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ベトナム PDP8:再生可能エネルギー開発を最優先(2030年予測)


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はじめに
この記事で伝えたいこと
  • ベトナム商工省は2021年9月にPDP8草案を公表した。PDP8はベトナム史上初めて再生可能エネルギーを最優先した電源開発計画となる見通しである。2021年末にかけてPDP8は首相によって最終承認される見通し。
  • ベトナム政府は今後、新規の石炭火力発電の開発は認めない方針。今後、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物発電の開発がますます進む見通しである。

PDP8の内容・概容

ベトナム商工省は2021年9月5日に、第8次国家電力マスタープラン(以下、PDP8)の草案を公表した。 PDP8草案は2021年2月にも公表されていたが、ベトナムの政権が代わったことにより、策定のやり直しが続いていた。今後、2021年末にかけて PDP 8が首相によって最終的に承認される見通しである。

PDPの基本方針であるが、発電によって引き起こされる環境への悪影響を最小限に抑えることを目的として、再生可能エネルギーを最優先するという方向になっている。2021〜2030年の期間における基本シナリオでは商用電力の成長について、年平均で8.52%、高位シナリオでは9.36%と予測されている。

PDP8はベトナム史上初めての再生可能エネルギーを最優先した計画となった。

ベトナムの総発電容量は現状のところ、約 69.3GWであり、これには 16.5GWの太陽光発電(総容量の約24%)と0.6GWの風力発電が含まれている。 ベトナムの発電量の50%以上は、石炭火力発電が占めている。ベトナムは急速に増加する電力需要に対応するために依然として石炭火力発電への依存が大きくなっている。 ベトナム国内には多くの大規模な河川があるため、水力発電も重要である。 2020年時点では、水力発電を除く、風力や太陽光といった再生可能エネルギーがベトナムの発電量の5%を占めた。

PDP8にはPDP6、PDP7等に比べて、根本的な違いがある。 PDP6、PDP7は、主に水力、石炭火力、ガス火力といった電源を中心に開発してきた。しかし、今回のPDP8では、ベトナム史上初めて、再生可能エネルギーが中心の電力開発計画となった。PDP8には、投資制度、電力プロジェクトへの入札制度、送電網などに関する開発方針に関する記載が含まれる。また、PDP8は、企業が電源開発に積極的に投資を参加できるように、電源の構造と比率、配置場所、容量(MW)を明確に発表している。

PDP8は再生可能エネルギーの開発を最優先している

2021年9月版のPDP8ドラフトによれば、電源開発の目標として、以下の通りとなっている。

2030年までの運転開始済み電源容量は130,371〜143,389MWとなっており、各電源の比率は石炭火力:28.3〜31.2%、ガス火力:21.1〜22.3%、水力・揚水発電:19.5〜17.73%、再エネ:24.3〜25.7%、輸入:3〜4%となる。

2030年までの運転開始済み電源容量261,951〜329,610MWで、各電源の比率は石炭火力:15.4〜19.4%、ガス火力:20.6〜21.2%、水力・揚水発電:9.1〜11.1%、再エネ:40.1〜41.7%、輸入:3〜4%となる。

送電網の開発について、PDP8は、近年発生している過剰容量の問題を解決するために、220KV以上の送電線を中心に開発していく方向である。開発計画に関して、商工省は、2021年から2030年の間に、約13,000kmのDLZと86GVA(500kV/ステーション)を構築すると述べている。

PDP8草案の重要ポイント

 PDP8の重要ポイントを以下では解説していきたい。

ベトナム北部の電力需要が急速に増加

PDP8草案と改定PDP7の最も顕著な違いの1つは、南北部の電力需要の差である。 PDP8によると、北部の商用電力の割合は2020年の42.4%から2045年には45.8%に徐々に増加し、南部は2020年の47.4%から2045年までに43.6%に減少する。2040年までに、北部の商用電力の電力需要は南部の電力需要を上回り始めると予測する。結果として、これは、北部の需要を満たすために送電網と電源を開発するという従来とは大きな変更点である。

