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ベトナムへの投資事情を完全網羅~外国直接投資(FDI)とは?~

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ベトナムにおける外国直接投資の概要 

 本レポートでは、ベトナムへの外国直接投資について、様々な角度から網羅的に解説する。ただ外国直接投資と聞いてもピンと来ない方、あるいは言葉は知っているけど上手く説明できないといった方も多いだろう。そこで今回は、外国直接投資という言葉の定義を確認したうえで、本題であるベトナムにおける外国直接投資について紹介する。 

 そもそも外国直接投資とは何か? 

 外国直接投資はFDIと訳される。これは ”Foreign Direct Investment” の略で、”外国直接投資” を意味する。” 外国直接投資” とは、国外で事業を行うために設備投資をしたり、企業を買収することを指す。また外国直接投資は、しばしば海外直接投資とも呼ばれている。 

 外国直接投資の種類 

  外国外国直接投資は大きく2種類に区別される。グリーンフィールド投資と、クロスボーダーM&Aである。グリーンフィールド投資は現地法人や子会社などを設立し、現地の工場や販売経路をゼロから形成する形態だ。クロスボーダーM&Aは、現地企業を買収することと、現地企業との合弁を意味する。国内だけで完結するM&Aとは区別されている。M&A自体は、合弁と買収(Mergers and Acquisitions)という意味である。 

外国間接投資 

 外国直接投資は外国直接投資だが、反対に外国間接投資も存在する。こちらは債券や株式などに投資し、金融利潤だけを追求する投資である。英語ではFII(Foreign Indirect Investment)という。 

ベトナム外国直接投資の現状・動向 

 この章では、ベトナム全体における外国直接投資の状況を網羅的に紹介する。まずは投資額と件数の推移、次に国と地域別の対ベトナム投資の動向、産業別の主要投資セクター、ベトナム国内の地域別外国直接投資の概況、最後にベトナムにおける外国直接投資の役割といった順番である。 

投資額と投資件数の推移 

 ベトナムへの外国直接投資は、ベトナムが2007年に世界貿易機構(WTO)に加盟して以来、大きく増加している。特にベトナムが 自由貿易協定(FTA)に加盟した後, ベトナムの経済も活況を呈している。 従来的な社会主義に基づく環境から開かれて自由な投資環境への変遷、国際的経済枠組みへの参加、国内体制の改革を経て、ベトナムは外国人投資家にとって魅力的な投資策となった。 ベトナムへの外国直接投資の流入は大幅に増加している。 

 新規で認可された投資案件の件数、認可額にも増加が見られる。具体的には、新規認可の案件については、2019年には全国で3,883件の投資登録証明書が付与されており、前年比で27.5%増加している。2019年の新規認可額は167.5億米ドルであり、 2018年と比較して90.5%に相当する。投資案件の1件あたり認可額の平均(総投資額/件)は、2018年の5.9百万米ドルから2019年の4.3百万米ドルに減少した。拡張認可額に関しては、2019年には拡張で1,381件の案件が申請されており、この件数は前年比で18.1%増加している。一方2019年の拡張認可額の合計5.82億米ドルとなっており、これは前年比と比較すると76.4%にとどまっている。ベトナム外国投資庁によると、近年、資本拠出や株式購入という形での投資が大幅に増加している傾向にり、これらが全体に占める割合はますます大きくなっている。 資本拠出と株式購入に関て、2019年には9,842件の案件があり、15.47億米ドルとなっている。この数字は新規認可額合計の40.7%を占めた。 

国・地域別の対ベトナム直接投資の動向 

 2019年には、120を超える国と地域の外国企業がベトナムに投資した。その中で、国・地域別に見ると、韓国は7.92億米ドルの投資額(認可額ベース)で第1位となり、総投資額の20.8%を占めている。 香港は7.87億米ドルの総投資額で2位となっている。(そのうち3.85億米ドルは、ハノイ市のVietnam Beverage 社の株式取得である。 この金額は香港の総投資額の48.9%を占めている)。3位の中国においては、認可投資額は45億米ドルで、総投資額の11.8%を占めている。 4位以下には、日本、シンガポール、台湾が続く。 

 2019年までの累積投資額を見ると、韓国と日本はベトナムに最も投資を行う国となっている。韓国は、これまでベトナム市場に649億米ドルを投資している最大の投資国であり、続く、日本の投資額は58.2億米ドルに及んでいる。 さらに、ベトナムでの投資機会を模索する韓国と日本のビジネス代表団の往来の数は、2018年から2019年にかけて約30%も増加している。日本、韓国のほか、ベトナムに投資を行う主要国としては中国、香港、シンガポールなどが挙げられる。一方、マレーシア、タイ、台湾等もベトナムに積極的に投資を行っている。 日本、韓国、シンガポール、中国、タイ、インドなどの企業は、 計画投資省による投資政策に関して多くの対話や協議に定期的に参加している。こうしたことから、とりわけアジアの投資家がベトナムの投資環境に高い関心を寄せていることが伺える。 

主要な投資セクター(産業別) 

 対ベトナム直接投資を投資セクター別に見ると製造業、不動産業、電気・ガス・ライフラインといったセクターに投資が集中している。2019年、セクター別に19分野を見てみると、そのうちの殆どは製造業に集中しており、認可投資額は24.56億米ドルに及んでいる。また、2019年末までの累計額を見ると、214.1億米ドルに達しており、累計認可投資額の59.04%を占めている。次に不動産業の累計認可額は58.43億米ドルで、16.11%を占めて2位に位置する。3位以下には、電気・ガス・ライフライン、宿泊・飲食業が続く。 

