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ベトナムの環境ビジネスへの参入:メーカーとして?投資家として?

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今回の記事ではベトナムの環境産業について詳しく考察していきたい。この記事を通じて、ベトナムの環境産業で事業展開を検討する上では①メーカーとしてだけではなく、投資家としての事業展開を検討すること、②政府の統計やレポートだけでなく、事業者へのヒアリング調査や現場調査を通じた情報収集が重要であること、の2点を伝えたいと考えている。

ベトナム環境産業の市場規模

 今回の記事で取り扱うベトナムの環境産業は主に排水処理と廃棄物処理である。現在のベトナムでは、急速な経済発展、人口増加により排水・固形廃棄物の排出量が増加している。これに加え、都市部に人口が集中する現象である都市化が2000年以降、急速に進んでいる。都市部の人口過密が進むことで都市部における排水・固形廃棄物の排出量の増加につながり、環境インフラを慢性的に逼迫させる事態が生じている。

 ベトナムでは長期的に2050年にかけて一貫して都市化が進む見込みである。2000年時点での都市化率は僅か24.4%程度で、全人口の75.6%は農村部に居住していた。しかし、2020年時点では都市部に住む人口の割合は36.8%まで増加し、このまま都市化が進めば、2045年には都市人口が農村人口を上回り、都市化率は51.1%まで高まると予測されている。その後も都市化は続き、2050年には都市化率が53.8%まで高まる見込みだ。これにより、将来的に環境への負荷はますます高まることが容易に予測される。

ベトナムの環境産業:排水処理市場

 ベトナムでは生活排水、産業排水が増加し続けている。しかし、都市部を中心として、下水道インフラが十分に整備されておらず、未処理の生活排水、産業排水が河川に放流されており、水環境の汚染を引き起こしている現状だ。また、排水処理システムが導入されていない工業団地も依然として存在しており、導入されていても十分に稼働していないなど、政府が定めた排水処理の基準を満たさないまま、排水が河川に放流されているケースも多々ある。ベトナムでは環境警察という組織が設置されており、民間企業による環境基準の順守状況をチェックする仕組みがあるものの、うまく機能している訳ではない。政府職員がチェックのために訪れる日だけ稼働するといった話も一部ではある。

 ベトナム天然資源環境省の統計によれば、2030年にかけて、生活排水と産業排水の発生量はともに増加を続ける見通しであるが、特に産業排水の増加が顕著だ。2020年時点、1日当たりの産業排水の発生量は3,200千㎥/日とみられているが、2030年には13,600千㎥/日となる見込みで、これは現在と比較して約4.3倍に増加することを示している。

 ベトナム商工省の発表によれば、2019年時点、ベトナム全国に存在する工業団地の88.3%に集中排水処理システムが導入されており、導入済みの工業団地から発生する1日当たりの産業排水の量は635,000㎥ /日にのぼるという。一方で、処理能力は僅か450,000 ㎥/日に留まっており、システムが導入されていても、処理能力が不足している。

ベトナムの環境産業:廃棄物処理市場

 ベトナムでは2030年にかけて廃棄物の発生量は増加し続ける見込みであるが、特に都市部における生活廃棄物の増加が著しい。ベトナムにおける都市ごみの主な処理方法は直接埋立である。ベトナム政府は排出源でのリサイクルや分別を廃棄物管理の原則として掲げているものの、依然として達成度は低い。廃棄物処理の流れ図を見ると、発生する固形廃棄物の全体量を100とすれば、都市環境公社による収集が全体の85%を占め、リサイクル業者等の個人での収集が6%、不法投棄等が9%となっている。埋立処理される割合は全体の63%となっており、リサイクル(10%)、コンポスト処理(4%)、焼却(14%)は低い水準に留まっている。

 2015年の世界銀行が公表したレポートによれば、ベトナム国内には660箇所の埋立地があり、衛生的に処理されていない埋立地は全国で456箇所にのぼる一方、衛生的に処理されている埋立地は僅か204箇所だけであった。2019年時点では、ベトナム国内における埋立地は900箇所まで増加したが、依然として衛生的に処理されている廃棄物は全体の20%程度であるという。

EPCとしての参入か、投資家としての参入か

 ベトナムの環境産業の有望性は明らかであるものの、日本企業が参入する上ではいくつかの障壁がある。現状のベトナムでは、日本企業が強みとする高い技術力はそれほどまでに求められないケースも多い。価格競争力の面では中国企業等が優位性を持っており、長期的な観点から長持ちする日本の設備でも価格のために、ベトナム政府や民間企業に理解してもらうことはなかなか難しい。この場合、オプションの1つとして、環境設備・プラントのメーカーが単にメーカーとしての進出ではなく、投資家として参入することを検討すべきであろう。運転開始後のフェーズにおいても、この際に重要となることは自社の適切な現地パートナーの選定である。自社の方針と合致するような企業の探索と協議、双方の深い理解が不可欠である。

ベトナム企業へのヒアリング調査・現場調査が重要

 市場を理解することを目的として、ベトナムの環境に関するデータや統計は十分にあるとは言えないのが現状である。ベトナム天然資源環境省の年次報告や文書はベトナム語で入手できるものの、これらのデータを鵜呑みにできないというのが現実である。ベトナムでは統計データと実態が大きく乖離していることは多々あり、環境産業の市場動向把握でも留意すべき点であると考えられる。

 排水処理、廃棄物処理においても工業団地内における処理の状況や有機性廃棄物の発生状況や処理状況を実際にベトナム人の調査員を通じて調査するなど、事業者へのヒアリング調査を通じて、情報を収集し、分析を通じて市場全体を理解することが重要なポイントになるだろう。

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