ベトナム財務省(Ministry of Finance)は、公共投資プロジェクトの管理、支払、決算を規律する新たな政令案を取りまとめ、政府提出に向け意見募集を実施した。今回の政令案は現行の政令第99/2021/NĐ-CP(2021年11月11日)を置き換えるもので、構成は6章56条および27の様式を含む包括的な内容となっている。背景には、国家予算法の改正や入札法、土地法、投資法など一連の法改正(例:国家予算法89/2025/QH15(2025年6月25日)、投資公法58/2024/QH15(2024年11月29日)等)があり、これらの法制度変化と行政機構の再編、行政手続きの電子化推進に対応する必要がある。
政令案は主に三つの改革原則に基づく。第一に支払運用の電子化・簡素化であり、最終目標を「支払の100%オンライン化」と定め、会計検査や書類提出の簡素化を図る。第二に権限の徹底的な分権化であり、主管省や事業主体(プロジェクトオーナー)に対する管理責任を明確化して、決裁・支払プロセスの現場対応力を高める。第三に会計検査機能の合理化であり、支払機関が技術的・専門的な審査まで負担しないよう、法的書類の責任は事業主体が負う仕組みを導入することで、手続負荷の軽減と迅速な資金解放を目指す。
具体的な設計としては、事業計画から年次予算配分、前払・中間・最終支払の流れ、補償・用地代金の扱い、検収・決算報告の範囲を明確化すると同時に、書類提出のスリム化や電子化フォーマット(27様式)を規定する。これにより、国家財政の透明性を維持しつつ、公共投資の資金繰りを迅速化し、投資効果の早期実現を図る狙いである。
政令案は今後、関係府省や地方の意見を反映して最終化され、ベトナム政府の承認を経て公布・施行される見通しである。施行後は、国庫支払機能の再定義、事業主体の責任強化、電子支払基盤の運用拡大を通じて、公的投資の効率性と効果性を一段と高めることが期待される。一方で、電子決済インフラ整備、地方行政の運用能力向上、関連法との整合性確保が課題として残る。
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