2025年8月11日、ベトナムの国営石油ガスグループPetroVietnam傘下の技術サービス会社PVS(ペトロベトナム・テクニカルサービス)は韓国LS Cable & System傘下のLS Eco Energy Ltd.(LSEE)と、ベトナム国内に高圧海底ケーブル工場を建設する共同開発契約(JDA)を締結した。投資額は約4,000万米ドルとされ、ベトナム初の大規模な高圧ケーブル生産拠点となる。製品は国際規格に対応し、ベトナム国内外の洋上風力発電や送電事業に供給される予定である。
この動きは、PVSが主導する100億米ドル規模の「洋上風力発電電力輸出プロジェクト」の第一段階であり、シンガポールおよびマレーシアへの送電を目的としている。計画は3つの主要要素で構成され、(1)ベトナム沖合で2,000MW超の洋上風力発電所を開発、(2)ベトナムとシンガポール・マレーシアを結ぶ送電用海底ケーブル網を構築、(3)両国における洋上変電所の建設が含まれる。商業運転開始(COD)は2033年を予定しており、2026年までに実現可能性調査(FS)を完了し、2027年に最終投資決定(FID)が下される見通しである。
本プロジェクトは、ベトナム政府の電力計画PDP8や再生可能エネルギー拡大戦略と整合しており、エネルギー安全保障の強化、ASEAN域内の電力連携、グリーン成長戦略の推進に寄与する。PVSは石油・ガス分野の技術基盤を活用し、再生可能エネルギー分野で長期的な収益モデルを確立することを目指す。特に30〜50年にわたる安定的な電力輸出収入は、同社の持続的成長を後押しすると期待される。
背景には、シンガポールやマレーシアの再生可能エネルギー需要の急増と、脱炭素に向けたASEANの共同方針がある。加えて、海底ケーブルは洋上風力輸出事業のボトルネックであり、国内生産体制の構築はプロジェクトの実現可能性を大きく高める。今後は系統接続の認可、価格制度(DPPA)設計、国際送電に関する二国間協定などが主要課題となる。
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