ベトナムでビジネスを展開する際、取引先やパートナー企業の信用情報を正確に把握することはリスク管理上極めて重要です。しかし日本とは異なり、ベトナムでは企業情報の透明性が低く、財務諸表やIR情報を公開していない企業が多く存在します。そのため、独自の調査手法と専門知識が求められます。本記事では、ベトナムにおける信用調査の必要性から具体的な調査方法、調査会社の選び方、さらに調査結果を活用した与信管理の実務まで、1,500件以上のベトナムビジネス支援実績を持つONE-VALUEの知見をもとに徹底解説します。
ベトナムで信用調査が必要な理由

日本との情報開示制度の違い
日本では上場企業を中心にIR情報や財務諸表の公開が当たり前であり、企業基本情報や決算情報もウェブ上で容易に確認できます。しかし、ベトナムでは法律上は企業に財務諸表の提出義務があるものの、実際には未上場企業の財務情報は一般に公開されていません。たとえ大手企業であっても決算情報やIR資料を自社サイト等で公表していないケースが多々あり、日本のように公開データから企業の実態を把握することが難しいのが現状です。この情報開示制度の違いにより、日本と同じ感覚で取引先企業を評価すると見落としが生じる可能性があります。
ベトナム特有のビジネスリスク
ベトナムで特に注意すべきリスクの一つが、企業の二重帳簿の存在です。ベトナムの非公開企業の80%以上が税務申告用と内部管理用の二つの帳簿を運用していると言われており、提出された財務諸表が必ずしも実態を反映しているとは限りません。また、支払い能力の低い企業と取引した結果、代金回収が困難になるケースも珍しくありません。帳簿上は黒字でも実際には自転車操業状態の「見せかけの優良企業」も存在し、有名企業・大手企業という肩書きだけで信用してしまうのは危険です。こうしたベトナム特有の経営実態を踏まえ、表面的な情報だけで判断しない慎重さが求められます。
信用調査が必要となる具体的なシーン

新規取引先の選定時
ベトナム進出後に新たな現地サプライヤーや取引先と契約を開始する前には、事前の信用調査が不可欠です。例えば製造業で現地部品メーカーを選定する場合、その企業の財務の健全性や支払い遅延の有無を確認しないまま取引を始めると、納品後に代金未回収といったリスクに直面しかねません。販売代理店(ディストリビューター)を起用する場合も同様で、相手企業の財務基盤や在庫負担能力を把握しておくことで、安心して商品の供給を任せられるか判断できます。
M&Aやパートナーシップ検討時
現地企業との資本提携や合弁、さらにはM&Aを検討する段階でも信用調査は重要な役割を果たします。合弁パートナー候補の企業については、デューデリジェンス(DD)の一環として財務状況や負債の有無、法令遵守状況などを詳しく調査する必要があります。表面的な企業説明だけではわからない簿外債務の存在や法的リスクを洗い出し、提携・買収の是非を見極めます。また、株式取得に際しては、過去の訴訟履歴や税務上の問題がないか、キーパーソンである経営陣が買収後も継続して参画する意思があるかといった点も確認ポイントです。
既存取引先の与信管理
既に取引のある現地企業に対しても、定期的な与信見直しが必要です。取引開始時には健全だった企業でも、経営環境の変化や資金繰りの悪化により状況が変わることがあります。例えば、最近になって支払い遅延が発生している取引先があれば、その企業の直近の財務状況やキャッシュフローを改めて調査し、与信限度額や決済条件を再検討することが重要です。契約後も定期的に信用調査を行い、取引先の経営悪化の兆候を早期に察知することで、不測の貸倒れリスクを最小限に抑えることができます。
ベトナムの信用調査で確認できる情報
信用調査を通じて入手できるベトナム企業の情報は多岐にわたります。主な項目は以下の通りです。
基本情報
- 企業基本情報: 企業名(正式名称・英語名・ベトナム語名)、法人登記番号・税務コード、所在地(登記上および実際の住所)、設立年月日、企業形態、主な事業内容、資本金・従業員数
- 連絡先: 電話番号、FAX、メールアドレス、ウェブサイトURL など(入手可能な場合)
