関税政策激化がアジア経済に及ぼす構造的リスク
アメリカによる関税強化の影響は、欧米諸国にとどまらず、経済の開放度が高くグローバルなサプライチェーンに依存するアジア諸国にも深刻な打撃を与える可能性がある。特にマレーシア、フィリピン、韓国などは、輸出依存度が高く、アメリカ市場向けの供給網に深く組み込まれている。これにより、アメリカが関税を引き上げると、アジアの製造業は連鎖的な影響を受けると見られる。
Fitchのチーフエコノミストであるブライアン・コールトン氏は、アジア諸国には内需という「バッファー」が乏しく、グローバル貿易が混乱すれば甚大な影響を受けると述べた。一方で、ブラジルのように自国内市場が大きく、輸出が一次産品中心である国は、影響を比較的抑えられるという。
また、同氏はトランプ政権下での関税政策が少なくとも任期終了までは継続すると予測しており、中国には最大35%までの追加関税が課される可能性があると指摘した。EU諸国や他の貿易相手国に対しては約15%の関税が想定されており、カナダやメキシコについては自動車産業での関係性から緩和される可能性があるという。
さらに、世界銀行の試算によれば、アメリカが全輸入品に対し10%の関税を課せば、世界経済の成長率は0.2ポイント減少する。もし貿易相手国が報復措置を取れば、その影響は0.3ポイントに達する見込みである。これらの要因は、アジアを中心とした新興経済国にとって極めて大きなリスクとなっている。
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