はじめに
ベトナムに行く日本人観光客が増加傾向にあって、ベトナムに関心をもつ人も多くなってきたと思います。その中で、「ベトナムの通貨ってなに?」「日本円にしたら、どのくらい旅費かかるの?」などの通貨に関する疑問が生まれると思います。
そんな方のために、今回は、ベトナムの通貨の歴史から、現地での使われ方等をご紹介していきます。
基本概要・成り立ち
ベトナムで流通している通貨の正式名称は、「ベトナムドン」です。通貨の記号は、「VND」や「₫」で表記されます。(例10,000₫、500,000VND)
ベトナムと円の為替レートの関係で、時折、「K」という表記がある場合があります。「K」は、「1,000」を表しており、「10K₫」の場合は、「10,000₫」という意味になります。
ベトナムドンの由来は、銅貨の「銅」をベトナム語で「ドン」と表現されていたことから来たといわれています。ドン紙幣を発行する以前は銅貨を通貨として多く採用していたため、この説が有力視されています。ベトナムの近代の通貨の変遷としては、「インドシナ・ドン」「南ベトナム・ドン」「解放・ドン」のプロセスを経て、今の「ベトナムドン」になったといわれています。
現金の種類(価格)
ベトナムで現在発行されている通貨は、1,000ドン、2,000ドン、5,000ドン、10,000ドン、20,000ドン、50,000ドン、100,000ドン、200,000ドン、500,000ドン、の9種類の紙幣のみになっています。
10,000VND以上のドン紙幣は、ポリマー素材という合成樹脂で製造されているため丈夫ですが、10,000VND未満のドン紙幣は、紙でできています。そのため、10,000VND未満のドン紙幣は、しばしばボロボロなものが渡されることが多いです。
ドン硬貨は、2003年を最後に発行されなくなりました。現在市場では、流通していません。見つけることが出来たら幸運ですね。
2003年を最後に発行されなくなったドン硬貨
出所:現地メディア Coins and Banknotes of Vietnam
描かれている人物
ベトナムの通貨「ベトナムドン」に肖像画として描かれている人物は、「ホー・チー・ミン(以下ホーチミン)」です。ホーチミンは、ベトナム南部の最大の都市「ホーチミン」の由来にもなっています。ホーチミンは、ベトナムの建国の父として時代を超えて知られています。
ホーチミンは、1940年代から独立運動を指揮した共産党指導者です。ベトナムは、第二次世界大戦前にはフランスが、第二次世界大戦中は日本が、第二次世界大戦後はまたフランスが占領し、フランス撤退後は、アメリカとソ連による代理戦争が行れました。1900年代は独立するまでに多くの障害がありました。その度重なる戦争を、国家主席として国民を率いて独立までの礎を築いたのが、ホーチミンです。
ホーチミンが、ベトナムでどれだけ偉大な人物であるかが、ベトナム紙幣の全てのドン紙幣に描かれているところに表れています。
現状
ここでは、実際に、ベトナムでベトナムドンがどのように使われているのかをお話します。
小額ドン紙幣はあまり使われていない
ベトナムは、日本に比べて物価が低く価格の桁数が多いため、価格設定も少額のおつりが出ないようになっています。もし、少額のおつりが出る場合は、その額だけ割引をしてくれたり、飴玉等で代替して支払われたりします。
キャッシュレス決済が普及している
ベトナムでは、近年になってキャッシュレス決済が急速に普及しています。2021年時点で、電子ウォレットおよび電子決済の利用者が、人口の85%を占めるほど拡大しています。ベトナム政府としてもDXプログラムを策定し、デジタル経済の推進に積極的です。
ベトナムのキャッシュレス決済アプリで主要なシェアを誇るのは、Viettel Pay、MoMo、AirPayなどです。ベトナムのキャッシュレス決済アプリは、保険の購入・支払い、公共料金、電話代、インターネット・電気・水道料金、学費、などの支払いも可能で、包括的なサービスを提供しています。
日本円とのレート
ベトナムドンの現在(2024/08/26)の円レートは、1JPY=168.15VNDです。2020年頃より以前は、1JPY=約200VPN以上くらいでしたが、近年は、円安・ドン高傾向のため1JPY=160~170VNDになっています。
さいごに
本レポートでは、ベトナムの通貨「ドン」について幅広くご紹介しました。
ベトナムは、日本に比べて紙幣の数も桁数も多いです。支払いの時は、間違いがないように気を付けましょう。ベトナム人の人々も、現金紙幣の多さに不便を感じているのかわかりませんが、ベトナムでは、キャッシュレス決済が広く普及していて、クレジット決済はもちろんQRコード決済(ベトナムに対応しているもののみ)が、多くの店で利用できます。
ベトナムは、近年、為替レートが不利になってきていますが、日本の物価よりも安く、学生でも旅行しやすい国になっています。両替の際は、国際為替レートにより近い条件でするようにしましょう。ベトナム現地の両替商で行った方が、一般的にはお得です。もし、ベトナムに旅行に行くときがありましたら、この記事の内容を思い出して金銭トラブルの無い、楽しい思い出にされてください。