 セクター別に投資案件の規模を分析すると、セクター間の大きな違いが分かる。案件当たりの平均投資額が最も大きいのは「電気・ガス・ライフライン」で、平均の投資額は179.1百万米ドル/件となっている。次点で 2番目に大きいセクターが不動産で、67.32百万米ドル/件である。続いて、鉱業が45.35百万米ドル/件となっている。 

 一方、製造業は約14.9百万米ドル/件であり、全セクターの平均投資額(11.76百万米ドル/件)よりもわずかに高くなっている。 

 農業は多くの投資家が関心を寄せているが、総投資額はわずか706万米ドル/件にすぎず、教育については834万米ドル/件である。 

 一方で、多くの分野で投資額が小規模であることは、対ベトナム外国直接投資における課題の1つであり、これは逆に言えば、製造業、農林水産などの他の分野で更なる投資開発の余地があるとも考えられる。対ベトナム外国直接投資は主に縫製品や履物製造等の輸出を目的とした労働集約型の産業が大部分を占めている。ベトナムは安価で豊富な労働力が活用できる製造拠点であるが、原材料は主に海外から輸入されているため、付加価値は低いということが課題の1つである。インフラ開発と農業の発展はベトナムの発展にとって優先事項であり、大きな需要と成長性を秘めているが、これらの分野で外国直接投資を十分に呼び込んでいる成果はまだ見られない。 

ベトナム国内の地域別外国直接投資動向 

  この章では、ベトナム国内を北部、中部、南部と3つに区分し、それぞれの動向を紹介する。ベトナムの北部には首都であるハノイ市があり、南部にはベトナム最大の都市であるホーチミン市がある。ベトナムの国土は日本のように縦に長い形をしているので、北部と南部を行き交う人や物は中部を経由する傾向がある。 

北部 

 ハノイ市はアジアで最も急速に成長している都市の1つであり、ベトナムの国内総生産(GDP)の5分の1を占めている。 800万人の人口を抱えるハノイ市は、2019年までに累計額で341億米ドルの外国直接投資があり、ベトナム北部の各省の中でトップとなっている。 この都市での外国直接投資の流入は、不動産開発、製造業、情報・通信の分野が中心的である。ハノイ市は常にベトナムにおける外国投資の誘致先としてトップランクにある。2018年から2019年の2年間で、ハノイ市は75億米ドル(2018年)と8.45億米ドル(2019年)の新規認可額となり、外国直接投資の誘致においてベトナムを牽引し続けている。 しかしCOVID-19の流行により、2020年、ハノイ市は約50億米ドルの新規認可額にとどまるものと予想されている。一方で、ハノイ市はこれまで外国投資の誘致のために投資環境の改善に努めてきた。ベトナム商工会議所(VCCI)の評価によれば、ハノイ市の2019年における省別の競争力指数(PCI)は68.8ポイント(2018年と比較して3.4ポイント上昇)に達し、 63の省と都市のうち、9位となっており(2018年と比較して変更なし)、2015年時点では26位、2012年時点では51位であったことから、ハノイ市の外国投資誘致の取り組みは奏を功しているといえる。ハノイ市は全国PCIランキングのトップ10の省と都市に入るのも今年で2年目である。2012年から2019年までの7年間、ハノイ市のPCIインデックスは維持され、増加した。 2019年、ハノイ市は「2020年以降もトップ10を維持する」という目標を設定した。 

 近年、ハノイ市は数百万米ドル規模のプロジェクトの投資先となっている。ハノイ市は2021年から2025年にかけて、スマートシティ開発に注力しており、ITテクノロジーの適用や活用を進めていくとしている。ハノイ市人民委員会は Qualcomm、サムスン、日本の住友商事などの企業と協力し、スマートシティ開発を進めている。さらに、2020年初頭、ハノイ市は外国直接投資の流入を促進するために、世界銀行との協力を拡大した。 最近、世界銀行グループのメンバーであるIFCは、ハノイ市人民委員会との基本合意書(MoU)に署名した。この協力は、金融商品と技術的アドバイスを通じて資金を多様化し、ハノイ市が高い経済成長率を維持し、競争力を高め、持続可能な開発を目的としている。 

中部 

 ハティン省は、2019年時点、ベトナムの省の中で9番目に大きい累計投資額の省であり、これまでに117億米ドルに相当する77の投資案件が行われている。ハティン省はまた、Formosa Groupの鉄鋼製造関連とSon Duong Formosa港湾建設プロジェクやVingroupグループのプロジェクトやベトナム石油ガスグループ(PVN)のVung Ang I火力発電所プロジェクトやVung Ang石油プロジェクトなどの社会経済的発展に大きく貢献する多くのプロジェクトが実施されている。ハティン省は、経済労働保健省(ドイツ)と、医療や経済で協力するための議定書に署名した。また、ポチョン省(韓国)とも経済協力の基本合意書に署名している。ハティン省は、外国人投資家にとって魅力的な投資先として着実に成長していると考えられる。こうした成果を実現するため、ハティン省は重要となる輸送インフラ整備を継続的に開発してきた。ハティン省には2つの大規模工業団地であるVung Ang工業団地とCau Treo工業団地に加え、Ha Vang工業団地、Gia Lach工業団地といった工業団地も開発がすすめられた。 将来的には、ハティン省は2020年に少なくとも30億米ドルの投資を誘致するため、交通インフラの整備を進めるとしている。 

