ベトナムと中国との関係
ベトナムにとって、中国は非常に重要な貿易相手国である。輸出相手国としてはアメリカに次ぐ第2位、輸入相手国としては第1位で、輸出入総額の24.6%(2023年9月時点)を占めている。
2023年12月には、中国の王毅外相がベトナムを訪問し、両国の関係を強化することで一致した。会談において、ベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長は、両国の友好関係の重要性を強調し、中国との関係はベトナムにとって最優先であると述べた。王毅外相は両国関係を「運命共同体」と表現し、引き続き、各分野でベトナム側と協力を深めるとした。
ベトナム・中国間で農林水産品輸出入フォーラムを開催
2023年11月30日、ベトナムは「2023年ベトナム・中国農林水産物輸出入フォーラム」を開催し、21の経済協定ならびに契約が締結された。
ベトナムには、各地域において特有の、高品質かつ多様な農産品があり、熱帯農業生産において大きな強みと潜在力もつ。2022年には、ベトナムの農林水産物の輸出総額は532億ドルを超え、2021年比で9.3%増加した。
ベトナムの農林水産物は、約190の国と地域に輸出されている。中でも中国は、ベトナムの農林水産品、特に果物・水産物における最大の市場である。しかし、現時点で中国市場に深く浸透できておらず、大企業や近代的な流通チャネル(モダン・トレード)、EC市場、大型スーパーマーケット等との連携が十分に確立されていない。
ベトナムの農林水産品の生産能力・供給力を活かし、中国からの膨大な水産品需要に応えるためには、通関インフラを早急に整備するとともに、食品安全衛生規定を満たす品質確保が求められる。
本フォーラムでは、両国の関連業界企業や政策立案者による情報交換が行われ、課題・障壁を確認し、解決策を模索する機会となった。さらに、両国の企業が直接関係を構築し、仲介業者を減らすことで、消費者に最もリーズナブルな価格で提供することができ、両国企業間の取引を促進していく。
今後の展望~ベトナム・中国間の関係強化~
本フォーラムで締結された21の経済協定・契約は、ベトナムの農業部門に様々な恩恵をもたらすと考えられる。中国市場へのアクセスが拡大することで、ベトナムの農林水産品の輸出増が見込まれる。さらに新たな取引機会が創出されることで、両国企業による共同プロジェクト等が進み、農業分野のさらなる発展が期待されている。