財務情報
- 財務諸表: 貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)
- 財務指標: 流動比率、自己資本比率、売上高経常利益率、ROEなど主要な財務比率
- 過年度推移: 売上高・利益・総資産など主要項目の年次推移データ
- 業界比較: 同業種内での財務指標の平均値との比較により、その企業の財務上のポジションや健全性を評価
経営陣・株主情報
- 役員情報: 代表者・取締役など主要経営陣の氏名、役職、経歴
- 株主構成: 株主名および持株比率。大株主や最終的な支配株主の把握
- 関連会社: 当該企業が属するグループ企業の概要や、主要子会社・関連会社の情報
取引・法的情報
- 主要取引先: 顧客企業や仕入先など、主要な取引先リスト(可能な範囲で)
- 取引銀行: 当該企業が利用している主要銀行名
- 輸出入実績: 貿易実績がある場合、輸出入額や主要な貿易相手国・商品など
- 法的事項: 訴訟記録の有無、行政処分歴の有無
- 担保設定状況: ベトナム法務省の担保登録データベースへの登記情報(動産・不動産に対する担保権設定が登録されているか)
信用格付・総合評価
- 信用スコア: 信用調査専門機関による当該企業の信用格付け情報
- 支払い能力評価: 財務データや取引実績から見た支払能力や債務返済能力の評価
- 事業継続性の見通し: 業界動向や経営状況を踏まえた総合的な現況分析と将来の見通し(定性的評価)。例えば「経営状況及び返済能力、現況及び見通し」等が総合分析としてレポートに含まれます。
ベトナムの信用調査を実施する方法

専門の信用調査会社に依頼する
最も確実なのは、ベトナム企業の調査に精通した専門の信用調査会社へ依頼する方法です。日本語で対応可能な調査会社も多く、日本の信用調査機関やグローバル調査会社と提携してベトナム企業の情報収集を代行しています。例えば、プロネクサスなど日本企業のサービスでは、現地の提携調査会社(中華徴信所〈Chung Hua Credit Information Service〉など)と連携し、ベトナム企業の信用情報レポートを作成しています。現地に拠点やネットワークを持つ調査会社であれば、独自ルートで公表されていないデータを収集したり、直接現地機関から情報を取得したりできる強みがあります。
調査会社選定のポイント
信用調査会社に依頼する際には、以下のポイントに留意して選定するとよいでしょう。
- 現地ネットワークの有無: ベトナム国内に強固な情報収集ネットワークを持つかどうか。独自の人脈や情報源がある会社は、入手困難な財務諸表なども取得できる可能性があります。
- 財務データへのアクセス力: 公開情報が少ない中で、政府機関への申請や非公開データの入手ルートを持っているか。公式提出された決算が公開されていない場合でも、独自ルートで信頼性の高い財務数値を入手できる会社が望ましいです。
- 日本語レポートの品質: 提供される報告書が日本語で分かりやすくまとめられているか。専門用語の翻訳や解説が丁寧で、日本人にとって読みやすいレポートであることは重要です。
- 実績とカバー範囲: 過去にどの程度の件数・規模のベトナム企業調査を手がけた実績があるか。同程度の規模の企業調査経験があれば安心です。また、上場企業から中小企業まで幅広く対応できるかどうかも確認しましょう。
- 調査期間と費用のバランス: 標準的な調査に要する期間や費用感は適切か。他社と比較して極端に遅かったり高価すぎたりしないかをチェックします。緊急対応が可能か、追加費用で迅速レポートが手配できるかなど、スケジュール面の柔軟性もポイントです。
自社での情報収集の限界