 ダナン市はベトナムの中部地方で最も外国直接投資が進んでいる省の1つである。2019年までに、ダナン市は774のプロジェクトで55億米ドル相当の投資を呼び込んできた。実際、ダナン市は常に外国投資家の関心を集めており、市内の投資プロジェクトは非常に活発に進んでいる。その中で、UACグループ(米国)が総投資額1億7000万米ドルとなるSunshine航空宇宙部品工場などの大規模プロジェクトのフェーズ1が完了した。Long Hau JSC が投資したダナン Hi-Tech Park(CNC)の賃貸工場も、フェーズ1を完了し、2人の日本の投資家に実施のために引き渡された。現在、このプロジェクトは拡張段階にあり、2021年4月に完了する予定である。 

 ダナン市は、ベトナムで最も投資環境が良好な省の1つと言える。ダナン市は地理的に国の中部に位置し、ベトナム中部の経済の中心地になっている。 インフラ整備も重点的に進められている。同時に、近年、ダナン市は優秀な人材が集まる都市としても注目されている。今後もダナン市への外国直接投資は拡大していくと考えられる。多国籍企業のサプライチェーンの多様化とベトナムによる新世代自由貿易協定(FTA)への前向きな姿勢に加えて、ダナンの魅力的な優遇政策と投資環境はさらに強化されていくだろう。さらに、今後、Samsung、LG、およびMicrosoftが投資を計画しており、エレクトロニクス業界でサプライチェーンを形成する上で大きな一歩となることが期待される。将来的にサプライチェーンが確立されれば、更に投資誘致が進んでいくことも期待される。 特に、ダナンハイテクパークは最も環境が整備された投資先と考えられており、近い将来、より多くの外国直接投資を獲得することが期待されている。 

南部 

 近年、南部の主要経済地域の製造部門への外国直接投資(外国直接投資)が成長している。 

 南部では、ホーチミン市が長年にわたり外国直接投資(外国直接投資)を最も誘致している地域であり、2019年までに9,173のプロジェクト、投資額約473億米ドルに相当し、ベトナム外国直接投資の総流入額の約13%を占めている。 ホーチミン市では、外国直接投資を誘致する主要な産業として貿易、不動産、科学技術、製造業が含まれる。企業や投資家にとって、ホーチミン市は最も投資環境が優れた地域の1つである。 

 2019年、ホーチミン市のGDP成長率は8.32%に達した。現在、ホーチミン市は、市内の指導者と外国直接投資企業との間で定期的に会議を開催することにより、市内の3つの主要な地域への投資を呼びかけている。これらのセクターには、スマートシティ開発、金融センターの開発が含まれている 

 2019年末までの累積データによると、Binh Duong省の投資プロジェクトの数は3,772プロジェクトに達し、総投資額は344億米ドルに達する。これはベトナムの省で第2位の実績である。加工・製造業、貿易サービス、ハイテク産業など、省が投資を誘致するために優先している分野は、外国人投資家の注目を集めている。さらに、Binh Duong 省は、これまでに多くの大規模プロジェクトのライセンスを取得している。その中で、ロジスティクスサービスの分野で2つの工業用不動産プロジェクトがあり、Warburg Pincus Financial Group(USA)とBecamex IDC CorporationがBau Bang Industrial ParkとMy Phuoc 3という2つの工業団地に投資した。この2つのプロジェクトは 総認可投資額135.2百万米ドルである。さらに、Binh Duong 省は投資額4,000万米ドルのプロジェクトにも投資している。これは、VSIP II-A工業団地でのGunze 

 Plastics&Engineering Vietnam Co.、Ltd(日本)のプラスチックフィルム製品の製造に特化したプロジェクトである 

 他には、ドンナイ省も外国人投資家から多くの支持を得ている。2019年末までに31.23億米ドルにのぼる。ドンナイ省によると、外国直接投資プロジェクトはこの地域全体に広がっており、外国直接投資の恩恵を受けていない地域はないという。 外国直接投資プロジェクトのドンナイ省への投資は、経済発展を促進するのに役立っている。省内の外国直接投資プロジェクトの投資業界は非常に多様であり、規模と技術レベルもまた多様である。省の投資の大部分は加工および製造業界が占めている。 外国直接投資プロジェクトは、Bien Hoa、Long Thanh、Nhon Trach、Trang Bom地区などの多くの工業団地がある地域が多くなっている。世界の多くの大規模な多国籍企業がドンナイ省を拠点とし、Hyosung,Bosch, Amata, Fujitsu, Changshin, CP, Kenda, Maggitt などが工場を設立した。とりわけ注目すべきプロジェクトとしては、Nhon Trach VI 工業団地にてKCC Vietnam Ltd(. シンガポール)のプロジェクト(投資額:60百万米ドル)や、Nhon TrachVI工業団地にてSaitex Fabrics Vietnam(China)Company Limitedのプロジェクト(投資額:57百万米ドル)が挙げられる。 

 ドンナイ省の魅力について、日本総領事館の川上淳内氏は次のようにコメントしている。「ドンナイ省の魅力は、利便性が高い輸送インフラ、工業地帯である。 そのため、土地や工場を借りたい企業は見つけやすく、過去4年間で多くの日本企業がドンナイ省に投資をしてきた。」 

ベトナムの経済・社会における外国直接投資の役割 

 過去30年間の外国直接投資企業の存在は、ベトナム経済の成長に貢献してきた。具体的には次のとおりである。 

 公的資金から民間資金へのシフト: 近年の投資資本の構造は、民間投資の割合を増やし、国営部門からの投資の割合を減らす方向にシフトし続けている。 国営部門は投資の割合は2014年の39.9%から2018年には33.3%に減少した。しかし、総設備投資に占める外国直接投資部門の割合は緩やかな水準で安定していた。 2015年から2018年の全期間で平均23.5%であり、ベトナムの社会経済開発への投資の重要な役割を確認している。 

