ベトナムは、多くの外国投資家が投資を選択する要因を持っている
ベトナムは様々な要因から多くの外国投資家に投資先として注目されており、近年の経済成長は、多国からの外国直接投資(FDI)によって牽引されている。
今年の上半期には、約90ヵ国がベトナムに投資した。韓国の投資金額が最も多く、約810億米ドルのFDIが行われた。次いでシンガポールの720億米ドル、日本の約700億米ドルとなっている。
アメリカは投資金額では7位となったがが、ベトナムの重要な貿易パートナーである。2022年には、ベトナムは対米貿易で約1100億米ドルの貿易収支を得ている。2023年にアメリカは、中国、ロシア、日本、インド、韓国に続いて、ベトナムとの関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」に格上げした。
ベトナムが外国投資家に注目される主な要因として、ベトナムの人口構成が挙げられる。25歳未満の若い人口が全体の40%を占めつつ、教育水準も高く、ビジネスの拡大や技術発展の鍵となる。
また、ベトナムの地理的な優位性も投資の要因として無視できない、中国と国境を接するベトナムは、約14億人の消費者市場に比較的容易にアクセスすることが可能である。また、ASEAN加盟国として、ベトナムはASEAN域内における約8億人の市場へも関税無しでアクセスが可能である。これらの要因に加えて、ベトナムは米中貿易戦争からも恩恵を受けており、米国が中国の多くの輸出品に高い関税を課す中、多くの企業が生産拠点を中国からベトナム等のアジア諸国へと移転している。ベトナムはアジアでの投資先として魅力的な要素を多く持っており、多くの企業がビジネスを拡大するためにベトナムを選択している。アメリカとベトナムが両国の関係を包括的戦略パートナーシップに格上げした。
日本から見たベトナムの魅力
日本はベトナムに対し、長年にわたって多くのFDIを行っている。ベトナムへの出資国として常に上位5ヵ国に入っている。
ベトナム日本商工会議所(JCCI)は、日本の投資家がベトナムに投資する要因を4つ挙げた。
- ビジネス環境
ベトナム政府は、外国からの投資を拡大する為にさまざまな優遇政策を取り入れている。また、様々な貿易協定、例えば太平洋連携協定(CPTPP)や地域包括的経済連携協定(RCEP)などの国際的な貿易協定へも参加しており、ビジネス環境として最適である。
- ベトナム市場の高いポテンシャル
経済成長を維持しているベトナムは、新しいビジネスのチャンスが数多くある。自由貿易協定(FTA)への参加や国際的な投資基準の整備、そして関税の縮小がビジネスの可能性と安全性を高めている。
- 若く豊富な労働力
ベトナムは平均年齢が若く、教育水準も高い。特にIT、ソフトウェア開発、デジタルマーケティング、エンジニアリングといった分野での高度な技術を持つ人材が増加しており、日本企業にとっての大きな魅力となっている。
- 市場の安定性
ベトナムは政治体制が安定しており、テロや政変、加えて天災といったカントリーリスクが比較的低い国とされている。外交においては全方位的な方針を取っている点も、外資系企業にとって大きなメリットである
ベトナムは優れた投資環境を背景に、世界中から注目を集める投資先となっている。ベトナムの豊富な労働人口、魅力的なビジネス環境、そして経済の安定性など、多くの国が同じ要因でベトナムへの投資を続けている。特に、アメリカとの関係が包括的戦略パートナーシップに格上げされたことによる投資増加が期待される。この動きは、ベトナムがアジア地域の中心的な投資先としてその地位をさらに固める地位ことを示唆している。