ベトナムの対米貿易黒字と課題浮き彫りに
2024年、ベトナムの対米輸出額は約1366億ドルに達し、輸入額は131億ドルにとどまった。これによりベトナムの対米貿易黒字は1235億ドルと過去最大を記録した。こうした状況下、米国は貿易不均衡の是正手段として、ベトナムに対して関税強化を通じた圧力を強めている。
ベトナムの輸出産業は低コスト労働に支えられており、衣料品、靴、電子機器、木製家具、農水産品が主力である。しかし多くの業種はOEM依存で付加価値が低く、米国のような高関税政策やESG基準強化に対する耐性が脆弱である。一方、米国製品はベトナム国内市場で価格競争力を欠き、手続き面での障壁も存在するため、輸出入の双方向性は低いままである。
特に46%の対米関税は、電子機器・繊維・水産物・木製家具といった主力輸出業に打撃を与えている。受託生産体制の企業は、AppleやSamsungのような大手顧客の他国移転を招きかねない。こうした中、ドナルド・トランプ大統領が75カ国に対して関税措置を90日間猶予すると発表し、ベトナムも対象に含まれた。
この一時的な猶予期間において、ベトナム企業は市場多角化とともに、コスト競争から価値競争への戦略転換が求められる。特にOPEX(運営効率改善)を通じた構造改革が鍵であり、国家レベルでも支援体制の強化が急務である。実際、OPEX導入により生産性や納期遵守率、品質安定性が大きく改善するというデータもある。
ベトナム政府はOPEX支援や資金援助、地域コミュニティ形成などを通じて、SMEを中心に競争力底上げを図るべきである。この関税危機は、ベトナムが単なる低コスト生産国から、ブランドと信頼性を備えた価値創出国へ脱皮する好機である。
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