 GDP成長と国家収入(国家予算)への貢献: 外国直接投資資本は、ベトナムの経済成長を促進する上で重要な役割を果たしている。 国のGDPに占める外国直接投資セクターのシェアは、1995年の9.3%から2008年には16.9%、2017年には19.6%に増加した。 総合統計局の報告によると、外国直接投資セクターからの政府歳入の割合も大幅に増加し、1994年から2000年の期間の18億ドルから2011年から2015年の期間の237億ドルになった。これは省の総予算収入のほぼ14%に達する。 2017年だけでも、外国直接投資セクターは省の予算に80億米ドル以上を貢献し、省の総予算収入の17.1%を占めている。 

 外国直接投資企業による商品の輸出シェア拡大: 長年にわたるベトナムの目覚ましい輸出実績は、外国直接投資企業の力によるところが大きい。このセクターの輸出への貢献の割合は、2003年以前の総売上高の50%未満から60%および2012年に急激に増加し、2015年以降も70%を超える水準を維持している。 

 技術波及効果:外国直接投資資本は技術波及効果を生み出し、技術の向上と経営管理の質の強化に貢献している。 これはまた、国内企業に競争圧力と技術革新をもたらす。 実証研究の結果では、外国直接投資企業の存在がイノベーションの促進にプラスの波及効果をもたらし、技術移転が国内企業の生産性の向上に役立ったことを示している。 

ベトナムにおけるM&Aの現状と動向 

 前章までの部分では、外国直接投資を特に区別せずに紹介した。本章では、M&Aに絞って紹介する。 

取引規模別の主要な案件 

 2019年までのベトナムでの主要なM&A案件の中でも、ThaiBevによるSabecoの買収は最も規模が大きく、広く知られているM&A案件である。買収以前、Sabecoはベトナムのビール業界の41%の市場シェアを持っていることが知られていた。Sabecoはベトナムを代表するビール会社であるだけでなく、ASEANを代表するビールブランドとしても知られている。しかし、前例のない高い金額で株式が売却された後、ThaiBevは正式にSabecoの株式を取得した。2017年末、ThaiBevは子会社のベトナムビバレッジを通じてSabecoの株式3億4,360万株を、株主である人民委員会から1株あたり32万ドンで取得した。したがって、ThaiBevは最大48億米ドルの金額でSabecoを買収したことになる。 

 これは、過去10年間に行われたなかでは最大規模のM&A取引となっており、ハイネケンが2012年にABP (Tiger Beerブランドでベトナムで広く知られる)を買収したときの400万ドルの取引を上回り、アジアのビール業界では史上最大である。さらに、この取引は、2017年のベトナムのM&A総額のほぼ50%を占めている。 

 次に規模が大きい案件として、BIDVとKEB Hana Bankの間のM&A取引があげられる。これは、現地報道によると、2019年までの銀行業界の歴史の中で最も有名な取引とされている。2019年11月11日、韓国のKEB Hana Bankは、BIDVの株式の15%を取得し、保有期間は5年以上とする、という戦略的投資取引を初めて完了した。具体的に述べると、BIDVはKEB Hana Bankに6億330万株以上を非公開で発行し、総取引額は約203,000億ドンであった。KEB Hana Bankに株式を発行した後、BIDVの資本金は34兆1,870億ドンから40兆2,200億ドンに増加した。これにより、BIDVの資本金はベトナムの銀行で最高額となった。これは、ベトナムの銀行業界の歴史の中で最大のM&A取引である。その中で、KEB Hana Bankは 5年以上の保有期間でBIDVの株式の15%を所有するために投資した。同時に、BIDVはHana Finance GroupとKEB Hana Bankから、銀行の管理と開発システムに関連する多くの分野での長期的な技術支援プログラムを受けた。 

 2019年5月、不動産業界もVingroupとSK Group(韓国)の間で総額7億4200万米ドルという大規模な取引を行った。 2019年半ば、Vingroupは韓国のSK Groupに1億5400万株を発行した。同時に、Vingroupの子会社であるVincommerceも5,140万の自社株をSK Groupに譲渡した。SK Groupは、10億米ドル近くを投資して、Vingroupの株式の6%を保有する最大の外国人株主となった。これは2019年最大のインバウンドM&Aトランザクションと見なされ、同年のベトナムでのM&A取引の総額の10%以上を占めている。これより前、2018年9月、SK Groupは4億7000万ドルを費やして、国内消費財部門のリーディングカンパニーであるMasan Groupの9.5%の株式を取得した。したがって、SK Groupは、ベトナムの2つの主要な民間企業に15億米ドル近くを投資していることになる。 

 一方、そのほかのベトナムでのM&A取引のほとんどは中小規模である(下図表参照)。タイ、日本、韓国の投資家が製紙から食品分野まで、約13百万米ドルから90.2百万米ドルを投資している。 

主要国との経済関係 

 外国投資庁の調査によると、韓国、日本、米国、タイは、ベトナムにおけるトップの投資家となっている。 これら4か国は、ベトナムの強固な基盤を形成し、今後のベトナムへの外国直接投資(外国直接投資)の促進に重要な貢献をすることとなる。 

 外国投資庁だけでなく、専門家も、韓国-日本-アメリカ-タイからの外国直接投資が近い将来ベトナムに非常に多く流入し続けるだろう、との意見を持っている。 その理由は、各国が以前から注目していたベトナムの有利点だけではなく、ベトナム-韓国自由貿易協定(FTA)と太平洋横断パートナーシップ協定(TPP)の承認後、ベトナムには大きな機会が開かれたということにもある。 ベトナムが他の多くのFTAに参加しているという事実、およびASEAN経済共同体(AEC)に参加しているという事実も、ベトナムがこれらの国からの投資を引き付けるための推進力となることが期待される。 