企業信用調査を自社の力だけで行うことは、ベトナムでは限界があります。公開情報が少ないため、インターネット上で入手できるのは企業の登記基本情報(企業登録サイトで検索できる社名や登記番号、所在地など)や新聞報道程度に留まります。加えて、提出された決算情報も一般には公開されず、法令順守の意識も低いため、公式データだけでは企業実態を十分に把握できません。また、ベトナム法務省の担保物権登記システムで会社名を調べれば、その企業が資産を担保に入れているかどうか一部確認できますが、それだけで信用度を判断するのは困難です。現地で直接ヒアリングを試みても、相手企業が本音を話すとは限らず、関係悪化のリスクもあります。さらに、ベトナム語で記載された財務資料や登記書類を読み解くには高度な語学力と専門知識が必要です。このように、自社のみでの情報収集にはおのずと限界があるため、信頼できる第三者の調査機関を活用する意義は大きいと言えます。
信用調査にかかる費用と期間の目安

ベトナム企業の信用調査を外部に依頼する場合の一般的な費用感と期間の目安を把握しておきましょう。通常、1社あたり約38,000円~(税別)から調査を受け付けているケースが多く、調査範囲やレポート内容に応じて料金は変動します。例えば簡易な企業スクリーニング程度であれば数万円、詳細な財務分析や現地聞き取りを含む場合は数十万円規模になることもあります。標準的な調査期間はおおよそ18営業日(約3~4週間)程度が目安です。ただし調査対象企業の所在地域や情報入手難易度、依頼する調査会社の繁忙状況により、納期は前後する可能性があります。緊急でレポートが必要な場合、追加料金で迅速調査(特急対応)を依頼できる会社もありますので、スケジュールに応じて相談するとよいでしょう。
調査費用は依頼する内容に応じた「プラン制」になっていることが一般的です。例えば基本プラン(企業の基本情報と財務ハイライトのみ)、アドバンスプラン(基本情報に加え輸出入や財務諸表・信用情報まで)、エキスパートプラン(より詳細な顧客情報やリスク分析まで網羅)といった具合です。高度な情報を含むプランほど費用は高くなりますが、必要な情報レベルに応じて選択できます。また、複数社を同時に調査依頼する場合には、ボリュームディスカウントが適用されるケースもあります。調査社によっては「5社以上まとめて依頼の場合は○%割引」といった対応や、数十社分のデータを一括購入するカスタムプランにも応じています。自社のニーズと予算に合わせて、最適な形で調査を依頼しましょう。
ベトナム信用調査における注意点と落とし穴
(※以下、実務経験に基づく注意事項を解説します)
二重帳簿への対応
前述の通り、ベトナムでは二重帳簿(税務申告用と内部管理用の二つの帳簿)を作成する企業が非常に多く存在します。そのため、調査で入手した財務諸表が企業の実態を正確に反映していない可能性に常に留意すべきです。提出資料を鵜呑みにしない姿勢が重要であり、必要に応じて第三者機関による監査済み財務諸表の入手を試みたり、複数年度のデータ推移を分析して数字の整合性をチェックしたりする必要があります。また、ヒアリング調査を実施できる場合には、会社の経理担当者や元従業員などから内情を探ることで、裏帳簿の存在を示唆する証言が得られる場合もあります。二重帳簿が疑われる場合は、想定されるリスク(金額差異や隠れ負債の規模)を織り込んで評価を行いましょう。
「見せかけの優良企業」の見抜き方
企業の外見的な知名度や規模だけで信用力を判断すると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。ベトナムでは「地元では有名な大企業」と言われる会社でも、実態は毎月の支払いに汲々としている自転車操業状態だったというケースも存在します。また、現地の仲介業者や取引先から提示された財務諸表が粉飾されており、後日詳細な調査を行ったところ実際の財務内容と大きく異なっていた例もあります。こうした「見せかけ」の優良企業を見抜くには、定量データと定性情報の両面から総合判断することが肝心です。財務指標が一見良好でも、その数字の裏付けとなる現金収支や債務状況を深掘りし、不自然な点がないか確認します。また、経営者個人の資産と会社資産の混同にも注意が必要です。オーナー経営者の場合、会社の資金を私的に流用しているケースもあり(例えば会社資金を経営者個人が無利息で借り入れている等)、帳簿上の現預金残高と実際の資金が合わない事例が見られます。反対に、経営者個人の資産で会社の負債を穴埋めしているような場合も、表面上の数字だけでは読み取れません。調査では経営者の信頼性やガバナンス体制にも目を配り、企業の実態を多角的に評価する姿勢が求められます。
