ベトナムのカーボンクレジット市場の進展と課題
ベトナムはカーボンクレジット市場への参加において大きな進展を遂げており、特にメコンデルタなどの沿岸地域が注目されている。2023年には、初めて森林カーボンクレジット1,030万トン(CO₂換算)を販売し、約5,150万米ドルを得た。
バクリエウ省は、沿岸の複数の風力発電プロジェクトを通じて、2021年から2024年の間に99万トンのカーボンクレジットを販売し、178万ユーロ(約456億ドン)を収益として得た。これは、ベトナムの風力発電プロジェクトが初めて欧州市場でカーボンクレジットを販売した事例であり、企業の収益向上に向けた新たな道を開いた。
また、カマウ省は14万3,000ヘクタール以上の森林と林業用地を有し、カーボン市場の発展において大きな潜在力を秘めている。特にムイ・カマウ国立公園のマングローブ林は、陸上の他の森林に比べて4倍の炭素を吸収・蓄積できる能力を持ち、カーボンクレジット市場での強みを生かせる重要な資源となっている。
現時点で、ベトナム国内には正式なカーボン市場は存在せず、主に国際機関を通じて取引が行われている。最大の課題は、地域社会の利益を確保することであり、多くのプロジェクトが直接的な利益をもたらさず、信頼や参加意欲の欠如を引き起こしている。この課題を克服するためには、公正かつ透明な利益分配のメカニズムが必要であり、優遇融資、環境基金からの資金支援、能力向上のためのトレーニングプログラムなど、地域住民の参加を促進する施策が求められる。