韓国 

 ベトナムのトップパートナーは依然として韓国である。 2019年、韓国の投資家は7.92億米ドル以上をベトナムに投資し、これまでの外国直接投資の合計は649億米ドルを超えた。したがって韓国は、2019年単独でもこれまでの累積においても、ベトナムへの投資家として確固たる地位を築いている。企画投資大臣のBui Quang Vinh 氏は、韓国からの外国直接投資を、量だけでなく質の面でも常に高く評価してきた。 

 外国投資庁によると、Samsung, LG, GS, POSCO, Hyundai, KEPCO,SK… などのFORTUNE 500リストに掲載されている韓国の主要企業のほぼすべてが、ベトナムでの投資プロジェクトや事業活動を行っており、彼らのベトナム経済への貢献は大いに評価されている。外国投資庁はまた、「韓国政府は、ベトナムを将来の戦略的投資先として考え、韓国企業にベトナムへの投資を常に奨励している」と述べた。 

 FTAによってもたらされた機会と、韓国の投資家が中国と日本から投資資本を撤回する傾向のおかげで、韓国からベトナムへの外国直接投資資本は今後大幅に増加する、という予測もいくつかある。外国投資庁によると、電子製品製造業、小売業、流通業、不動産業、エネルギー業及び繊維業は、Samsung, LG, Lotte, Shinsegae, E-Mart, Shinha, Wooriのような韓国企業に注目されている 

アメリカ 

 アメリカの投資家は常にベトナムから大きな期待を受けてきた。 米国がベトナムで最大の投資国になるということは長い間考えられてきたが、米国からの投資額は前向きな兆候を示しているとは言えない。 外国投資庁によると、米国からベトナムへの外国直接投資が増加しない理由は、ベトナムにおける不透明性と賄賂に起因している。 ある調査によると、米国企業の最大69%が、賄賂はベトナムの最大の問題の1つであると回答した。しかし、ベトナムでの米国の外国直接投資は今後急速に増加する可能性があると多くの専門家が述べているため、将来の兆しは明るい。その理由は、ヨーロッパ、韓国、または日本の企業が海外に投資する際と同様に、アメリカ多国籍企業の現在の最大目標が、市場を探すことであるという状況において、ベトナムは、魅力的な市場になるための要素が満たされている場所だからだ。また、ベトナムの魅力は人件費の低さにもある。 現在、中国での人件費の高騰と米中貿易戦争により、多くのアメリカ多国籍企業が、ベトナムを含むより安い労働市場に注意を向けるようになっている。 

 2017年11月12日の午後、ドナルドトランプ米大統領は、ノイバイ空港でベトナムに別れを告げ、ダナンでのAPECへの3日間の参加と、ハノイ市での公式訪問を終了した。実際、ますます多くのアメリカ企業がベトナムへの投資機会を探している。例えばマイクロソフトは、2014年後半から、スマートフォン工場を中国からベトナムに移転し、ベトナムをグループのグローバルサプライチェーンの重要なポイントに変えた。 

 2020年10月28日にハノイ市で開かれたインドパシフィックビジネスフォーラム(IPBF)の枠組みの中で、ベトナムと米国は多くの協力協定に署名した。 具体的には、米国-ベトナム間で7つの協定ないし協力覚書が、エネルギー送電・豚肉の輸入・食品加工などの多くの分野で、最大数十億ドル規模で署名されている。例えばエネルギー部門では、Delta Offshore Energy、Bechtel Corporation、General Electric & McDermottの3社の間で、Bac Lieu省における、LNGを用いたガス発電プロジェクトを開発するための包括的な協力協定が結ばれた。 このプロジェクトの総投資額は25年間で最大50 Bil USDで、年間300万トンの液化ガスの輸入が見込まれている。 これは、民間部門が所有および運営する最初のLNG発電プロジェクトであり、100%外国直接投資の形で、ベトナムの電力開発マスタープランにて承認されている。また、米国貿易開発庁(USTDA)とベトナム電力送電公社(EVNNPT)の間では935,060ドルの助成金の合意が結ばれた。これは、EVNNPTの情報技術2.0の技術支援ロードマップに基づくプロジェクトである。 これは、ベトナムの送電システムを近代化するためにテクノロジー部門における米国の投資を促進するのに役立つ前提と考えられている。 

 次に、Long Anガス火力発電プロジェクトを開発するため、General ElectricとVina Capitalの間で覚書が交わされた。 この合意の下で、Vina CapitalとLong An省政府は協力して3,000MWの容量を持つLong An液化ガスからのガス燃焼電力プロジェクトを開発する。 このプロジェクトは、ベトナム南部で最大の電力プロジェクトの1つとなり、地域の電力不足と環境への影響の懸念に対処するのに貢献している。 

 4つ目の合意は、AESグループとVietnam Gas Corporation(PV Gas)との間の合弁であり、その内容は、約14億米ドルの価値を持つLNG Son My Warehouse Projectの開発である。 具体的には、Binh Thuan省に総容量450TBtuのLNG Son My港湾倉庫を建設することにより、ガス発電所へのガス供給に役立つというものである。 したがって、2.2GWの容量を持つ発電所と港湾倉庫は、ベトナムのエネルギーの未来を形作る上で主要な役割を果たす。外国投資庁の予測によると、ベトナムは、香港に拠点を置く米国企業にとって、中国国外への投資の移転する場合の優先的な選択肢となる可能性が高いとされている。 

