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経済動向ベトナム経済

ベトナム人の10の食品消費傾向 

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1. はじめに 

生活水準の向上、多忙化になるライフスタイル、健康意識の高まりが、ベトナムの食品消費傾向に影響を与える主な要因である。この記事では、最近のベトナム人の10の食品消費傾向を紹介する。 

2. ベトナム人の10の食品消費傾向 

本章では、ベトナム人の10の食品消費傾向について解説する。 

有機食品 

新型コロナウィルス(Covid-19)感染症拡大以降、自分や家族の健康を守ろうという意識の高まりから、消費者は食品の品質や産地に関心を持つようになっており、有機食品は人気が高まっている。有機食品とは、有機農法、特に化学薬品、抗生物質、防腐剤、遺伝子組み換え原料を使用せずに栽培・加工された製品のことである。

有機食品は厳しく管理された栽培過程を経ており、高品質で健康的な選択肢とみなされるため、販売価格は従来の製品より20~30%高くなる。ベトナム農業農村開発省の品質・加工・市場開発局によると、2022年末までに国内消費市場において、有機食品の年間総消費額は約500 Bil VNDとなる。そのうち、ハノイとホーチミン市の2大都市での消費は国内の80%を占め、年当たり約400 Bil VNDに達する。ショッピングセンター、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、安全な食料品店舗(Safe food shop)等の棚には、野菜、果物、肉、卵、魚介類のような様々な種類の有機食品が並んでいる。 

海外市場では、ベトナムの有機農産物の輸出額は年当たり335 Mil USDに達し、世界180の市場に輸出されている。お茶、エビ、米、カシューナッツ、コショウ、シナモン、スターアニス、エッセンシャルオイル、スパイス等である。生産規模の面では、2021年にベトナムには17,174の有機農業生産業者、555の加工業者、60の輸出業者、40の輸入業者があった。ベトナムの有機食品市場は増加傾向にあるが、具体的な規制・指示がないこと、地域間の連携がないこと、生産-加工-消費という流れの中での連携がないこと、投資コストが高いため小規模で断片的な実施であること等、多くの困難に直面している。 

World Data Labによると、2024年の1年でベトナムの中間層人口は4 百万人増加し、2030年までには 23.2 百万人増加する。中間層人口が増加し、産地と安全が保証された高品質の食品への需要が高まる中、有機食品市場は今後の発展が期待される市場と考えられている。 

ドンナイ省の有機モデルに倣いグレープフルーツを生産する農家 
出所:ThanhNien新聞 

ベジタリアン 

ベジタリアンフードは世界中で人気が高まっており、ベトナムも例外ではない。 

多くの人々が、健康、倫理、環境を守る理由から、肉や動物性食品の代わりに植物性食品を使ったベジタリアンの食生活を始めている。それだけでなく、多くの消費者は、健康的で持続可能なライフスタイルの一部として、部分的または完全なベジタリアンとして生活することを選択している。 

ベジタリアンビュッフェモデルは人気が高まっている 
出所:VinWonders 

VnEconomy新聞によると、ベトナムでは人口の約10%ベジタリアンである(世界人口の約20%がベジタリアン)。ベジタリアン食を利用する傾向が強まっている消費者の3つのグループは、若者、都市部の人々、所得の高い人々である。ベジタリアンを対象とした経営モデルは、大衆食堂、高級レストラン、ベジタリアン・ビュッフェ・レストラン等、多様なモデルで人気が高まっている。ベジタリアン食品はスーパーや食品店等の小売チェーンでも販売されており、春巻き、きのこの茎の肉、きのこから作った魚や牛肉のボール、柔らかい豆腐、餃子等、家庭で調理し易く、美しく包装された様々なベジタリアン食品がある。 

ベジタリアン食品はスーパーマーケットでも販売されている 
出所:NinhBinh新聞 

国内外で最も人気のあるベジタリアン食品の一つが代替肉である。食品加工業界の多くの専門家によると、ベトナムの代替肉市場は非常に発展している。具体的には、2022年にベトナムは、並行輸入形式を除いた正規輸入形式を通じて180 Mil USD の代替肉の製品を輸入したが、国内では現在、この製品を生産している工場は3つしかなく、この市場が成長の余地があることを示している。予測によると、2023年の1年でベトナムの代替肉市場は少なくとも15%成長する。 

菓子 

菓子は、ベトナムで急速かつ着実に成長している食品産業のひとつである。 

ベトナムは、様々な果物や穀物等、国内で入手可能な原料を持つという利点があり、アジアでも有数の潜在的市場であると考えられている。ベトナム菓子協会とStatistaのデータによると、2023年の国内の菓子生産量は1.5 Milトンで、売上高は約1.53 Bil USDに達する。

国内市場では、ベトナムで消費される菓子の種類のうち、砂糖菓子が最も高い割合を占め、次いで保存されたペストリー・ケーキが続く。産地別では、国産菓子のシェアが高く、全国の菓子総売上高の90%以上を占めている。また、輸入菓子に対する優遇税制を背景に、各海外ブランドも徐々に存在感を高めている。さらに、菓子市場ではベトナム企業と外資系企業との間で活発なM&Aが行われている。代表的なM&Aには、Hai Ha社 – Kotobuki社, Kinh Do社 – Mondelēz International社, Bibica社 – Lotte社, Bibica社 – PAN社等がある。 

ベトナム市場の消費動向については、甘い菓子から甘くない菓子(無糖・低糖)へ移行する傾向がある。これは、より健康的な食生活に対する消費者の意識の変化を反映している。 

冷凍食品 

消費者が多忙化する現代生活の中で、冷凍野菜、冷凍肉、冷凍水産等の冷凍食品は、その利便性、加工のしやすさ、長期保存が可能なことから、徐々に人気を集めている。 

ベトナムの大手コールド・チェーン企業の1つABA Cooltransによると、ベトナムの冷凍食品市場の売上高は年率20%~40%で成長している。冷凍食品消費の増加は、時間節約の必要性によるものだけでなく、保存技術の進歩によるものでもある。  

特に、低温貯蔵システム、低温輸送、近代的流通システムの技術と規模の力強い発展が、冷凍食品の消費動向に好影響を与えている。 

冷凍食品 
出所:Bach hoa xanh 

加工食品 

ベトナムで加工食品の人気が高まっている。消費者、特に若者や多忙な家庭は、その便利さと種類の多さから、加工食品を好むようになっている。加工食品には、消費者の手に渡る前に前処理や加工が施された農林水産物が含まれる。代表的なものには、食肉加工品、水産加工品、野菜・果物加工品等がある。商工省によると、2023年には食品加工業が加工・製造業の産業量の19.1%を占め(加工・製造業の中で最も高い割合)、国内の食品消費需要だけでなく輸出活動においても加工食品群が重要であることを示している。ベトナムでは、加工製品は店舗やスーパーマーケットで広く販売されており、販売商品の大きな割合を占めている。 

この市場は、消費者が迅速で便利な食生活を益々求めるようになっていることから、今後暫くは力強い成長が続くと予想される。国内市場だけでなく、近年調印されたFTA(自由貿易協定)により、食品加工産業は主要な輸出志向産業の一つになると予想される。業界の発展とともに、各社は生産能力や製品の品質を向上させるため、近代的な設備や技術への大規模な投資にも力を入れている。 

Cau Treブランドの加工食品 
出所:Bach hoa xanh 

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