地域間の再生可能エネルギーの不均衡な開発の問題を解決

PDP8草案は、2030年の計画と比べて、太陽光発電の供給過剰になった地域を制限する方針がある。そのうち、中部高原地域(開発計画:1,500MW、現在登録:5,500MW)、中南部(開発計画:5,200MW;現在登録:11,600MW)、南部(開発計画:9,200MW;現在登録:14,800 MW)などがある。

風力発電では、 PDP8に承認された電源容量と政府が計画した容量を上回っている地域は中央高地(開発計画:4,000MW、現在登録:10,000MW)と南部(開発計画:6800MW、現在登録:17,000MW)。

PDP8草案は、ベトナムの再生可能エネルギーの持続可能な開発を確実に実行するために、この不均衡を解決しなければならないと述べている。 また、再生可能エネルギーに関する将来の政策は、FITではなく入札制度に基づくと想定されている。

工業団地の屋根置き太陽光発電、直接電力買取契約(DPPA)制度の実現も期待

再生可能エネルギーの開発を優先

PDP8草案では再生可能エネルギーは、2030年までの電力システム開発プログラム全体の期間に沿って、地域間で経済的、技術的および運用の基準を確保しながら、合理的な開発を引き続き優先する方針が策定されている。再生可能エネルギー(水力発電を除く)は約現在17,000MWから2030年には31,600MWとなり、電力システム全体の総設備容量の約24.3%を占める見込みである。

石炭の電気的電力の重量を削減

PDP8は、新設の石炭火力発電所の開発を規制する。2030年の基本シナリオにおける石炭火力発電所の総設備容量は40,700 GWであり、PDP7より約15,000MW削減した。PDP7で首相によって承認された石炭火力発電プロジェクト、そのほとんどは商工省によって実行可能性の高い投資家を抱えており、PDP8で引き続き展開していて、計画通りに実行していく。ハイフォン、クアンニン、ロンアン、バクリュウなどの地域で多くの承認されなかった石炭火力発電プロジェクトは、環境に優しいLNG火発プロジェクトに置き換えられる。

したがって、2030年までに、石炭火力発電の割合は、基本ナリオでは約31%、高負荷シナリオでは約28%にすぎない。

2025年にかけて開発が進む風力発電

2021年2月版のPDP8草案との違い

2021年2月版の PDP8との違いについても分析していきたい。

電力開発に投資する総投資金額を引き下げ

ベトナム政府は電力開発に投資する総投資額を、2月版ドラフトの金額と比較し削減した。具体的には、 2021~2030年の総投資額が1,283億米ドルから887〜1,015.5億米ドルに、2031~2045年が1,923億米ドルから1,631.4〜2,088.9億ドルとなった。

送電線より電源を開発する方向を固める

2月版のPDP8ドラフトより、PDP8の最新版には送電線の開発に投資する金額の割合大幅に削減したが、電源に投資する金額の割合は大きく増加した。詳細については以下の通りである。

2021~2030の期間における電力の総投資額のうち:送電線は26%から14%に引き下げ、電源は74%から86%に増加した。

2031~2045年の期間における電力の総投資額のうち:送電線は27%か17%に引き下げ、電源は73%から91%に大幅に増加した。

増加し続ける電力需要に対して、石炭火力、LNG火力の開発と再生可能エネルギーの開発が同時進行で進む

再生可能エネルギーの割合を引き下げ、石炭火力の割合を増加

2030年までの再生可能エネルギーの割合は、2月版の草案では29%だったが、9月版の草案では25.7%に削減された。 さらに、石炭火力の割合は、2月版ドラフトより拡大した。

石炭火力・LNG火力の承認待ちプロジェクトを多く除外

ベトナム政府は9月版PDP8草案にて精査中の石炭火力及びLNG火力プロジェクトを承認待ちリストから除外したため、石炭火力及びLNG火力の計画する発電容量も引き下げた。

ベトナム政府は、今後の石炭火力発電所の建設について、既に計画されている案件以外の新たな開発は認めない方針を示している。

今後の見通し

今後、PDP8は首相の承認を経て、最終的に公表される見込みである。2021年10月3日、PDP8評価議会はPDP8草案を評価し、承認することを決議した。従って、 2021年10月には、ベトナム商工省が首相に対してPDP8の内容を検討と承認を求める予定である。 PDP8の正式版は2021年末までに承認されると予測されている。

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最後に

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