日本 

 日本からベトナムへの外国直接投資が減速していることは否定できない。2019年、日本からの投資は4.13億米ドルを超える程度にとどまり、これまでの累計は約593億米ドルになった。 これは他の多くの国を上回ったものの、最大の投資国である韓国(677億米ドル)からは遠く離されていた。さらに、2013年以降、日本のベトナムへの投資のほとんどが中小企業によるものであり、大規模なプロジェクトは殆どない。外国投資庁は、このことが日本からベトナムへの新規外国直接投資の合計が短期的に減少する要因となるが、しかし長期的には日本からベトナムへの投資は増加傾向を続けるであろうと予想している。日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、日本からベトナムへの外国直接投資が減速している理由のひとつは日本の経済情勢にある。現在、日本政府は、日本企業の成長を促進し、日本の雇用を創出するために、日本企業に日本国内への投資と事業拡大をするよう呼びかけている。 また、金融政策の緩和や円安により、海外投資費用も高額になっている。 したがって、日本の投資家は、為替レートが改善するまで海外投資を控えるという考えを持っている。 

 一方で、ベトナムの一貫性のない政策、官僚的な手続き、高い税額、インフラ設備の未熟さなどのベトナムの投資環境からも阻害要因が現れている。これらが理由で2012年から現在に至るまで、ベトナム経済がこれまでのような良好な成長率に戻っていないという事実も、多くの日本企業に投資拡大を躊躇させている。ただし、これらは一時的な問題にすぎない。 外国投資庁はこの状況についてコメントし、「日本からの外国直接投資の誘致については、日本・ベトナム双方に、外国直接投資増加につながる多くの明るい要因がある」と述べた。 日本には現在470万の中小企業があり、日本の企業総数の99.7%を占め、かつ最新の技術を備えており、海外に投資する傾向がある。 一方、ベトナムは支援産業を発展させ、これらの企業からの投資を引き付ける必要がある。したがって、ベトナムは今後も日本企業にとって潜在的な投資環境である。 

 さらに、ベトナムと日本は2015年、6つの主要な協力分野で2020年までの産業化-近代化戦略に署名した。2020年以降も最長で、2030年までの協力ビジョンを掲げている。 この新しいポリシーは、今後、日本からベトナムへの外国直接投資の流入を「確実にサポート」することが期待されている。(日本からベトナムへの投資状況の詳細は、本書のパートIIIで詳しく説明する) 

タイ 

 ベトナムとタイの間の経済、貿易、投資での協力関係は、二国間関係で注目すべき動きがある。 タイは現在、ASEANにおけるベトナム最大の貿易相手国であり、ベトナムはASEANにおけるタイの最大の輸出相手国である。 

 タイはベトナムで9番目に大きな投資国であり、560のプロジェクトがあり、ベトナムの総投資額は約110億米ドルである。 観光、科学、技術、労働、文化、教育など他の分野の協力でも、良好な結果を多く達成している。 特に2019年、互いの国への観光客数は合わせて約150万人に達し、2018年に比べて約8%増加した。また、双方は、2020年に迅速に実施するための新しい労働者募集協定の署名に向けて準備している。タイは近年、ベトナムで大規模な取引を抱える多くの投資家がいる国でもある。 タイは現在、ベトナムに投資している132の国と地域の中で9番目に大きな投資家であり、560のプロジェクトがあり、総投資額は108億米ドルである。実際、タイの投資家は過去数年にわたって継続的に、市場をリードするベトナム企業を買収する戦略を実行してきた。Covid-19の世界的流行にもかかわらず、2020年の第1四半期に、タイの投資家は投資活動、資本拠出、株式購入のためにベトナムに43.64百万米ドルを注ぎ込んだ。 

 2020年の第1四半期に、Delta Electronics Thailand Co.,Ltd. の取締役会は、資本金が50万ドルの新しい子会社をベトナムに設立する、と正式発表した。目的は、Deltaの電子製品を通じて取引し、ソリューションを提供することである。 Delta Electronics Group Thailandの代表者は、Covid-19の影響下でも東南アジアでの会社の拡大計画は変わらない、と述べた。現在、多くの多国籍企業が中国から東南アジア、特に際立ってベトナムに生産拠点を移転しているが、彼らがベトナムでの前向きな長期的見通しを持っているからであると考えられている。Delta Electronics Group Thailandは、ベトナムの大企業や多国籍企業がベトナムでの新規事業への投資を計画し、中国からベトナムへの工場移転を支援することを事業目的の1つとしている。 

 また、2020年4月、Thinh Phat Electric Cable JSC は、タイのStark Corporation Public Company Limitedとの合併を完了したと発表した。Starkは、Dong Viet Non-ferrous Metal and Plastic JSC(Dovina)も買収した。 Starkは、5,600億ドンに相当する約2億4000万米ドルで、両社の100%の資本を取得したことが知られている。 この契約を通じて、Starkはこの地域の電気ケーブルのトップメーカーの位置を抑える方針だ。別のタイの代表的企業の1つであるスーパーエナジーコーポレーションカンパニーリミテッド(タイ)は、Loc Ninh 1(200 MW)、Loc Ninh 2(200 MW)、Loc Ninh 3(150 MW)、およびLoc Ninh 4(200 MW)の4つの太陽光発電会社の株式所有および投資に、4億5700万ドンを費やすことを決定した。 これらの発電会社はBinh Phuoc省で実施されたプロジェクトで設立されたものである。4社はすべて2018年10月に設立され、最大の株主はHung Hai Group Joint Stock Companyで、同社は資本の51%を所有している。 

