ベトナム商工省は2026年1月から全国でガソリンE10(エタノール10%混合燃料)への全面移行を実施する方針を明らかにした。これにより従来の石油系ガソリンに代わり、環境負荷の低いバイオ燃料が標準化される。しかし、小規模事業者を中心に短期間での転換に対する懸念が強まっている。
ベトナム商工省が提示したロードマップでは、2025年8月からPetrolimex、PVOIL、Saigon Petroなど大手企業が試験販売を行い、2026年1月から全国でE10の商業販売を義務化する。その後、2031年にはE15または別の配合率への移行も検討されている。こうした取り組みは、ベトナムのエネルギー安全保障とグリーン経済成長の推進に資すると評価される一方、導入のスピード感が課題となる。
小売事業者からは、1基あたり約5億VNDに及ぶ給油設備投資や消防基準対応、建設許可取得などの負担が大きく、4カ月での準備は非現実的との声が出ている。また、過去のE5導入が消費者に受け入れられず市場撤退した例もあり、E10移行における消費者意識の醸成が不可欠とされる。
ベトナム商工省は国際燃料会議で「E10への移行は持続可能なエネルギー未来への重要な一歩」と強調したが、ベトナム国内エタノール供給は需要の約40%にとどまっているのが現状である。今後は原料供給拡大、生産能力向上、輸入戦略に加え、企業への補助政策が急務であると指摘される。
ベトナムがE10への転換を成功させるには、ベトナム商工省を中心に、政府、企業、研究機関、消費者が一体となり、技術・市場両面の課題を解決する必要がある。石油依存からの脱却とグリーン燃料推進を両立できるかどうかが、今後の持続的発展を占う試金石となる。
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