ベトナムにおける半導体産業は、急速なグローバルサプライチェーン再編を背景に歴史的な成長局面を迎えている。2024年には174件のFDI案件が成立し、登録投資額は116億USDに達した。2025年の電子製品輸出は1,690億USD規模が見込まれ、半導体分野は214.5億USDに到達する予測である。これは年率15〜20%の成長を意味し、ベトナムが国際的な製造拠点として地位を確立しつつあることを示している。
世界規模で電子・半導体市場はAI、電気自動車、データセンター、5Gの拡大に支えられ急成長している。その中でベトナムは「中国+1」戦略の主要候補地として存在感を高め、主要企業の工場移転や新規投資が相次いでいる。Samsung、Intel、Amkorなど世界的企業が拠点を拡大し、ベトナムは既に世界市場シェア7%を確保している。
この成長を支える基盤の一つがクリーンルーム技術である。クリーンルームは製造工程で微粒子や静電気を徹底的に管理するために不可欠であり、温度・湿度・圧力・騒音・振動なども厳格に制御する必要がある。ベトナム国内でもSamsungやAmkorの工場がClass 1000以上の高規格クリーンルームを導入しているが、多くの地場企業は技術導入に課題を抱えている。
専門家は、ベトナム企業が国際基準のクリーンルーム環境を整備すれば、製造歩留まりを30〜50%改善できると指摘している。また、国際的な協力を通じて技術移転や人材育成を進めることが不可欠である。VEIAの代表者も「クリーンルームは半導体参入の前提条件であり、ベトナム企業がサプライチェーン上流へ進出するための鍵になる」と述べている。
持続可能性(ESG)やデジタル化、AIの活用も新たな要件となりつつあり、研究開発や高度製造への投資は避けられない。ベトナムは単なる組立・テスト拠点にとどまらず、設計や先端製造へ進出し、付加価値を国内に取り込む方向へ舵を切っている。クリーンルーム分野での技術協力と投資拡大は、ベトナム半導体産業の持続的発展を支える戦略的要素であるといえる。
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