 東南アジアでオンラインショッピング市場が成長している昨今、タイの国際的企業であるSCGも、Bien Hoa Packaging JSCの株式を購入することを最近発表した。 SCGは、日本の大手段ボールメーカーであるレンゴーとの合弁事業を開始し、Bien Hoa Packagingの総資産の約15%を購入することを決定した。これは、約6,350億バーツ(約448〜5,000億ドン)の支出に相当する。 

日本による対ベトナム外国直接投資 

 本章では、日本からベトナムへの外国直接投資に絞って紹介します。これまでの部分でも日本には言及していますが、本章ではさらに詳細な部分まで掘り下げていきます。 

現状と動向 

 日本の対ベトナム投資は、過去10年間、案件数と投資額の両方で継続的に増加している。 2018年、日本は合計83億5000万米ドルを投資し、ベトナムで投資プロジェクトを行っている112の国と地域の投資額全体のうち24.2%のシェアを占めた。約2,000にも上る日本企業がベトナムに投資を行い、日本からの外国直接投資投資額は引き続き大幅に増加した。2019年末までに累積された外国直接投資は、日本が2位であり、登録資本金は593億米ドルで、全体の16.7%を占めている。これは、両国間の外交関係を確立してから47年経った今でも、日本がベトナムにとって重要な投資パートナーであることを示している。 

 これまでのところ、日本はベトナムで最も重要な投資先の1つとなっている。 過去数年間、日本は常に高く安定した投資率を維持しており、ベトナムへの外国投資を誘致する上で常に2つの主要国の1つである。特に、日本企業の労働スタイルと労働力は、その勤勉さ、創造性、知性、責任において常に高く評価されている。多くの専門家は、ベトナム市場は日本企業の投資を誘致するに足る多くのポテンシャルを秘めていると述べている。特に日本の企業は、これまでのように都市部のハノイ市とホーチミン市だけでなく、他の幅広い地域に投資する傾向がある。 

 現在、ベトナムと日本の経済協力の推進がますます注目されており、会議やセミナーも定期的に開催されている。2020年9月9日、貿易振興庁(産業貿易省)、日本貿易振興機(JETRO)、およびクアンニン、ゲアン、ビンフックの各省が参加し、両国の数百の企業の参加に「ベトナム -日本の投資関係2020」オンラインセミナーを行った。 

セクター別(産業別)の動向 

 最も投資が進んでいる分野をみると、日本のプロジェクトは製造業に集中していることがわかる。 現在、日本は製造業の分野で1,739のプロジェクトと378億米ドルの投資額が投資され、ベトナムにおける日本の総投資額の66%以上を占めている。不動産業は、総投資額が67億米ドル(総投資額の12%を占める)で分野別で2位の投資額となっている。 電力・ガスは、総投資額が60億米ドル(総投資資本の10%を占める)で3位の投資額であり、 その他は小売・卸売、鉱業、建設などのセクターであった。 

省・地域別の投資状況 

 2019年末までに、日本は全国の63ある省・都市のうち43の省と都市に投資した。特に、タインホア省は日本から最も多くの投資資本を集めており、新規認可額の合計は125億米ドルに増加している。タインホア省も最大90億米ドルの総投資額を持つ、ギソン石油精製プロジェクトなどの大規模プロジェクトが数多くある。 ハノイ市は総投資資本が102億米ドルのプロジェクト数で2番目にランクされている。ビンズオン省は、総資本53億米ドルのプロジェクト数で3位にランクされた。 残りはホーチミン市、ドンナイ 省は、ハイフォン省などの他の地域にある。 

 これまで、多くの日本の大企業が競争力のある製品と高い技術を持ってベトナムで事業展開をしてきた。 石油化学部門では、タインホア市にNghi Son 石油精製プロジェクトがある。 これは、日本の出光興産株式会社、三井化学株式会社とクウェートのKuwait Petroleum Europe B.VおよびベトナムのVietnam Oil and Gas Groupとの合弁事業である。ギソン石油精製プロジェクトの初期投資総額は62億米ドルであり、これまでには90億米ドルの追加資本が投入されている。 

 日本からの外国直接投資は、ベトナムが工業化を最重要戦略として位置付けているという文脈において特に重要な意味を持っている。ベトナムでは、日本企業がベトナム産業の発展に重要な役割を果たしていると言える。2013年7月、ベトナムは「越日協力の枠組みにおける2020年に向けたベトナム工業化戦略及び2030年へのビジョン」を承認した。その中で、特に注力して強化していく戦略産業として「電子,農業機械,農水産品加工,造船,環境・省エネ,自動車・自動車部品」の6つの分野が定められている。これら6つの分野を国の主要産業にすることで、ベトナムは、日本企業を優先的に誘致することを目指している。同時に、日越共同声明に織り込まれていたベトナムにおいて日本の質の高い大学を設立するという内容を実現する形で、日越大学が2014年7月に設立された。この大学はベトナム国家大学ハノイ市校の7番目の大学となり、世界水準の教育・研究レベルを目標としている。日本・ベトナムは産業だけでなく、人材育成の分野でも協力することによって、長期的な日越の協力関係を築いていく計画である。 

近年のトレンド 

 一般的に、日本による対ベトナム投資における近年のトレンドは以下のような点である。 

製造業の発展 

 ベトナムは人的資源が豊富で人件費が安いことから、特に製造業による投資が多く行われている。この傾向は特に目新しいものではないものの、今後も引き続き多くの投資が行われていくことが期待される。 同時に、裾野産業は日本からの外国直接投資誘致活動の重要なセクターの1つになると考えられる。 

