ベトナム産キャッサバの日本市場向け輸出が増加
ベトナム産キャッサバの日本向け輸出が急増している。キャッサバは熱帯及び亜熱帯地域で栽培される多年生植物である。キャッサバの根はデンプンを豊富に含んでおり、世界中で食用や飼料として広く利用されている。キャッサバから加工・精製されるデンプンも、多様な製品の原料としても用いられている。日本では、特にタピオカの原料として知られている。キャッサバの用途は多岐に渡り、国内外で需要がある。
ベトナムではキャッサバの生産が盛んに行われており、輸出量はタイに次いで世界第2位である。ベトナムはキャッサバの生産と輸出において、世界で重要な役割を果たしており、その動向は国際市場に大きな影響を与えている。2023年8月には、ベトナムはキャッサバ及びキャッサバ製品を約22万トン、約1.326億米ドルで輸出した。これは、前年同月比で、輸出量で7%、輸出額で6.6%の増加である。また、輸出平均価格は7月と比べて5.7%、前年同月比で0.4%の減少している。2023年1月からの8ヶ月間での累計輸出実績は、約186万トン、約7.5億万米ドルに達した。
2023年の1月から8月の間で、キャッサバの輸出量は全体として減少したが、特定の市場への輸出は増加している。特に、台湾やマレーシアさらに日本向けの輸出が顕著に成長している。この8カ月間における日本への輸出は輸出量が約2407トン、輸出額は約1240万米ドルに達し、前年同期比でそれぞれ333.7%、269.1%の増加となった。
食糧および穀物の国際的な備蓄強化の推進に伴い、キャッサバ及びキャッサバ製品の需要は今後も高まると予測される。一方で、ベトナムでのキャッサバ生産においては、キャッサバモザイク病といった病害や自然災害等の発生による損失が今後の懸念点として挙げられる。ベトナムが今後キャッサバ大国であり続けるためには、これらのリスクへの対抗策を確立し、より安定した供給体制を構築すべきである。その上で、政府が推進する農業におけるDXや、より付加価値の高い製品の製造に取り組むことで、更なる成長が期待できる。
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