2025年上半期、ベトナムの港湾業界は堅調な輸出入成長の追い風を受けながらも、企業間で業績の明暗が大きく分かれた。全体として輸出入額は前年同期比で2桁増を記録し、輸出は約2198億ドル(+14.4%)、輸入は+17.9%と高水準で推移した。しかし、同じ業界内でも企業によって業績に差が生じており、経営戦略・立地・貨物構成などの違いが鮮明に表れている。
好調な例としては、Cảng Nghệ Tĩnh(NAP)がある。NAPは第2四半期において売上66.4億ドン(+31%)、純利益10億ドン(+170%)を達成し、6カ月累計では売上+8.6%、純利益+38.5%と2年ぶりの高水準に回復した。貨物取扱量と金融収益の増加、費用削減が業績を押し上げた。
同様に、Cảng Đồng Nai(PDN)も第2四半期売上3920億ドン(+22%)、純利益1255億ドン(+47%)と好調で、6カ月累計では売上7460億ドン(+17%)、純利益2250億ドン(+32%)を記録。とくに鉄鋼・アルミニウムの取り扱い増、インフラ投資によるサービス向上が奏功した。
一方で、Cảng Đình Vũ(DVP)やCảng Quy Nhơn(QNP)といった港湾企業は業績悪化に直面している。DVPはQ2売上-22%、純利益-21%となり、6カ月累計でも売上-10%、利益-10%と低調。QNPも同様に、売上-16%、利益-10%となり、年間計画の実行率は4割に届かない。
このような業績の二極化は、貨物構成の違いに加え、港湾インフラの柔軟性・規模の差異が要因と考えられる。大規模なコンテナ貨物・深水港を有する企業は、高需要と大型船舶対応により恩恵を受けている。
マクロ的には、ベトナムの輸出先の中で、米国(+28.2%)、EU(+10%)、日本(+11.8%)が堅調に推移する一方、中国(+4.2%)は伸び悩んでいる。輸入面では、米国からの輸入が+22.3%と急増し、米越貿易不均衡是正の動きが見られる。これらの動きは港湾貨物量に間接的な影響を与えている。
証券各社の見解では、短期的にはコンテナ貨物需要の回復と供給網の再編により港湾業界は下支えされる一方で、米国の報復関税により受注が減少し成長鈍化も予想される。とくにフィーダー港においては競争が激化し、深水港に比べ成長余地が限られると見られる。
中長期的には、米国からの高関税政策が続けば、ベトナムからの輸出自体にブレーキがかかり、業界全体の成長性が抑制される可能性がある。ただし、FTA網の広がり、インフラ投資促進、FDI誘致の強化といったポジティブ要因が成長を下支えするとの期待もある。
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