調査のタイミングと鮮度
信用調査は実施のタイミングも非常に重要です。企業の信用状態は半年から一年でも大きく変化し得るため、古い調査報告は陳腐化している可能性があります。例えば2年前の財務データでは直近の業績悪化を反映できません。したがって、新規取引の前には直近の情報に基づいて調査をやり直すかアップデート版を取得することが望ましいです。また、一度取引を開始した後も定期的な再調査を検討しましょう。少なくとも年に一度、重要取引先であれば半年に一度程度は最新の信用状況を確認し、与信限度額や取引条件を見直すのが理想です。特に大口取引や長期契約の直前には、直前期の決算情報を入手して最終確認を行うことでリスクをさらに低減できます。
調査結果の読み解き方
信用調査報告書から得られる情報を正しく読み解き、意思決定に活かすことも重要です。ただ数字の良し悪しだけで機械的に判断するのではなく、背景にある要因を考慮します。例えば財務諸表に問題がなくとも、業界全体が斜陽産業であれば将来の不安材料となり得ますし、逆に財務数値に多少難があっても公共事業案件で安定収入が見込める企業ならリスクは低いかもしれません。また、報告書に記載された業界平均との比較に注目すると、その企業の異常値(極端に自己資本比率が低い等)を発見できます。そうした差異が何に起因するのか、調査担当者の総合評価コメントも参考にしながら分析しましょう。
報告書内に「情報取得不可」や「該当なし」といった項目がある場合も注意が必要です。それは単にデータが存在しないだけでなく、企業側が開示を渋った情報領域である可能性もあります。例えば「過去の訴訟履歴:情報取得不可」とあれば、何らかの訴訟があるが詳細を得られなかったのか、あるいは本当にクリーンなのか判断が分かれるところです。このような場合には、他の情報源(ニュース記事や業界関係者の証言)をあたって補完し、疑わしい点を残したままにしないことが肝要です。総じて、信用調査報告書は意思決定の重要な材料ですが、最終判断にあたっては多角的な視点で情報を咀嚼し、慎重にリスク評価を行うことが求められます。
信用調査後のアクションプラン

調査結果を踏まえた取引条件の設定
信用調査の結果は、今後の取引条件を策定する上で有益な指針となります。まず、当該企業に対する与信限度額(掛売り取引で許容できる売掛金残高の上限)を設定します。調査で判明した財務体力や資金繰り状況に応じて、「この企業には〇〇ドル(または〇〇ドン)までの信用枠に留める」といった具合に上限を決めておけば、万一相手が倒産しても損失を限定できます。また、支払い条件も信用度に応じて見直します。調査の結果、危険度が低いと判断できれば通常の信用取引(掛払い)で問題ありませんが、やや不安がある場合は前払い(一部または全額デポジット)や信用状(L/C)の利用、短期の手形決済などを条件に加えることを検討します。反対に高リスクと判定された場合には、取引自体を見送るか、どうしても必要な取引であれば担保や保証を要求することも選択肢です。例えば相手企業の親会社による連帯保証や銀行保証状の差し入れを求め、安全策を講じた上で取引開始するなど、調査結果に応じた条件設定でリスクヘッジを図ります。
リスクヘッジの具体策
取引を行う以上、万全を期すために様々なリスクヘッジ策を講じることが推奨されます。まず、輸出入取引においては日本の輸出信用機関が提供する貿易保険を活用することで、相手先の支払い遅延・不履行による損害の一定部分をカバーできます。特に高額商談では保険料を支払ってでも備える価値があるでしょう。また、前述の通り親会社保証や銀行保証を取得しておけば、万が一取引先が支払い不能に陥っても代替弁済を得られるため安心感が高まります。契約スキーム上の工夫としては、エスクローサービスの利用もリスク軽減に有効です。第三者機関(銀行等)が売買取引の代金を一時預かりし、商品受領後に支払を実行する仕組みで、互いの信頼関係が十分でなくても安全に取引を進められます。さらに、分割納品・分割支払いのスキームも検討に値します。一度に大きな金額を動かすのではなく、例えば月次で小分けに出荷と支払いを行うことで、仮に一部で問題が発生しても被害を抑えられます。このように、信用調査で判明したリスクの程度に応じて複数のヘッジ策を組み合わせ、取り得る対策は漏れなく講じておくことが大切です。
