ベトナム政府は、「ネットゼロ」実現に向け、2025〜2035年の10年間で少なくとも15の低排出型農業地域を整備する方針である。2025年7月30日に開催された農業・環境省主催の協議会では、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みとして、主に稲作を中心とした排出削減モデルが議論された。2020年の時点でベトナム全体の温室効果ガス排出量は約454.6百万トンCO₂換算に達し、そのうち農業分野は26%を占める。このうち稲作などの作物栽培が約8割を占めており、主な排出源は水田からのメタン、施肥の非効率、稲わらの処理などが挙げられる。
農業・環境省は、トウモロコシ、コーヒー、ドラゴンフルーツなどの主力作物において、排出削減技術のパッケージ開発、データベース整備、カーボンクレジット取得に向けたパイロットモデルの構築などを進める。また、全国で3,000人以上の農業関係者を対象に研修を実施するほか、MRV(測定・報告・検証)体制の整備や、国際基準を満たすカーボンデータ管理の体制構築も目指す。
提案された2つの方針では、全国で5種の作物に重点を置く案と、主力作物全体を対象に国際機関とも連携する案が提示された。副次的な効果として、農家の所得向上や女性・若年層の雇用創出も見込まれており、低排出農産物の輸出先としてはEU、日本、北米市場が想定される。民間企業からは、再生可能エネルギー導入や炭素市場発展に向けた政策支援も提言された。
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