4番目に大きいシェアである。縫製品の約半分であるが、縫製品の前年比が7.8%であるのに対し、履物は12.9%と大きく勝っている。 

輸出高の推移 

 2019年における履物の輸出額は2018年の162億ドルから、12.9%増の183億ドルに増加した。2019年、履物の輸出額は全体輸出額の6.9%を占めている。ベトナムの履物の輸出額は2010年以降右肩上がりで増加が続いており、2019年の輸出額は2010年と比較して、2.92倍の規模にまで拡大した。ベトナムでは年間10億足以上の靴が生産されており、2018年には世界第3位の履物輸出国となった。 

 2020年の履物輸出高は約168億ドルにまで減少した。こちらの原因と見通しも、縫製品と同様である。原因はコロナ禍による需要低下という外部的要因が大きく、今後の需要は時間とともに回復するだろう。 

輸出相手国 

輸出先を見ると、アメリカがシェア45.2%で首位を占めており、日本(12.1%)、韓国(10.2%)、中国(4.9%)、カナダ(2,5%)が続いている。2020年の輸出額が減少したのは、2大輸出先であるアメリカとEUでの発注が減少していることが理由として挙げられる。 

輸入から見た、製造拠点としてのベトナム 

 ここまでは、ベトナムの縫製品・履物の輸出状況を紹介した。本章では、ベトナムの輸入状況も参照し、縫製業・靴製造業を考察する。 

ベトナムの輸入品目 


輸入においても、コンピューター電子製品、機械設備、電話機とそれぞれの部品といった、機器系の品目が多く見られる。しかし4番目には織布、10番目には繊維・皮革原料といった縫製・製靴における原材料が入っている。 

上の2つの円グラフは、ベトナムの輸出入両方の相手国の割合である。輸入相手国では、中国が大きなシェアを占めている。中国の次は韓国、ASEANと続いている。一方輸出先では、アメリカ、EU、中国と続いている。このことから、ベトナムは近隣のアジアの国々から原材料を輸入し、アメリカやEUといった先進国に完成品を輸出しているという流れが鮮明に見て取れる。 この流れは、縫製品・履物だけのものではなく、機械類の製品も同様である。 

ベトナムに生産拠点を置く主な外資有名企業 

前章までの部分で、ベトナムの縫製品・履物の輸出状況と、貿易の構造を紹介した。縫製・製靴業においては、特に有名なブランドもベトナムに製造拠点を設けている。ここでは世界トップの業績を持つ企業の、ベトナム拠点の割合を紹介する。日本の消費市場でも馴染み深い企業が多くあるので、ベトナムの縫製・製靴産業の存在感を感じ取れるだろう。 

ベトナムに拠点を置く外資有名アパレル企業 

  •  GAP(米):148か所。全製造拠点の23% 
  • ファーストリテイリング(日):51か所。全製造拠点の15% 
  • H&M(瑞):72か所。全製造拠点の3% 
  • PRIMARK(英):24か所。全製造拠点の2.5% 
  • Inditex(西):150か所。全製造拠点の1%) 

衣料品をメインに販売している企業の中から、世界トップ5の企業を紹介する。まず最もベトナム拠点の割合が多いのはGAPで、全製造拠点の約4分の1を占める。次点は日本企業のファーストリテイリングで、全体の15%を占めた。それ以外の企業では、ベトナム拠点の割合は高いとは言えない。このことから、ベトナムの縫製業は超大手だけでなく、数多くの企業の製造を担っていると推察できる。 

 

ベトナムに拠点を置く外資有名製靴企業 

  • NewBalance(米):全製造拠点の30% 
  • NIKE(米):137か所。全製造拠点の20% 
  • Adidas(独):145か所。全拠点の14% 
  • PUMA(独):54か所。全拠点の24% 
  • ASICS(日):41か所。全製造拠点の25%) 

 
こちらも世界トップ5の製靴企業を調査した。(ただし衣料品を製造している拠点も含む)いずれの企業も、ベトナム拠点の割合はおおよそ20~30%前後となった。アパレルと比べると、平均的にかなり高い割合である。こうして見ると、日頃見かける有名ブランドの履物の多くがベトナムで製造されていると実感できるだろう。 