継続的なモニタリング体制の構築
信用調査後に安心して終わりにするのではなく、継続的なモニタリング体制を社内で構築しておくことが長期的なリスク管理の鍵です。具体的には、主要取引先に対して年次または半年ごとに財務状況や信用情報のアップデートを入手する仕組みを作ります。先方から定期的に最新の決算書を提出してもらうよう契約で取り決めたり、外部の信用調査サービスで定期フォローアップ調査を依頼したりする方法があります。また、日々の取引においても支払い状況のトラッキングを怠りなく行います。支払いサイト(期限)からの遅延が頻発し始めた、小切手の不渡りが出た、といった兆候は真っ先に察知して対応すべきサインです。さらに、取引先企業に関する風評情報の収集ルートを確保しておくことも有効です。現地の業界団体や協力会社、人脈などを通じて「○○社が最近資金繰りに苦労しているらしい」等の噂が入れば早期にキャッチできます。グローバルに事業展開する以上、相手国の言語で出るニュースやSNS情報にもアンテナを張り、突然のリスク発現に備えておきましょう。継続的なモニタリングによって小さな変化も見逃さず、必要に応じて迅速に追加調査や与信条件の再設定を行うことが、安全な取引関係を維持する秘訣です。
業種・目的別の調査ポイント
信用調査で着目すべきポイントは業種や目的によっても若干異なります。以下に、特に注意したい業種・シーン別の調査観点をまとめます。
製造業のサプライヤー調査
製造業では生産委託先となる現地サプライヤーの信用力だけでなく、生産能力や品質管理体制も重要な調査ポイントです。例えば、受注量に対して十分な設備・人員を備えているか、国際的な品質規格(ISOなど)を取得し遵守しているかを確認します。過去に納期遅延や品質不良が頻発していないか、他社向けの供給実績と評価も参考になります。また、原材料の調達ルートが安定しているかも見逃せません。特定の仕入先に過度に依存している場合、そちらの事情で生産が滞るリスクがあります。さらに、財務面では在庫の適正水準や資金繰り状況にも注目しましょう。材料の仕入れに必要な運転資金を確保できているか、支払サイトが長すぎてキャッシュフローを圧迫していないかなどを調べます。こうした観点からサプライヤーの実力と信頼性を総合判断し、自社の調達戦略にふさわしい相手かどうかを見極めます。
小売・流通の販売代理店調査
ベトナムで自社製品を販売するために現地代理店や流通パートナーを選定する場合は、販売網の広さと流通実務の能力に関する調査が鍵となります。まず、その代理店が既に扱っている商品群やブランド、および販売チャネルを確認します。自社製品と競合する商品を扱っていないか、販売地域やセグメントが自社の狙う市場と合致しているかを見極めます。次に、在庫管理能力と物流ネットワークを評価します。適正在庫を維持し迅速に補充できる仕組みがあるか、国内各地への配送網やコールドチェーンなど必要なインフラを持っているかがポイントです。過去の販売実績も重要な指標です。年間売上高や成長率、その代理店が持つ小売店網の店舗数・カバーエリア、市場シェアなどのデータがあれば入手します。財務面では、売掛金の回収状況や借入金の有無などから資金繰りの健全性をチェックします。販売力があっても資金繰りが悪ければ継続取引に支障を来たす可能性があるためです。こうした情報を総合して、当該代理店が自社商品の販路拡大に信頼して任せられるパートナーかどうか判断します。
M&A候補企業のデューデリジェンス
