2024年第1四半期のベトナムGDP成長率は6.1%の見通し

2023年ベトナムGDP成長率の振り返り

ベトナム統計総局によると、2023年のGDP成長率は、5.05％となり、政府目標の6.5％を下回った。また、2022年の8.02％からも鈍化しており、過去10年間の平均5.87％を下回った（IMFは2023年成長率を4.7％と推定）。2023年のベトナム経済は、世界的なインフレ傾向や中国経済の停滞、ベトナム北部での電力不足の影響を受け、コロナ以前と比較しても低い成長率に留まった。

一方で、2023年10-12月期のGDP成長率は前年比＋6.72％と堅調で、足元では回復の兆しも見られる。2024年のGDP成長率について、ベトナム政府は6.0～6.5％という高い目標を掲げている。また、国際通貨基金は5.8％増、世界銀行は5.5％増と予測している。ベトナムはASEAN諸国と比較して高い成長率を維持しており、経済成長に伴う所得向上を背景に、ベトナム国内市場向け投資が今後とも進展するものと考えられる。

2024年第1四半期のベトナムGDP成長率は6.1%の見通し

英国大手金融グループ・スタンダードチャータード銀行は、ベトナム経済に関する最新レポートの中で、2024年第1四半期（1～3月期）のベトナムGDP成長率を6.1%と予測した。前期（2023年第4半期）の6.7%との比較では、減速の見通しとなる。

一方で、2024年全体のGDP成長率に関しては、6.7%との以前の予測を据え置いた。前半期の成長率は6.2%となり、後半期には6.9%に加速すると考えている。スタンダード・チャータード銀行は、3月の旧正月（テト）明けに、小売業で回復の兆候を示しているとの見方を示したうえで、小売業の売上げは、前年同月比で9.2%増、輸出は5.2%増、輸入は5.0%増となる見通しとしている。

貿易黒字は、8億ドルに縮小する可能性がある。インフレ率は、2月の4.0%から、3月には4.2%に上昇すると予測している。特に、教育・サービス、住宅（建築材料）、食品価格の上昇が顕著である。

今後の展望

世界経済の動向が不透明であるため、第1四半期に関しては、慎重な見通しとなった。第1四半期の成長率は、前期比で鈍化する予測ではあるが、回復の勢いは維持していると考えられる。2024年度全体でのGDP成長率予測は据え置かれており、2023年度の5.05％と比較すると、ベトナム経済は高い水準での経済成長を続けると考えられる。