2025年9月2日、ベトナム全土の映画館で公開中の歴史戦争映画「Mưa đỏ(ムア・ドー)」が累計興行収入4260億VND(約24億円)を突破し、同国映画史上初めて革命戦争題材でこの規模に到達した作品となった。配給はĐiện ảnh Quân đội nhân dân(人民軍映画スタジオ)であり、監督は芸術家優秀称号を持つĐặng Thái Huyền(ダン・タイ・フエン)である。本作は1972年のクアンチ省古城での81日間戦闘を題材としたフィクションであり、商業上映された革命戦争映画としては「Đào, Phở và Piano(ダオ、フォーとピアノ)」(2024年)、「Địa đạo: Mặt trời trong bóng tối(ディア・ダオ:闇の中の太陽)」(2025年4月)に続く3作目である。
同作品は公開直後からベトナム国内の主要シネコンでチケット完売状態が続き、国慶節(9月2日)には1日当たり約500億VND(約2.8億円)の売上を記録するなど異例の動員を見せている。Box Office Vietnamの統計によれば、現時点で歴代興収ランキング5位に入り、「Mai(マイ)」(5510億VND=約32億円)、「Lật mặt 7: Một điều ước(ラットマット7:ひとつの願い)」(4830億VND=約27億円)、「Nhà bà Nữ(ニャー・バ・ヌー)」(4590億VND=約26億円)に次ぎ、従来トップ5に入っていた「Bố già(ボー・ザー)」(3950億VND=約22億円)を抜いた。
主要キャストにはĐỗ Nhật Hoàng(ドー・ニャット・ホアン)、Hạ Anh(ハ・アイン)、Nguyễn Phương Nam(グエン・フオン・ナム)、Steven Nguyễn(スティーブン・グエン)、Nguyễn Hùng(グエン・フン)、Nguyễn Đình Khánh(グエン・ディン・カイン)、Trần Gia Huy(チャン・ザ・フイ)、Lê Hoàng Long(レ・ホアン・ロン)ら若手俳優が名を連ね、SNS上では各キャラクターに関する議論や共感の声が多数投稿されている。ベトナム映画市場は近年、国産作品の商業的成功が相次いでおり、「Mưa đỏ」の快進撃は国家的記念日に合わせた上映戦略、戦争史を再解釈した脚本、そして若年層にも訴求するキャスティングが要因であるとみられる。
今後の課題は上映規模の維持と海外市場開拓であり、特にベトナム映画産業が国際市場での競争力を高めるための配給網整備や字幕・翻訳戦略が焦点となる。本作の成功は、ベトナムにおける映画産業の成長可能性と文化発信力を示す重要な事例である。
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