ベトナム企業のM&Aを検討する際には、一般的な信用調査に加えて一歩踏み込んだデューデリジェンス(精密調査)が必要です。特に注意すべきは簿外債務や隠れた負債の有無です。貸借対照表に表れていない負債や引当漏れ(例えば訴訟になっている損害賠償金、未払税金、関連会社間の保証債務など)がないか、専門家チームが綿密に調査します。また、法務デューデリジェンスの観点では、過去・現在の訴訟リスクやコンプライアンス違反の有無を洗い出します。環境規制違反や贈収賄の履歴がないか、知的財産権の侵害リスクが潜在していないか、といった点もチェックリストに含めます。さらに、M&A後の事業継続に不可欠なキーパーソンの継続性も評価が必要です。創業オーナーや技術責任者など特定個人にビジネスが依存している場合、その人物が離脱すると事業に支障をきたすため、買収後も一定期間残ってもらえるよう契約交渉するなどの対策が求められます。そして知的財産権の保有状況についても調べます。特許や商標が事業の鍵であれば、その登録状況や残存期間、侵害紛争の有無を確認します。M&A候補企業の調査は非常に包括的になりますが、買収後に想定外の損失を被らないよう、財務・税務・法務・ビジネスあらゆる側面からリスクを洗い出し、必要な契約条項(表明保証や価格調整など)に反映させることが重要です。
ONE-VALUEの信用調査支援サービス

- 1,500件以上の支援実績に基づく専門サポート: ONE-VALUEはこれまでに1,500件以上のベトナムビジネス支援実績を有する専門家集団であり、豊富なノウハウと現地ネットワークを活かして信用調査をサポートします。蓄積された知見により、ベトナム特有のリスクを的確に見抜き、適切な助言を提供します。
- 約100万社のベトナム企業データベースへのアクセス: ONE-VALUEはベトナム企業約100万社の最新データを収録した独自データベースを保有しており、日本企業の進出ニーズに合わせた企業調査・市場分析を比較的安価に提供可能です。幅広い業界・企業規模を網羅した情報基盤により、必要な企業の詳細データを迅速に入手できます。
- 現地ネットワークを活用した独自情報の収集: ベトナム現地に精通したスタッフと提携機関のネットワークを駆使し、公開情報だけでは得られない一次情報の収集が可能です。財務データや信用情報も独自ルートで入手し、日本語で分かりやすいレポートにまとめて提供します。
- 調査結果の読み解きから与信管理までワンストップ支援: 単に調査報告書を提供するだけでなく、その結果を踏まえた与信判断やリスク対策の立案まで一貫してサポートします。調査後の取引条件の見直しやモニタリング体制の構築についても、経験豊富なコンサルタントが実務的なアドバイスを行います。
- 日本人コンサルタントによる丁寧な解説: 日本語での対応が可能なコンサルタントが在籍しており、調査報告書の内容について不明点があれば丁寧に説明します。専門用語や現地特有の事情についても、日本人の視点で噛み砕いて解説するため、安心してご利用いただけます。
- 無料相談窓口のご案内: ベトナムでの信用調査に関するご相談は無料で受け付けています。調査の必要性に関する簡易診断から具体的なサービス内容・費用の見積もりまで、まずはお気軽にお問い合わせください。ONE-VALUEが培ってきた知見をもとに、御社のベトナムビジネスを安全に進めるための最適なプランをご提案します。
ベトナム市場調査レポート一覧はこちらからもご覧頂けます。

まとめ
ベトナムでの信用調査は、取引リスクを最小化し安全なビジネス展開を実現するための必須プロセスです。日本とは情報開示環境が大きく異なり、二重帳簿の存在などベトナム特有のリスクがあることを理解したうえで、信頼できる専門調査機関を活用して正確な情報収集・分析を行うことが重要となります。信用調査は一度実施すれば終わりではなく、経営状況の変化に合わせて継続的なモニタリングと定期的なアップデートが求められます。常に最新の情報に基づいて取引先を評価し、必要に応じて与信枠や取引条件を見直すことで、思わぬ不良債権やトラブルを未然に防ぐことができます。ベトナムビジネスに精通した専門家のサポートを受けながら、確実な与信管理体制を構築することが長期的なビジネス成功の鍵と言えるでしょう。リスクを適切に管理しつつ、ベトナムとのビジネスチャンスを最大限に活かしていきましょう。