ベトナムへのOEM委託の際のポイント

ベトナムでのOEM委託の際には、まず工場のリストアップが重要である。ベトナムは世界で3番目の縫製品輸出量を誇り、ベトナムには非常に多くの衣料品、靴、カバンの工場がある。自社の条件に合った工場を探すのは非常に困難だ。条件にあった工場が見つかっても、そこからの交渉も難しい。日本語はもちろん、英語を話せる担当者がいることは多くない。また、日本企業ほどレスポンスのスピードや質が良くない場合も多々ある。
ベトナムでのOEM工場の探索・交渉は現地に実働部隊を有する組織に任せるのが最も効率的である。英語のメールよりも、ベトナム語の電話の方が、好印象かつ踏み込んだ会話も容易である。そうすれば、小ロットでの発注など難しい要求も、承諾される可能性が高まる。
 

ベトナム縫製業・製靴業の今後の課題と展望 

前章までの部分では、ベトナムにおける縫製業・製靴業の概況、進出のポイントを紹介した。本章では、両産業の今後の展望を紹介する。 

ベトナムは既に縫製品・履物の製造地として、世界でも有数の国になっている。人件費も上がりきっておらず、製造拠点としてはこれからも有望であり続けるだろう。その一方で、ベトナムの縫製・製靴業には、新たな可能性が期待されている。

国内消費の発達 

近年、ベトナムでは国内の消費市場が発達している。EC(オンラインショッピング)も盛んに行われており、今後も更に市場が大きくなることが見込まれておる。現在は、化粧品や健康食品などが人気を集めている。 

所得増加と中間層の増大 

ベトナム国内の消費市場の発達は、所得増加による中間層の増大が背景にある。生活に余裕が出来た結果、前述のような化粧品や健康食品にお金を費やす人が増加したのだ。また都市に移り住む人も増え、住宅の需要も増加している。こちらも、中流向け住宅の供給が大きく増えている。 
衣料品・履物においても同様の流れが期待されており、今後はより高価でブランドのある商品の販売増加が見込まれている。 

国際市場におけるブランディング 

国際的な衣料品・履物業界では、ベトナムは依然製造拠点として認識されている。そんな中VITAS(ベトナム繊維アパレル協会)のVu Duc Giang会長は、2030年までに30のベトナムブランドを国際市場でリリースすることを宣言している。近年、ベトナム出身のファッションデザイナーが欧米で徐々に評価を高めており、国際的なベトナムブランド形成のきっかけとなっている。現状のようにただ製造を請け負うだけだと、いつまでも製品の付加価値が高まらない。ベトナムの縫製・製靴業の目標は、「ベトナムブランド」を世界中で広く浸透させ、高付加価値の商品を生み出し、国内外向けに販売することである。 

まとめ 

本レポートでは、ベトナムの主要輸出品目である縫製品・履物について解説した。現在のベトナムの縫製・製靴業は、世界トップ企業の進出を受け一大製造拠点として機能している。ベトナムの人件費はまだ上がりきっていないので、製造拠点としてまだまだ魅力的な国である。一方でベトナムは、国際市場でブランドを築けていない。今後は製造拠点としてだけでなく、「ベトナムブランド」を前面に打ちだした高付加価値製品の開発が求められている。またベトナム国内市場における、衣料品の販売増加も期待されている。

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ベトナムでのビジネス成功のコツ

将来の成長ポテンシャルが大きいベトナム市場。ベトナム市場の有望性は感じていても、「実務上は様々な課題がたくさんある」という意見も少なくありません。

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メリット③ 今後の有望セクターに注力

ベトナムはこれまで製造拠点として見られてきましたが、経済発展に伴う中間層・富裕層の拡大に伴い、消費市場として注目されています。ONE-VALUEはエネルギー・環境、ヘルスケア、IT、日用消費財、小売、食品、教育といった有望セクターに注力しています。

最後に

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