ベトナム政府は、グローバルなサプライチェーン再編を背景に、投資優遇制度と税制改革を強化している。その中心には、半導体を国家戦略産業と位置付ける方針があり、Nghị quyết 57-NQ/TWやQuyết định 1018/QĐ-TTgに基づき、高度人材育成や研究開発支援、税制優遇の拡大を進めている。具体的には、研究開発費の200%控除、固定資産投資への直接補助、専門人材の所得税免除や長期滞在ビザの付与など、従来にない破格の支援措置が導入されている。
また、ベトナム政府は地方自治体に独自の投資政策を設計する権限を付与し、柔軟かつ競争力のある投資環境を整備している。これにより、外国直接投資(FDI)の呼び込みと国内企業の技術力強化が同時に進められる構図となっている。特に半導体産業では、設計、組立・検査の段階から、今後はウェハー製造やコア技術開発への参入を目指し、2030年までに100社の設計企業、複数の製造・検査工場、5万人以上の人材育成を実現する目標を掲げている。
Deloitte Việt Namの副総経理Bùi Tuấn Minh氏は、これらの政策が「ベトナム企業に前例のない飛躍の機会をもたらす」と評価している。従来は低付加価値の組立拠点と見なされがちだったが、新制度は研究開発や高付加価値工程への進出を可能にし、グローバルサプライチェーン内での地位を高めることが期待される。
このような環境変化は、ベトナム国内企業にとっても大きな挑戦と機会を同時に意味する。投資環境はかつてないほど整備されているが、競争に勝ち抜くためには自社の研究開発力、国際基準への適合力、人材育成への投資が欠かせない。政府の支援と企業の主体的努力がかみ合うことで、半導体産業を中心とした新たな産業基盤が形成され、ベトナム経済全体の競争力を押し上げる可能性が高い。
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