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経済動向

2024年のベトナム経済を徹底分析~有望分野4選を紹介~

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はじめに

本レポートでは、2023年のベトナム経済の振り返りを行うとともに、2024年の動向予測をふまえ、有望4分野をご紹介する。

ベトナム経済:2023年の振り返り

ベトナムのGDP成長率

ベトナム政府は、2023年通年GDP成長率を6.5%とする目標を掲げていた。世界的な経済停滞や貿易市場縮小等により、上期の成長率は3.72%と低調であったが、下期は回復傾向と見られており、国際通貨基金は通年成長率を4.7%と予測している。通年成長率目標は未達の見通しではあるが、ASEAN諸国と比べると高い水準での成長を続けており、経済成長に伴う所得向上(中間層の拡大)を背景に、ベトナム国内市場向け投資が今後とも進展するものと考えられる。

ベトナムへのFDI

外国からの投資も増加している。1~11月期のFDOは、実行ベースで202億5000万ドル(2018年以来最高額)、契約ベースでは、288億5000万ドル(前年比14.8%増)となった。新規投資プロジェクトの数も2,865件と前年比58.1%増を記録しており、良好なインフラ、安定した人材、行政改革への取り組み、投資促進などの面でFDI誘致策が功奏したものと考えられる。ベトナムの将来的な成長見通に対する、投資家の好感・期待感を表している。

ベトナムの対外貿易

2023年 1~9月期輸出額は2,596 億ドル(前年比8.2%減)、輸入額は2,379億ドル(13.8%減)と、上期は低調であった。一方で、11月期の輸出入総額は608億8000万ドル(前年同期比5.9%増)、輸出額が前年同期比6.7%増、輸入額が1%増となり、年末に向けて回復傾向がみられている。

ベトナムのM&A市場

今年度のM&A市場は、全体的に冷え込みがみられた。KPMGベトナムによると、2023年1~10月期において、ベトナムのM&A市場における取引数は、前年同期比で23%減少した。しかし、ベトナム政府は2050年までのカーボンニュートラル達成目標に向けたGX政策や、高付加価値化を目指す農業分野(主に貯蔵や加工)等で、様々な政策を積極的に推進している。これらは引き続き有望な投資分野となりうると考えられる。

2024年の動向予測

2024年のベトナム経済については、ベトナム政府や様々な国際機関が高水準での成長を予測しており、楽観視する傾向が強い。

ベトナム政府の見解

ベトナム国会は、11月に「2024年社会・経済発展計画」を採択し、6.0~6.5%という高いGDP成長率を目標とした。2023年に冷え込みを見せたM&A市場に関しても、チャン・ズイ・ドン副大臣は、米国連邦準備制度(FRB)の利上げ停止により安定した金利環境が創出され、M&A市場の状況が改善するとの見解を述べている。

国際通貨基金の見解

国際通貨基金は、2024年のGDP成長率を5.8%増(2025年は6.9%増)と予測し、中長期的なGDP成長率の目標達成が可能であるとしている。

世界銀行の見解

世界銀行は、2024年のGDP成長率を5.5%増(2025年は6%増)と予測している。

2024年の有望分野4選

高水準で経済成長を続けていることベトナム経済の現況や、ベトナム政府が重点的に取り組んでいる政策を念頭に、2024年に大きな成長が見込まれる有望分野を4つ紹介する。

脱炭素分野

ベトナム政府は、2021年11月に開催されたCOP26において、2050年までのカーボンニュートラル達成目標を表明した。その実現のため、国を挙げてGX政策が推進されており、現在、洋上風力発電や水素活用等を通じた、脱炭素分野における投資が加速している。クリーンエネルギーを国内向けに適切な価格で提供し、輸出用の追加生産が可能となる仕組み・政策の早急な整備が課題となっており、世界有数のエネルギー会社が、ベトナムのエネルギー転換に大きな関心を寄せている。

消費財市場(FMCG)

高い水準での経済成長を続けているベトナムでは、中間層・富裕層が急速に拡大している。これらの層は比較的消費能力が高く、高品質な商品を志向する傾向がある。そのため、各産業において高付加価値商品の需要増が見込まれ、様々な消費財市場の急速な成長が期待されている。またマーケティング戦略においても、TikTokやFacebook等のSNSを活用した手法や、KOL(キーオピニオンリーダー)を起用する手法等、新たな方策が登場している。

TikTok Shop:TikTokアプリ内で提供されるECサービス

M&A市場

M&Aを通じて、外国企業は短期に現地市場に参入することができる。特にベトナム政府が重点的に取り組みを続けている分野(GX等)においては、引き続きM&A市場が活発化すると期待されている。

また、2024年は、為替相場が円高傾向へ転換するとの見方もあり、円高によって、従来よりも割安にM&Aを実施することができる。また、先述の通り、消費財市場の成長が予測されており、ベトナム国内の卸売業・小売業を買収することで、自社製品の現地流通チャネルを獲得することが可能となる。

コールドチェーン

ベトナムは、主要産業である農産物、特に水産物、肉、野菜の生産及び海外輸出が増加している。しかし、農業生産において、コールドチェーンが未発達なことで損失率が高いことが課題となっている。青果物の収穫および加工中の損失率は年平均で約32%、肉は 14%、魚は12%である。

また、所得水準の向上により、都市部を中心に中間層・富裕層が増加しており、安全な食品への志向が強まっており、レストランや食料品店にて牛肉、豚肉、魚介類などの冷蔵・冷凍保管ニーズが高まっている。

さらに、モダントレード・Eコマースが急速に拡大しており、成長伝統的な市場モデルからの置換が進んでいる。モダントレード・Eコマースは高品質の食品を志向するため、冷蔵保管が必要となる。このような背景から、ベトナムの冷蔵・冷凍市場の売上規模は、2019年~2024年に年間約12%のペースでの成長が予測されている。しかし、現時点でコールドチェーンは未発達であり、今後の成長余地が大きいと考えらえる。

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