 JETRO理事の北川浩伸氏は、ベトナムの製造業にはまだ多くの発展の余地があるとコメントしている。典型的な例は、自動車、電気自動車またはオフィスでの機械、その他のスペアパーツの生産などである。これらはすべて日本市場が切実に必要としている製品であるため、ベトナムは将来、日本と同分野で協力できる機会が多くあると考えられている。 

小売り・流通業における日本企業の進出 

 ベトナムは近年力強い経済成長を遂げており、日本の投資家にとって理想的な消費市場となっている。その理由は、ベトナムは人口約1億人を有し、今後は中間層がより増えてくることから、ASEAN地域で最も魅力的な消費市場のひとつと見なされている。これは、日本の流通および小売企業が事業拡大の目的地としてベトナムを選択する理由である。日本の大手企業も続々とベトナムに参入している。資生堂、イオングループ、マツモトキヨシなど、多くの日本企業がベトナムのメディアの注目を集めている。 

貿易・サービス業の発展 

 日本の化粧品メーカーや有名な小売チェーンだけでなく、ベトナムには貿易やサービスへの投資プロジェクトで日本にアプローチする機会もある。 ホテルおよびケータリング業界における外国投資規制の緩和政策の影響により、同業界における投資プロジェクトの数はますます多くなっている。 これは、今後のベトナムにおける日本企業の新たな投資動向の変化を促す要因となるだろう。 

ベトナムにおける日本企業のM&A動向 

 日本は、合併買収(M&A)を通じてベトナムに投資する企業が最も多い国の1つである。2019年、日本の投資家はベトナム市場で最大365のM&Aプロジェクトのライセンスを取得している。この数字は2018年の601、2007年の486を下回っている。 

 2019年も大規模な取引が続いている。最近の取引では、三井物産のミンフー株式会社への投資と、みずほ銀行のベトインバンクへの投資と、大正製薬のハウザン製薬への投資はベトナム市場における日本の投資家の一番大きいプロジェクトである。 

 2019年にみずほ銀行銀行はベトコンバンクの15%の株式を維持するために約1670万の新株を購入した。以前、2011年末に、みずほ銀行は5億6200万米ドルを費やして、ベトナム外国貿易共同株式商業銀行(ベトコンバンク)の15%の株式を購入することを発表し、この銀行の戦略的パートナーになった。実際、みずほ銀行は2002年からベトナム市場に参入した。みずほ銀行のベトナムでの主要なサービスには、預金、ローン、証券取引が含まれる。 2019年1月、ベトコンバンクは、資本を増やすために、銀行の現在の資本金の約3%に相当する金額の株式を売却することを個人的に申し出した。この出来事により、この銀行はベトナムの銀行システムで最大の資本を持つ銀行になった。これは、これまでのところベトナムで最大の金融取引の1つである。 

水産業

 三井物産は、ミンフー株式会社の株式の35.1%を取得することに合意している。 ミンフー株式会社は、ベトナム南部に2つの加工工場と900ヘクタールのエビ農場を所有する企業である。同社は、エビの養殖から加工、販売までのすべての段階を統合することにより、確固たる地位を築いてきた。 付加価値製品を含む幅広い同社の製品は、約50カ国、特に米国と日本に輸出されている。 また同社のエビ総輸出額はベトナムの総輸出額の約20%を占めている。 

 ミンフー株式会社と三井物産の協力関係は、10年近くにわたって構築および開発されてきた。 2013年、三井物産はミンフー株式会社の加工工場であるミンフー ハウザン(MPHG)に投資した。それ以来、三井物産はMPHGの管理と運用の最適化に貢献してきた。親会社のミンフー株式会社への投資を通じて、三井物産はMPHGの開発イニシアチブをミンフー株式会社グループ全体に適用し、三井物産グループが確立した販売ネットワークを活用してオープンすることができる。 

 三井物産は、加工工場で人工知能(AI)に関連するデジタル技術を応用することで、ミンフー株式会社の成長を支援しておる。同時に、三井物産はミンフー株式会社が農業からマーケティングまでのエビのサプライチェーンの効率を改善するのをサポートしている。この1500億米ドルの投資を通じて、三井物産は、ミンフー株式会社の食品の価値を高め、実践を支援しながら、供給の生産性、安定性、持続可能性を改善するための努力を続けた。 

金融業

 2019年にみずほ銀行銀行はベトコンバンクの15%の株式を維持するために約1670万の新株を購入した。以前、2011年末に、みずほ銀行は5億6200万米ドルを費やして、ベトナム外国貿易共同株式商業銀行(ベトコンバンク)の15%の株式を購入することを発表し、この銀行の戦略的パートナーになった。実際、みずほ銀行は2002年からベトナム市場に参入した。みずほ銀行のベトナムでの主要なサービスには、預金、ローン、証券取引が含まれる。 2019年1月、ベトコンバンクは、資本を増やすために、銀行の現在の資本金の約3%に相当する金額の株式を売却することを個人的に申し出した。この出来事により、この銀行はベトナムの銀行システムで最大の資本を持つ銀行になった。これは、これまでのところベトナムで最大の金融取引の1つである。 

まとめ 

 本レポートでは、ベトナムにおける外国直接投資の状況を網羅的に紹介した。本レポートを通して、ベトナムがいかに経済発展を進めてきたか、ある程度お分かりいただけたと思う。もちろん実際にベトナムに投資する際は、本レポートで取り上げたような情報だけでなく、現地の法解釈や商習慣までしっかりと把握する必要がある。 

 現在は世界中がコロナ禍の最中だが、ベトナムはアフターコロナを見据えた開発を推し進めている。投資先国の一つとして、ベトナムという選択肢は大いに検討する価値があるだろう。 

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