ベトナムにおける木質ペレットの概要
ベトナムは豊富な森林資源を持つ国である。木材・木製品の製造・輸出が主要な産業の一つであり、産業から生じる間伐材、林地残材、端材等が木質ペレットの原料として利用可能である。また、ベトナム政府は持続可能な森林開発の推進に積極的である。FSC認証は2007年から取得を促進している。加えてベトナム独自の森林認証制度を整備するなど、森林保護と持続可能性の向上に向けた政策を実施しており、世界自然保護基金(WWF)への加盟を通じて、国際的な環境保全活動も行っている。
ベトナムは、2050年までにCO2排出ネットゼロ(CO2の正味排出量を0にする)を達成するという公約に向けたエネルギー転換の一環として、バイオマスペレットに注力している。
化石燃料の価格が上昇している中、多くの国が環境に配慮しながら安定したエネルギー供給を維持するために、木質ペレットが注目されている。木質ペレットは、木くずや木質チップなどの従来は有効活用されていなかった木質原料[TN2] から作られる燃料である。木質ペレットを利用することで化石燃料への依存を緩和できるため、特に再生可能エネルギーへの移行を進める国々の間で注目されている。
国際バイオエネルギー協会によれば、2026年までに世界のバイオマスペレット市場は約150億ドルに達し、2021年から2026年の期間での年平均成長率は約7.3%と予想されている。これは、バイオマスペレットが生産可能な国々にとっては大きなビジネスチャンスである。
ベトナムにおける木質ペレット輸出の増加
ベトナムは木質ペレットの生産国であり、その大部分が国際市場に輸出されている。2022年のバイオマスペレット輸出市場レポートによれば、ベトナムは約4.9百万トンの木質ペレットを輸出しており、前年に比べて39%以上増加した。ベトナムにとって最大の木質ペレット輸出市場は日本と韓国である。
木質ペレットの利用は、持続可能なエネルギー供給だけでなく、経済的なメリットももたらす。ドイツ国際協力機構(GIZ)の国際コンサルタントであるChristoph Kwintkiewicz氏によれば、ベトナムが1年間で輸入する石炭量の10%(約4百万トン)を国内のバイオマスエネルギーで置き換えれば、約10億ドルの節約、国内の雇用と所得の増加、温室効果ガス排出の削減などのメリットを享受できる。 バイオマスペレット市場の急成長を背景に、ベトナムは自国の環境目標の達成だけでなく、経済的な利益も見込める。
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